生字幕放送でお伝えします≫軒先につるされたこちらの魚。
実は、全部サケなんです。
今日は新潟県村上市から寒くなってきた今の時期に作られる塩引きざけをご紹介します。
≫この通り、200mにわたってご覧ください。
店の軒先一つ一つにズラッとサケが干されています。
その数およそ150本ですね。
ちょうど昨日、地元の人がこれからの冬のごちそうにしようと干したものなんですね。
≫峰さん!なかなか見られない珍しい光景ですよね。
≫この通り、趣がありますね。
≫干し柿じゃないんですよ!≫塩引きざけなんです。
≫村上はサケを干すんですね。
≫よく似合う。
≫今、揺れているでしょ。
冷たい風が吹いていて今日は曇っていて時折雨も降っているんですがこの天候が、この気候がサケにとっては最高なんです。
迫力ありますよね。
≫塩引きざけですよ。
≫これ作り物?≫本物の塩引きざけです。
≫仕上がったものでございますよ。
特徴は塩漬けしたものを2〜3週間干すんですね。
そうすると冷たい風が湿っていて冷たいものですから海風などでアミノ酸などのうまみ成分がじわりじわりと増えていくんですね。
じっくりと熟成されて味が凝縮された味わいが本当に格別なんです。
≫堅かったりするの?たたくと。
そんな堅くない?≫半生ですかね。
≫でも、ちょっと音聞こえますかね。
ポコポコ、音がしますね。
≫このうまみがたっぷり詰まった塩引きざけ。
早速いただきたいと思います。
≫もう食べるの?≫いただきますよ。
≫そっちじゃない。
見てください。
≫ありがとうございます。
≫焼いていただいた塩引きざけ。
≫失礼します。
いただきます。
≫どうなの?これ。
≫いい塩加減ですね。
≫そうですね。
ごはんもどうぞ。
≫地元の方はやっぱりごはんと一緒に食べるのが?≫おいしいです。
≫こちらも新潟のお米なんですね。
ごはん、好きなんですよ。
≫ごはんとの相性はどうですか?≫100点満点です。
うまみがギュッと詰まっていますね。
≫地元ではこれからの大みそかにごちそうとして食べるんですよね。
≫塩加減って最近結構そんなに塩がかかってない感じがするじゃない。
そこそこ塩は感じるの?≫塩、感じます、感じます。
≫ぎゅっと凝縮されているので一般的な新巻サケと比べると濃いめの味付けなんですね。
≫うまみがギュッと詰まっています。
≫いただきたいな、こっちも。
≫ぜひ、峰さんにも召し上がっていただきたいなと思うんですが。
≫昼時なんだから。
お願いしますよ。
≫お酒にも合いますね。
そして村上は江戸時代に栄えた城下町なんですよ。
塩引きざけ作りにも城下町だからこその風習があります。
峰さん、どんな風習か分かりますかね?つるされているサケをよく見てみてください。
≫頭が下になっていますよね。
尻尾が上。
これがポイントでございます。
≫どういうことですか?頭を下げろってことですか?≫そのとおりですね。
その理由はこちら。
≫サケも殿には頭を下げよ。
≫城下町なのでお殿様が道を通りますよね。
頭が高いとならないようにサケであってもお殿様に敬意を払ったということなんですね。
≫新巻ザケは大体、頭が上でつるされていますもんね。
頭が高いと、それでは。
なるほど。
≫そしてもう1つあるんですよ。
峰さん、分かりますかね。
ヒントはおなかにあります。
≫あまり割れてないですね。
≫そのとおりですねおなかがばっさりと開いていないですね。
ここで止まっている。
その理由はこちらです。
≫じゃん。
サケに切腹させることなかれ。
≫そうなんだ。
≫止め腹というんですね。
大切なサケのおなかを完全に開いてしまうのは忍びないという城下町ならではの武士の情けですね。
これ、後ろを見てみますとおなか、止めてあるので生きているままの泳いでるときの姿に近くなりますよね。
せめて泳いでいたころの姿にしてあげたいというサケの町ならではの心遣いですね。
≫粋な心遣いですね。
≫ところで、このサケは身近な場所で取れているんですよ。
サケを取るのは町のそばを流れる三面川。
11月、今年もサケが産卵のために川に帰ってきました。
≫すると待ってましたとばかりに漁師の皆さんは川へ出ていきます。
3そうの船でサケを追い込んで網を上げる伝統の居繰網漁といいます。
揚がりました。
多い日には100本以上水揚げしますよ。
≫一方、川岸には100人以上の釣り人たち。
釣りざお1本で重さ4kgもあるサケを釣り上げます。
≫すごいな、これ大胆だな。
≫実は、大きなサケを釣るこの針がすごいんです。
峰さん、どんな針か分かりますか?≫釣り針じゃないの?≫今、モザイクがちょっとかかってましたね。
VTRの中でサケを釣り上げていた大滝栄一さんと奥様の洋子さんです。
≫こんにちは。
よろしくお願いします。
≫実際にその針を見せていただきましょうか。
≫どうですか。
テンカラという針なんですけれども。
大きいでしょ。
迫力満点。
≫これは引っかかるの?≫餌はつけないんです。
≫引っ掛ければ取れるんだ。
たくさんいるから。
≫そういうことなんですけど。
≫釣るポイントがあるんです。
≫これを、堀といってサケが産卵する場所があるんですよね。
そこへ、このテンカラを投げ込むわけですね。
そうするとこの糸にサケが触るんですね。
≫ひっかかったらどんな感じですか?≫すごいですよ。
もうね、サケは引っ張るわ俺は負けねえぞってやるわけですよね。
サケが飛び跳ねてこのテンカラを外そうとするんですよ。
そこをね、もうリールを巻いて≫釣りざおを持ったら別人のように変わるんですよ。
≫感覚と経験が大事になってくるんですよね。
洋子さん、釣っている栄一さんをご覧になっていかがですか?≫寒いのにかわいそうだなと思いますね。
≫家にいるときとどうですか?栄一さんは。
≫全然、変わりますね。
でも自分好きでやってるからね。
今日はどうだったと言うと今日は取れたって言ってニコニコ顔。
≫それでは大滝さんはこの釣ったサケを自分で塩引きざけにしているんですよね。
早速、見せていただきましょう。
お願いします。
≫自分で釣って自分で?≫自分で釣って自分でさばいて塩引きざけにしているんですよ。
これ、すべてズラッと並んでいるのが塩引きざけなんですよね。
≫お父さん釣ったやつ?≫そうですよ。
≫こんなにたくさん塩引きざけを作ってどうするんですか?≫親戚とか兄弟とかにあげるんですよ。
≫贈答用に作ってらっしゃるんですね。
でも、この辺りの人々は皆さん自分で、各家庭で作ってらっしゃるようなんですが。
≫そうです。
うちはしょっぱいのが好きですからねしょっぱくして。
それでもって塩焼きにしたり、それから焼いたやつをお茶漬けにしたり。
そしてサケがあると、なんにもおかずがいらないんですよ。
≫合いますよね。
何にでも。
それぞれのご家庭でいろんな味付けをしてそれぞれ個性があるんですよ。
ところで峰さん。
サケといえば海のイメージを持つ方も多いと思うんですけれども海と川のサケ、地元の方なら一目で分かる違いがあるんです。
早速、見せていただきましょう。
ご覧ください。
どんな違いか、峰さん分かりますかね。
≫やっぱりくちばしのところがグッと曲がっているのが川ですか。
≫正解です!さすが峰さん。
正解は顔なんですよ。
塩引きざけにするのはオスが多いんですけれどもどこで取れたかによって顔が変わります。
海のサケはこちら。
頭がちょっと丸いんですけども川を上るにつれて頭の先がとがります。
こちらが川のサケです。
地元では鼻曲がりというそうですよ。
≫へそ曲がりじゃないんだね。
≫へそ曲がりではないです。
鼻曲がりです。
川を上る際にメスをめぐって争うために威嚇しやすい形にとがって、変化するんですよね。
≫でもずいぶんな変わりようですね。
≫だいぶ、顔が違いますよね。
人間でいうとこちらの海のサケがかわいい系男子。
そして、こちらの顔の先が世間の荒波にもまれてワイルド系な感じですね。
顔つきで分かりますね。
≫ワイルドのほうがいいですねきっと。
どっちなんですか?≫私も、峰さんと同じワイルドが大好きです。
≫いつでもワイルドになりますよ。
≫村上では町の至る所でサケへの愛情にこうして触れることができるんです。
沢田石さん!≫大滝さんの家から300mほど歩いているんですがその中でもたくさんのサケに出会いました。
すぐ後ろのお店にあったのがこれですよ、峰さん。
塩引きざけの切り身。
これ、2つにしてみますね。
≫これ、おまんじゅう?≫これ、らくがんですね。
和菓子屋さんにありました。
サケを愛するあまりに作ってしまったんですね。
本物そっくり。
和菓子屋さんだけではありません。
今日は村上の町の皆さんに自慢のサケの一品をお持ちいただきました。
こんにちは。
サケ好きですか?≫大好きです。
≫たくさんお持ちいただきましたがどんどん紹介していきますよ。
パン屋さんが作ったのはサケパンです。
≫口がワイルドで口をいっぱい見てください。
≫この口先がこだわりなんですね。
オスのように。
そしてお隣はカフェの人気メニューがマフィン。
マフィンの中になんと、よく見てください。
塩引きざけの切り身を入れてしまいました。
≫本物?≫本物です。
ずいぶん思い切ったことをされましたね。
≫合わないと思うでしょ?でも、和のテイストのサンショウや日本酒が入っているのでお客様から星3ついただきました。
≫マフィンの革命が起こったかもしれませんね。
お店だけではありません。
こうなると村上市も頑張りました。
市ではこういった丸いマンホールの絵もサケのデザインを施して。
さらにさらに重たいですけれども、これは…。
≫側溝のふたでございます。
≫道路わきの排水路のふたまでデザイン。
でも、これだと町の人、サケが好きですから踏んで通れないじゃないですか。
≫踏まなければ側溝に落ちないと思うのでいいんじゃないでしょうか。
≫考えましたね。
これ重いですか?≫重たいですよ。
≫これもサケへの愛情ということで市が頑張ると商工会議所の皆さんも黙っていられません。
立ち上がりました。
こちらです。
これはこいのぼりならぬサケのぼりです。
こいのぼりの類似品になっちゃいますかね。
≫そう見えるかもしれませんけどれっきとしたサケのぼりです。
体のほうが産卵が近くなってくると婚姻色になってきます。
そちらがサケの特徴になってきます。
≫このピンクの婚姻色が特徴。
顔も少しワイルド系にできていますね。
子どもたちの評判はどうですか?≫これは小学校でもこの時期になりますとあげていますので皆さん、十分、承知しています。
≫町では5月ではなくてサケのぼりはサケが揚がるこの時期に上げると。
皆さん、ありがとうございました。
お仕事さまざまですけどサケへの愛情は皆さん同じということが分かりました。
そして、サケを愛する町でそして皆さんサケの味にうるさい中でサケ一本で勝負しているお店があるのでご紹介します。
≫のれんが「鮭」ですもんね。
≫のれん、すごいですよね。
サケへの覚悟が伝わってきます。
こんにちは。
こちらは老舗のサケの加工品店ですね。
箱階段もあるんですが江戸時代から続くお店です。
そしてなんといっても今の時期はご予約承り中と。
お歳暮シーズンということで県内外から人が訪れます。
立派なサケの切り身ですよね。
5つセットでせっかくだからお値段も。
これ、ですから切り身1つ1000円くらいするんですね。
峰さんの家にも届いているんじゃないですかね。
≫まだ届いてませんから。
お願いします。
≫そして、最高級のサケを作っているのがこの奥なんですけど峰さん、ちょっと待ってください。
この中、とにかくすごいんですね。
覚悟して、心して見てください。
サケの町の圧巻の映像。
さあ、どうぞ。
≫うわ!これが作りたてってやつ?≫塩引きざけですね。
今、熟成させているところです。
その数、なんと1000本干されています。
≫また立派なサケばっかりですね。
≫5kg以上のものを使っていますね。
サケを、こうやって下から見上げる景色って峰さん初めてじゃないですか?≫初めてですね、これ。
≫こちらの店主の吉川真嗣さんです。
こんにちは。
今日は伝統の製法の職人技の一部を見せていただきます。
まず、このサケをさばく前に必ず、吉川さんがされることがあります。
≫1000年もの間、この村上はサケに支えられて助けられてきたんです。
天からの大切な恵みですね。
そのサケの魂に敬意を表して感謝の気持ちで合掌してから仕事を始めるんです。
≫必ず毎日合掌、一礼をしてからサケをさばいていきます。
そして始まります。
先に包丁を入れますが…。
≫10kgの最高のサケです。
すごく大きいです。
包丁を入れていきますがもちろん一気に割くのではなく2回に分けて少しでも生前の姿になるようにと。
このように開いてここから内臓をきれいに取り除いていきます。
そして取り除いてきれいにしたサケがこちら。
ここから塩引き塩をすり込んでいくんですけどここが職人技です。
まずは尻尾のほうから頭のほうにかけてすり込んでいきます。
≫こんなすり込むの?≫これ、うろこをするようにするんですね。
うろこの中にまで塩が入るようにすり込んでいきます。
そしてポイントは素手です。
素手でやることによってサケの1匹1匹の体格の違い身の違いを感じながら塩の加減をしていくんですね。
細かい部分、ひれの部分やえらの部分にも、しっかりとすり込んでいきます。
峰さん、すごいんですけど実は後ろから冷たい風がどんどん、どんどんきているんですね。
非常に冷たい風外からの風が吹き込んでくる。
≫冷えた中でやらないといけないんだ?≫そう。
窓も扉も全開なんですね。
非常に寒いですけれども…。
≫これがいいんですよ。
私、子どものころですね。
ものすごい寒い日に窓を閉めてくれないかと父に頼んだんです。
バカこけと。
お前が厚着すればいいだろと怒られて。
お父さんは俺とサケのどっちが大切なんだと。
そうしたらですねこの家で一番偉いのは人間じゃなくてサケだと。
そんなふうにして厳しく育てられてきましたからこの寒さがくると気持ちがぴしっとなって私も生き生きとしてきますね。
≫さすが村上の町ならではですね。
私は寒いですけどね。
≫峰さん!こちらが丹精込めて仕込んで寒風で干して食べごろになった塩引きざけです。
いろりで囲んで食べるのがこの地域の方々の風習になっているそうです。
そして手前のこちらはどんびこというサケの心臓。
塩引きざけをする際に出たものなんですよ。
≫そして心臓だけじゃないんですね。
うろこ1つもむだにしたくないと村上では、なんとサケの料理がこんなに余すところなく使って。
ここだけじゃないんですね。
全部で100種類のサケ料理がございます。
≫すべて内臓や頭などを使っているんですね。
≫塩引きを作る際にむだにしないということなんですね。
さあ、地元の皆さんにいち押しを聞いてみます。
一番奥の方、お願いします。
≫なわた汁です。
サケの内臓と大根のみそ汁になっています。
だしがよく出てとてもおいしいですのでぜひどうぞ。
≫いただきます。
≫それ内臓?≫内臓ですね。
白子も…。
こくがあってとってもおいしいです。
スタミナもついて体も温まりそうですね。
おいしい。
≫そして、伝統的な料理に加えて新たなサケ料理も今年開発されました。
どうぞお願いします。
≫こんにちは。
こちらがサケで作りました洋風のサケ料理になります。
≫吉川真嗣さんの奥さんのみきさんです。
これもさっき塩引きしたサケを作ったときにできるもの。
骨を煮詰めて作ったスープを作っているんですね。
≫身と骨を、5時間くらいコトコト煮込んでいきまして濃縮してそして非常に濃厚なスープになっています。
≫一番のおすすめは?≫こちらリゾットでございます。
≫ではリゾットをどうぞ。
≫秋元さん召し上がってみてください。
(はつ)お母様聞いとくなはれ!
(菊)何やの急に大きな声出して…。
2015/12/01(火) 12:20〜12:45
NHK総合1・神戸
ひるブラ「城下町の深〜い味わい“塩引きざけ”〜新潟・村上市〜」[字]
新潟県村上市の師走の風物詩が軒下につるされた塩引きざけ。1か月以上も寒風にさらすため、うまみ成分が凝縮され、濃厚な味わいが特長です。城下町が育む師走の味を満喫!
詳細情報
番組内容
〜新潟県村上市から中継〜
出演者
【ゲスト】秋元才加,【コメンテーター】峰竜太,【司会】沢田石和樹
ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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