犯人の供述垂れ流し、被害者を苦しめる韓国警察

「結婚を拒まれた」「貸した金を踏み倒された」
犯人の供述をそのまま発表した警察のせいで被害者親子は陰口の的に

犯人の供述垂れ流し、被害者を苦しめる韓国警察

 9月1日午前、韓国南部・全羅南道順天市で男(56)が凶器を手にあるマンションの一室に侵入した。男は部屋にいた小学生の男児(9)を人質に取り、警察に向かい「子どもの母親を連れてこい」と叫んだ。その後、2時間以上にわたり警察と対峙(たいじ)した末、男は凶器を捨てて部屋を出た。この事件は「順天小学生人質事件」という名前でオンラインメディアなどに報じられた。

 男は警察の事情聴取に対し「小学生の母親のAさん(44)とは結婚を前提に付き合っていたが、突然結婚を拒まれ、腹が立って犯行に及んだ」「Aさんは私から3500万ウォン(約370万円)を借りておいて返済もしていない」などと供述した。こうした男の供述は警察の発表と報道資料を通じて外部にそのまま伝えられた。だが、その発表は全く事実と異なるものだった。

 この事件を引き受けた光州地検順天支庁が調べた結果、男とAさんは結婚を前提に付き合っていた関係ではなく、男が3500万ウォンを貸した事実もなかった。男は1年前からAさんが経営するレストランに通い続け、今年8月ごろから一方的に「結婚しよう」と言い寄っていたという。Aさんに断られ「処断してやる」という脅迫メッセージも送っていたことが明らかになった。

 男は犯行当日の9月1日にもAさんのレストランを訪ね「一緒に暮らそう」としつこく言い張った揚げ句、テーブルクロスでAさんの足などを縛るという暴挙に出た。その後、Aさんのかばんからマンションの鍵を取り出してAさん宅に向かい、人質事件を起こした。こうした事実があったにもかかわらず、警察は男の供述だけを基に、2人が「結婚を前提に交際していた」という内容の報道資料を出したのだ。

崔燕真(チェ・ヨンジン)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 犯人の供述垂れ流し、被害者を苦しめる韓国警察

right

関連ニュース