ハートネットTV ブレイクスルー43「漫画家・歌川たいじ」 2015.11.30


かぼちゃやブロッコリーなど他の緑黄色野菜でも応用できるので是非試してみて下さい。
「それは、男と“ほぼ夫婦”なことそう、つまりワタクシはゲイなのです」。
作者の歌川たいじさんです

パートナーとの日常を描いたブログは一日10万アクセスを超える人気ぶり

出版を機に6年前正式に漫画家としてデビューしました
ねえねえねえねえ。
え?
コミカルなタッチでゲイの恋愛から飼い猫との暮らしまで。
続々と新作を発表してきました
歌川さんの創作の原点。
そこには壮絶な生い立ちがあります
自分は価値のない人間だ。
心の闇を抱えていきます
過去のトラウマに縛られず本当の自分と出会いたい
心の声を描き出す歌川さんのブレイクスルーに迫ります
午後4時。
歌川さんは夕食の準備に取りかかります。
外で働くパートナーの帰りを待ちます。
絵や文章を書く事が好きな歌川さん。
自分の体験を世の中に伝える手段として漫画を選びました。
僕小説を書いていて文学賞とかに応募したりとかしてたんですけど…人生を泣き笑いや人情に包み描き出しています。
「腸に空気が入りますんでどんどんオナラしてください」。
「オナラしてくださいなんて言われて出せるかバカモノッ」。
「プッ」。
歌川さんのサイン会はいつもアットホームな雰囲気。
笑えるけどすごい考えさせられる。
心をわしづかみにされる感じです。
どの本を読んでも。
本当にリアルに生きてる人のそういうおかしいところも空回りしてるところも含めてすごく何かいとおしく見えるっていうそういう温かさかなって思います。
今日は漫画家の歌川たいじさんとパートナーのツレさんにお越し頂きました。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
おつきあいされてどれくらいなんですか?今日で…今日記念日なんですけど丸15年なんです。
おめでとうございます。
おめでたい!すごいおめでたい日だ。
こちらに歌川さんの作品を並べさせて頂きました。
どうしてこのツレさんとの日常を描こうと思われたんですか?私が漫画を描き始めた当時っていうのは今よりもっとゲイっていうのはテレビの中にいて何かすごく奇抜な事をやる人っていうような見方をする人が多かったんですね。
でも僕はそれに対していや日常的にあなたのマンションの隣の部屋にいるかもしれないしあなたたちと同じような日常を過ごしてるんですよという事を描きたかったんですね。
ツレさんにしたらプライベートな事が描かれてる訳ですよね。
どうですか?あれ本当は全部うそなんです。
そんな事ないよ。
そんな事ないよ。
ビックリしたよ。
ここまでじゃないなっていう時もあるんですけどもっとやさしく描いてる時もあってちょうどいいかなと思ってます。
バランスが。
でももう読者さんからお菓子とか頂いてボリボリ食べてますからね。
(笑い声)2人のすごい温かい日々を描いたこの作品たちの中で少し作風が違う作品がこちらなんですけれども自らの人生をつづった「母さんがどんなに僕を嫌いでも」。
この本の中身についていろいろお話を聞きながら進めていきたいと思うんですけれども。
歌川さん幼い頃に育った家を案内してくれました。
あっあれです!うち。
これこれこれ。
東京の下町で町工場を営む家に育った歌川さん。
人生の歯車が狂いだしたのは11歳の時でした。
両親が離婚。
母親に引き取られました。
しばらくすると激しい虐待が始まります。
たばこを押しつけられたり包丁を振り回される事もありました。
更に太っている事が原因で学校でもいじめを受けていました。
「自分は誰からも必要とされていない。
駄目な人間なんだ」。
自分を否定する声に苦しむようになります。
自分の事を責める装置みたいのが生まれちゃうので。
実は一番つらいのは人からやられるんじゃなくて自分の中に出来た装置みたいなものから責められるのが一番怖いんですよ。
脳内にあるからどこにも逃げ場がないんですねそれからは。
17歳の時母親から逃げるように家を飛び出しました。
しかし…。
「脳内がゲラゲラ笑う声でいっぱいになり…記憶の中にある最悪の時間に引き戻されてしまうのです」。
そんな歌川さんに救いの手を差し伸べてくれた人がいます。
町工場で働いていた長沢カツさん。
ばあちゃんと呼ばれていました。
「お母さんえほん作ったよー」。
「事務所に来ちゃだめでしょ。
あっち行きなさい」。
「たいちゃんすごく上手よ」。
ばあちゃんは幼い歌川さんをいつも見守ってくれていました。
ばあちゃんはちょうどここに座って作業してたんですけどお母さんにぶたれたりして泣いて下に下りてくるとばあちゃんが「ここにいな」って「隠れてな」って言ってかくまってくれたりとか。
家出して間もなくばあちゃんががんの末期だと知らされます。
高校を中退して食肉市場で働いている事を面白おかしく話しました。
そんな歌川さんに対しばあちゃんはこう言います。
「ばあちゃんたいちゃんにお願いがあるの。
僕はブタじゃないって云って」。
「僕は…僕はブタじゃない…。
僕はブタじゃない…」。
「それはずっと気づいてなかった“本当は叫びたい言葉”でした」。
僕が描いた絵本とかそういう事を具体的に出してくれて「悪者だった人がお花を咲かす係として社会の中で生きていくっていうようなお話をたいちゃん描いてたのよ」っていうふうに…。
「ブタだブダだって言うけどブタがそんな話描けないでしょ」って。
ばあちゃんだけは自分を理解してくれていた。
この時歌川さんは初めて未来を考える事ができました。
その後更に仲間との出会いが自分を責める脳に変化をもたらします。
歌川さんが社会人になってから出会った友達大将です。
孤独だった歌川さんを毎週のように遊びに誘ってくれました。
そんなある日大将に自分の過去を打ち明ける事ができたのです。
俺にはいいじゃんっていう俺は受け入れるからねっていう。
あんまり覚えてないですね。
(歌川)多分覚えてない。
わあ上がる上がる!わあ〜すごい!こんな自分でも好きでいてくれる人たちがいる。
そう信じられる事で心の傷は薄らいでいきました。
いや本当に聞きたい事がたくさんあるんですけれどもまず「僕はブタじゃないって言って」っていうひと言がすごく印象的だったんですけれども。
自分は死ぬの待ってればいいんだっていう思いだったのがやっぱりそこでばあちゃんが「あなたもともとこんなにいいものを持ってたのよ」っていう事を気付かせてくれたのでやっぱり僕の中では周りはもう闇しかなかったものが一気に光が見えたっていう事だったと思うんです。
しかも「あそこに行けば光があるのよ」じゃなくて「あなたの中に光があるのよ」って。
今にして思うとばあちゃんがくれたものっていうのは僕の人生の中では本当に掛けがえのないものだったなと思いますね。
その次にやっぱり僕が幸せになれるためには何が必要なんだろうっていう事をやっぱり考え始めた。
僕はこう変わってきたけども変わってきたって事は友達がいなかったら誰が見てくれるんだろう。
友達が「お前変わったな」って言ってくれなかったら誰も僕が変わった事なんて分からないし自分でも分かんなくなっちゃうだろうなと思ったんです。
だから大将が友達として近づいてきてくれた時にすごくうれしかったんですね。
これからはいい方に向かって積み直していくんだっていう気持ちだったので僕の中には…希望があったんです。
逆に言うと希望を捨てないっていう事以外僕なんか無力だからそこしか闘うところがなかったんですよね。
漫画家となった歌川さんが今大切にしている事があります。
こんちは!久しぶり!久しぶり!元気でした?それは読者とのつながりです。
お邪魔します。
どうぞどうぞ。
すいません。
阪本美奈子さんです。
ブログやサイン会を通じて6年前から交流を深めてきました。
3年前に夫と離婚。
派遣社員で働きながら息子と2人で暮らしています。
1部屋奪われました。
前まで私がこっち使ってたのに追い出された。
追い出された。
追い出された。
(ドアの開く音)お帰り。
中学3年生。
(歌川)維音君お帰り。
(歌川)いや〜お元気そうで。
あはい。
ちょっと焼けたんじゃない?どっか行ったの?
(維音)いや体育大会が昨日あって。
そうかそうか。
小学6年生の時太っているという理由でいじめられていた維音さん。
歌川さんはいじめと闘う維音さんをブログで応援し続けました。
手紙のやり取りなども続ける中維音さんはいじめから脱出。
中学に入り好きだったダンスに打ち込んでいます。
(歌川)下向いて踊っちゃってる感じ?
(維音)そうですね。
誰かが寄り添えば人は新たな一歩を踏み出せる。
ダンスはじゃあ大人になってもずっとやっていたい感じ?それは続けていきたいです。
あ〜そう。
じゃあ東京おいでよ。
(笑い声)すごいすてきな関係というか…。
恐れ入ります。
人間ってすごい適応力のある生物だと思うんですけど孤独には適応できないっていうのがあると思うんですね。
でも自分が誰かと寄り添ってふれあう事によって少しそういう痛み消していけるっていう事って生きてる人間だったらこれは誰でもできる事だしそうしている限り命にはやっぱり価値があると思うんです。
この命には。
だから寄り添っていく。
また一緒に生きていく。
歌川さん今もその希望のトンネルに向かって進んでる途中なんですかね?トンネルの中からバ〜ッとこう…手探りで進んでいた状況から光がだんだん見えてきて周りに何があるのかだんだん見えるようになってきた。
例えば脳の中に自分を責め続ける何かがあるってこれ多分一生消える事はない。
けれども今そのアプリケーションがあるから分かってあげられる人たちがいっぱいいるんです。
「ああそう。
あるよね君にも」って。
「そのアプリの言ってる事間違いなんだよ」って僕が分かってあげれる人はすごくいっぱいいてで自分がアクション起こした時に何かその人が変わってくれると僕もすごく幸せなんです。
歌川さんがずっと心残りだった事。
それは交流を断っていた母親との関係。
家出から13年。
初めて向き合おうとします。
しかし再会した母親は…。
傷ついた歌川さん。
その心を変えたのは母親の生い立ちでした。
北関東で母子家庭の家に育った母親。
10代で家を飛び出し結婚。
長女が生まれます。
嫁ぎ先で待っていたのは家事や育児だけではなく工場の経営や従業員の世話。
2人目を生み育てる余裕など持てませんでした。
もう一人いらないと思ってもしょうがなかったかもしれないっていうふうに話を聞いたらやっぱり思えて。
思えてきたんです。
母親の心の闇に気が付いた歌川さんはもう一度会う決心をします。
多額の借金を抱え精神的に追い詰められていた母親。
頼れる人もいませんでした。
母親にこれ徹底的に寄り添おうっていう事は決めたんですよ。
生きる気力を持たせたい。
歌川さんはまぜごはんを振る舞おうと思いつきます。
虐待が始まる前に母親がよく作ってくれた手料理でした。
歌川さんにとって忘れられない愛情の味。
家出したあとも自分で作り続けていました。
「ねえお母さん」。
ここが墓なんですけど。
掃除しようと思ったらきれいにしてもらってますね。
「世界中から声が届いてますよ」っていうそんな事を言いました。
2015/11/30(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー43「漫画家・歌川たいじ」[字]

1日10万アクセスを超える人気ブロガーで漫画家の歌川たいじさん。ゲイ、親の離婚、虐待、いじめ…波乱万丈の人生に向き合い乗り越えた経験から生まれる言葉と想いとは。

詳細情報
番組内容
歌川さんが漫画家デビューしたのは43歳。遅咲きだが、厳しい人生を優しくユーモアに包む作品に人気は上昇、自伝的漫画には映画化のオファーも…。幼い頃の母親からの虐待やいじめが原因で自己否定に苦しみ続けた歌川さん。立ち直らせてくれたのは“ばあちゃん”や“大将”の存在だった。自身の経験から、人に“寄り添う”だけでも人生には価値があることに気付いたという歌川さんのブレイクスルーを作品やトークから探っていく。
出演者
【ゲスト】マンガ家・小説家…歌川たいじ,ツレ,【司会】風間俊介,安藤桃子,【語り】Chiko

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 社会福祉

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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