今年の流行語がトリプルスリーだったのだが…はてなブックマークやツイッターを見た限り、知らないという人があまりにも多い。
僕が人生で一番長くやったスポーツは野球とテニスであり、カービィと並んでこの世で最も面白いゲームだと思っているのがパワポケシリーズだと思ってる僕にとっては野球を知らないという人は人生を損しているのではないか?とさえ思ってる。
そのため、僕がまだ若かった頃にはこんな「迷言」も残している。
野球も知らないで大人になった男子は教養ではなく常識がないと心底思う。野球ほど理論や研究が進み、あるいは状況変化が多様なスポーツはないよ。野球がわからんやつとしゃべると言い換えの手間がどんだけ面倒か
— 三沢文也@こっちは本気で遊んでるんだ! (@tm2501) 2013, 5月 9
でも、理解できない人に「こんだけすごいことなんだ」と説明するのも野球をわかってる人の責任だからさっくり説明していこう。
13年間現れなかったトリプルスリー
まず、トリプルスリーとは「打率3割、ホームラン30本、盗塁30」というパワーも脚力も安定した打撃力もないと成し遂げられないすごい成績のことを差す。
どのぐらいすごい成績かというと、野球の歴史…特に初めてトリプルスリーが達成されてから65年間、なんと10人しか達成した人がいないのだ!
野球を知らない人でも知ってそうな野球選手…例えば、長嶋茂雄とか王貞治とか、イチローとか、清原和博とか…そんなレベルの人でも達成できなかった記録なのだ!(まぁ、長嶋茂雄さんだけは「ホームラン30本打ったにもかかわらず、1回だけノーベース(ベースを踏まないこと)でホームランがノーカンになり達成できなかった」というたった一人しか打ち立ててない不思議な記録をお持ちですが…)
ちなみに、打撃3冠王(打率・打点・ホームランでリーグ1位。一年間で取れる打撃の主要タイトルを総なめにした人)を達成した人も7人しかいない。
「トリプルスリーの達成は3冠王ぐらい難しい」
とも言えなくもない。それだけすごいものなので、達成した人は野球の歴史に残るような大活躍をしたり、重要なポストに付いたりする。
実際、トリプルスリーを達成した選手は簑田浩二さん一人を除いて、引退後はみんな監督をしている。引退していない松井稼頭央選手も、メジャーリーグに挑戦し、7年間で3球団を渡り歩いた。その後、楽天に入団して日本球団に復帰したばかりか楽天の優勝にバリバリ貢献している。
野球を知っている人ならば「メジャーリーグから帰っていた選手は劣化して使い物にならない」という話を聞くことが多いだろう。
だが、松井稼頭央について言えば、それ当てはまらない。脂の乗った7年間を過酷なメジャー挑戦に使って帰って来たにも関わらず、2011年には月間MVP、2012年には第三回WBCの日本代表選手にもなってる。
野球の世界でもそれだけ特例な人しか達成できないほどの記録だ!
それだけすごいタイトルではあるものの「65年に10人もいる」から、単純計算では7年に一人はいそうなものだ。
ところが、今年トリプルスリーを達成されたのはなんと13年ぶり!
もっと言えば、今年トリプルスリーを達成したのはなんと二人!!
両リーグでかつ、二人のトリプルスリーの達成はなんと65年ぶり!
トリプルスリーが流行語だと言われる主な理由は山田哲人選手がテレビ的だから
…しかも、山田哲人選手が23歳・柳田悠岐選手27歳で若くして達成。
特に、山田選手はセ・リーグ最年少でもあるし、14年ぶりのヤクルト優勝とも重なっているため、野球ファンからは大きく注目された。
しかも、山田選手が注目された理由は他にもある。
山田選手にはプロに入ってからブレイクするまで時間がかかっていて、サッカーで言うところの柿谷曜一朗選手みたいな側面もある。
近さだけで言うと「王貞治の一本足打法誕生」の話に近いのだが…「一本足打法が完成するまで王は全然打てなかった」という話がわかるのは野球ファンか40よりも上の人になるので、ナウでヤングなサッカーに例えたまま話をすすめる。
柿谷みたいに期限付き移籍するまで目覚めなかったり、遅刻を連発してたような経歴はないが、「元々才能があった人がプロに入ってから挫折して、再びコーチとの猛特訓ではい上がって日本を代表する選手になる」というマスコミが特集しやすい経歴があるため、しょっちゅう山田哲人特集が組まれていた。(柳田選手は新人時代から二軍ながら、すでに井端選手からすでに一目置かれてたし。超人とまで呼ばれる糸井選手から「ギータ」とか呼ばれちゃうほど仲がええし…)
パ・リーグでトリプルスリーを達成した柳田悠岐選手の存在、ヤクルトの14年ぶりの優勝や、テレビ的に特集が組みやすい山田哲人選手の経歴。
さらにはインタビューした時に謙虚で好青年っぽい受け答えをしてくれるが、天才にしかわからない感覚的で抽象的なことを、少し頭が悪そうでなおかつ当たり前のように語るキャラがテレビ的にはとても良かったこと、さらには開幕当初からその彼がトリプルスリーを意識して人前で言い続けたことがトリプルスリーが流行語大賞になるきっかけとなった。
野球の世界だけとは言わさない、超人アスリートの話
ここまで僕が熱く語っても
「でもでも、野球の世界での話でしょ?他のスポーツの選手に比べたら大したことないんでしょ?…例えば、室伏とか」
と小馬鹿にされているかも知れないので、室伏広治が超人と言われるきっかけにもなったTBSの「スポーツマンNo1決定戦」の話も少し。
…実はトリプルスリーを取った選手の中でも超人と名高い二人が「スポーツマンNo1決定戦」に挑戦してる。(厳密に言えば3人だが、金本選手は6位と8位ですごいにはすごいけど、そこまででもないので割愛)
一人はさっきも登場した「松井稼頭央」選手。
彼は一度だけ、スポーツマンNo1に輝いてる!
室伏広治とは直接戦ってないし、人気選手になってからは出なくなったけど、他のスポーツ選手と比べてもすごい身体能力を持っていることを証明してる。
この人は、西武ライオンズ時代に「バク宙をしてホームベースを踏む」というパフォーマンスをした人でも有名で、野球以外の身体能力もかなり高い人。
スポーツマンNo1決定戦では一位こそないものの、2位に2回輝いてる。
しかも、トリプルスリーを取っただけあって50m走でも記録を成し遂げ、パワー系の競技「ガロンスロー」でも当時の記録を更新。(YouTubeに映像あり)
身体能力が高いだけの天才肌なのではなく、頭ややる気がないととても結果が出ないことでも結果を出している。
監督としてはもちろん、主力選手としても優勝請負人だった。強かった西武でも優勝しているし、遺跡当時は弱かったダイエーでも兄貴分としてリードして優勝できる球団にしているため、野球ファンからするとカリスマ的な人物。
ちなみに、監督になってからも身体能力は相変わらずで、握力は現役選手よりも高かったとか…。
なんJ PRIDE : 【野球】秋山監督の握力強すぎンゴゴwwwwwwwwwww
…ちなみに、野球の世界では「握力が高いほうがいい」とも限らないからあくまでも参考記録。
例えば、同じくトリプルスリーを成し遂げた山田哲人選手はそんなに握力が強い人ではなく、野村克也さんから「握力が弱い選手のほうが握力に頼らないで打つから強打者になれる」という教えを説かれている。(ノムさんも「握力が弱いけど強打者」というタイプ)
握力うんぬんで言うと、他にも中村紀洋とか王貞治も「握力が弱いけど強打者」に当たるため、あくまでも参考記録。
話を元に戻そう。
・まとめ
トリプルスリーは、野球の世界では「この人将来監督になれる・若くして達成してるならメジャー挑戦する」というぐらいの記録。
トリプルスリーを取った選手なら、野球関係なくても身体能力が高いからスポーツマンの超人自慢コンテストにお呼ばれできる。(※室伏広治に勝てるかどうかはぼくもよくわかりません)
そのぐらいすごい記録を二人同時に、65年ぶりに成し遂げ、しかも成し遂げた人のキャラクターがテレビが求めるような好青年だったし、人がいる球団が14年ぶりに優勝もしちゃった。
だから、「今年をきっかけに野球が盛り上がるんじゃないか」と野球ファンはけっこう期待しているし、昔から野球を見てるおじさんは大興奮なのです。
来年からは若い選手が出てきただけではなく、監督も若返って新しい野球が見られるシーズンなので、もっと野球を見てくれる人が増えると嬉しいです。
カープ女子とか、オリ姫とか言われてるのに、なんで燕女子は流行らんのやろう…。
若いヒーローが次々と誕生してるなら、それ目当てに見に来る女子がいてもいいと思うんだが… (ちなみに、僕の同級生の女子は岩隈久志のファンだったので、メンクイ女子と野球は相性が良いと思ってる)
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10人だ7人だというが、メジャーで突き抜けた日本人選手はイチローただ一人。
タイトルや記録がなんぼのもんじゃい!チャンスで打てばええねん!を実践。
すっかり野球の話をするおじさんに成り下がってるけど、僕だって昔は球児でした。