白い巨塔 #07【教授の椅子に座るのは誰か?財前の野望を賭けた戦い!】 2015.12.01


捜査しているということなんですがただ、なんでこんな一大事になったのか
(アナウンス)「東教授の総回診です」
(柳原)財前先生は第一外科に必要な方です。
(東)一介の医局員が教授に意見を言うのは百年早いよ。
(佐枝子)一人のお医者さまであることを大事に思っていたらこれほど不幸ではなかったはずよ。
(政子)里見先生が原因かもしれませんわね。
(鵜飼)僕は教授で君は助教授なんだよ。
(加奈子)さようなら先生。
(財前)いくら悩んでみたところで患者のためになるとは限らないんだよ里見。
だから僕は教授になるよ。
(鵜飼)財前君でよろしいんじゃないですか?
(大河内)異例ではあるが第3の選択肢を採るしかあるまい。
(ケイ子)正式に教授候補に決まったっていう知らせかもよ。
財前です。
(佃)あっ先生。
たった今教授選考会が終わりました。
そうか。
(佃)まことに残念ながらよりにもよって全国公募ということになってしまいました。
(鵜飼)全国公募?
(大河内)公に全国の大学から第一外科の次期教授にふさわしい人物を募るんだよ。
最も公正な方法だとは思わんかね?〜〜
(杏子)どうしたの?こんなに早く。
うん。
オペが長引いてちょっと疲れたんだ。
ふーん。
君こそどうしたんだ?うん?今のうちに作っておかないと間に合わないかと思って。
(財前)間に合わない?
(杏子)教授夫人会のお披露目会はね今でも着物なんですって。
洋服だとなめられるんですって。
ねえ見て。
いい色でしょう?わたしこの色ホントよく似合うのよねえ。
ああ。
どうだったの?
(杏子)パパが何回も電話かけてきてたわよ。
教授候補はあなた一人にすんなり決まったの?いや。
(杏子)じゃあやっぱり東教授が推す当て馬と一騎打ちすることに?
(財前)いや。
えっ?全国公募になったよ。
全国公募って?日本中の大学から教授にふさわしい人物を募って候補者を決め教授会で投票する。
えーっ!大丈夫なのあなた?さあな。
(杏子)さあって…。
ねえどういうことなの?鵜飼教授はちゃんと動いてくれるって言ったんでしょう?敵も本気ってことだろう。
(東)いやぁ「渡りに船」といったところですかね。
何とかあなたを財前君より有利にもっていこうと思っていたところ大河内教授が全国公募を言いだされていやかえってあなたを推薦しやすくなりましたよ。
何しろ広い視野で全国から優秀な人材を募るという大義名分が出来たわけですからね。
フッフフフフフ。
(菊川)今ならまだ辞退できるということですね。
東先生。
名前が挙がる以上わたしは教授選に敗れるわけにはいかないんです。
一度浪速大の教授候補に挙がった以上石川大学にはいづらくなります。
すなわちもし教授選でほかの候補に敗れるようなことがあればわたしは当面の研究の場を失ってしまうんです。
それだけの覚悟をもってこの話をお引き受けしてるということをご理解いただきたいんです。
敗れるなんてことはありません。
絶対勝ちます。
こちらには東都大の船尾教授もついてる。
いやそれに何より現教授のわたしが言うんですから間違いありませんよ。
(政子)あらあらごめんなさい。
すっかりお待たせしちゃって。
さあさあどうぞ。
お召し上がりくださいませな。
今お酒もご用意いたしますので。
(菊川)ああ最終で金沢に戻らねばなりませんので。
そんなことおっしゃらずに。
さあ菊川さん。
どうぞこちらへ。
佐枝子さん!さあさあどうぞ。
どうぞ。
佐枝子さん!どうぞどうぞ菊川さん。
こちらにいらして。
どうぞ。
どうぞ。
失礼します。
佐枝子は菊川さんがお見えになるのを楽しみにしておりましたのよ。
この子は昔から菊川さんのような学究肌の方が好きなんでございますの。
お母さま。
(政子)てれることないじゃないの。
ねえ菊川さん。
はいあなたもどうぞ。
まずは殿方から乾杯なさってくださいませ。
(東)はい。
佐枝子さん。
佐枝子さん。
そこはもういいからあなたも早くこっちいらっしゃい。
佐枝子さん。
(ドアチャイム)どうしたんだね?財前君。
ご自宅まですみません。
東先生にお願いしたいことがありまして少しお時間を頂けないでしょうか?今はちょっとね…。
明日大学で時間を作るよ。
佐枝子。
お見送りして。
お客さまですか?そうだが。
ではこちらで結構ですので。
しかしね君。
今度の先生のオペにわたしを助手として加えていただけないでしょうか?助手?
(政子)まずはまずは菊川さん。
乾杯いたしましょう。
どうぞ末永くよろしくお願いいたします。
乾杯。
いただきます。
先生の左肺スリーブ全摘術に出会える機会はめったにありませんのでぜひ勉強させていただきたいのです。
若き権威者たる君に教えることなど何もないよ。
しかしかつては先生の助手を毎回のように務めさせていただきました。
わたしが食道外科を専門とするようになってからはともに難しいオペに立ち向かうこともなくなりましたが初心に帰ってもう一度ご指導を仰ぎたいのです。
それを言いにわざわざ雨の中やって来たのかね?はい。
恐らくこれが先生の助手に就く最後のチャンスになるかと思われましたので。
(テーマソング)〜
(財前)よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
(東)これより左肺スリーブ全摘術を行う。
肺血管の損傷に気を付けて術野を展開しなさい。
(一同)はい。
(財前)東教授の専門分野だ。
しっかり勉強させてもらいなさい。
(一同)はい。
(財前)お願いします。
(東)メス。
(看護師)はい。
(金井)鉤ピン。
(看護師)はい。
(財前)コッヘル。
(看護師)はい。
(東)電気メス。
(看護師)はい。
(東)電気メス。
(看護師)はい。
(東)鉤ピン。
(看護師)はい。
おい。
腫瘍縮小の反応が出た。
(竹内)えっ!すごいですね。
ガンの増殖抑制がはっきりと証明できそうじゃないですか。
誰か採血の準備をしてくれ。
みんな鵜飼教授に遠慮してるんですよ。
里見先生の研究は尊敬してますけど鵜飼教授ににらまれるのは困りますからね。
(里見)バカバカしい。
なぜ研究を手伝ったくらいでにらまれなければならないんだ。
そもそも鵜飼教授と俺はいがみ合ってるわけじゃない。
患者に対する考え方が違うだけだ。
(竹内)先生。
すごいですね。
いやホントすごいですよ。
権威にも負けず圧力にも屈せず常に正しいことをやろうとなさってるんですから。
とても凡人の僕らにはまねできません。
これ医局に届いていました。
じゃ頑張ってください。
(男)「先月浪速大学第一内科を退院された林田加奈子さんは当病院に入院されましたが先日消化管出血により亡くなられました。
主治医でおられた里見先生にご報告申し上げます」〜
(加奈子)《先生にはお世話になったけどここは最期の時を過ごす病院じゃなかった》〜〜
(東)メッツェン。
(看護師)はい。
(東)主肺動脈を見せなさい。
(金井)はい。
(東)血管壁がよく見えんよ。
肺を上方にけん引して。
(金井)それが転移したリンパ節が肺動脈に浸潤していまして…。
(財前)ちょっとよろしいでしょうか。
(財前)柳原。
手を代わって。
(柳原)はい。
(財前)金井。
鉗子の先端だけに集中しろ。
(金井)はい。
(財前)鑷子。
(看護師)はい。
(財前)肺静脈を押さえておきます。
(東)いいだろう。
剥離を続ける。
(財前)はい。
(財前)ウィスカーを動かすな。
(柳原)はい。
(鵜飼)あっそう。
あの患者亡くなったのかね。
はい。
(鵜飼)そりゃあお気の毒だね。
若いのに…。
で何か?もう一度末期の患者受け入れについて考え直していただけないでしょうか?あの患者が亡くなったのはウチのせいじゃないんだよ。
病気が命を奪ったんだ。
それは分かってます。
ただ彼女が教えてくれたことを無視することはできません。
末期の患者をすべて切り捨てていくのでは総合病院とは言えないのではないかと思います。
将来的に緩和病棟をつくり治らない患者を受け入れていかなければならないのではないでしょうか。
そのとおりだね。
いやご説ごもっとも。
全く君には教わることが多いよ。
しかし大学病院の使命は研究教育診療の三本柱だからね。
研究の面でなかなか成果の出ない緩和病棟を立ち上げるのは難しいよ。
どうだろう君もこの辺で研究にまい進してみては?僕はね君の研究者としての才能を大いに期待してるんだよ。
僕個人だけじゃない。
学会全体が期待してるんだ。
早くガンの増殖抑制の論文を読ませてくれんかね。
そのための尽力ならハハハハ惜しまんから。
なっ。
(杏子)突然申し訳ございません。
鵜飼会長。
(典江)一体何のご用?これからくれない会の用で出かけなければならないんですけれど。
主人がいつも鵜飼教授にお世話になっておりますので一度きちんとご挨拶をしたいと思いまして。
ああそう。
まっお上がりなさいな。
よろしいんですか?ああ!
(典江)あら辻が花じゃないの。
まあいい色ねえ。
奥さまにはこの色がお似合いだと思いまして。
ちょっと待って。
こんなお高い物頂けませんわ。
これから教授夫人会でお世話になるかもしれませんし。
それに私母を早くに亡くしまして奥さまを母親のように思わせていただけたらと。
さすがに財前さんの奥さまね。
いいわ。
頂いておきます。
そして主人には財前さんのことをよく話しておきます。
ああ!ありがとうございます!
(典江)フフフフフ。
そういえば宅が心配しておりましたのよ。
財前さん女性のほうは大丈夫?教授選挙が接戦になりますとつまらないことで足もとすくわれかねませんからね。
妻としては締めておくところは締めておいたほうがよろしいわよ。
(典江)それからねえ母親のように思ってくださるのはうれしいんですけど私まだあなたのような大きな娘がいる年じゃございませんのよ。
くれない会にお入りになるおつもりなら口の利き方にはお気を付けあそばせませね。
すみません。
先生。
見事なオペでした。
気管支の再建は食道の再建とは違って縫合に技術がいりますね。
勉強になりました。
参考になれば結構だ。
君の助手もねさすがだったよ。
ありがとうございました。
失礼いたします。
財前君。
(財前)はい。
久しぶりに一杯やるかね?はい。
(佃)いやハラハラしましたねえ。
(金井)何が?
(佃)よろしいですか?
(金井)うん。
(佃)おい。
お前も座れ。
東教授と財前先生うまくいってないじゃないですか。
その二人が久しぶりに組むなんて。
なあ。
(柳原)はあ。
(金井)あんまり妙な噂に左右されんほうがいいぞ。
(佃)金井先生。
ご存じないんですか?東教授が石川大学の菊川って人を推薦しようとしてるのを。
失礼ですが東派とも言われている金井先生ならよくご存じだと思いましたが。
なあ。
はあ。
何言ってるんだ。
僕は東教授に指導は受けたがだからといって東派でも何でもないよ。
それじゃあ金井先生は…?医局長も楽じゃないな。
僕は財前先生が教授になることに反対はしないが派閥のようなことは好きじゃない。
まあせいぜい暴走せずに頑張ることだな。
金井先生。
ここはわたしが…。
(金井)いやコーヒー1杯で借りを作りたくない。
いやそうおっしゃらずに。
いや佃君。
困るな。
いやあのいいじゃないですか。
先生。
もう今日は今日は僕があのコーヒーコーヒー1杯ぐらいいやいや…。
珍しいですわね。
今日はお二人?
(東)いやいいオペができたんでねその慰労会なんだよ。
(ケイ子)あっそう。
いえわたしも久しぶりに助手を務めさせていただきいろいろと勉強になりました。
じゃあ今夜は特別に年代物のワインでも開けましょうか。
ねっ。
懐かしい気がします。
助手に就くのも久しぶりでしたがこうして東先生と酒を飲むのも久しぶりで。
わたしは大事なものを忘れていたような気がします。
で…本当の目的は何なんだね?忙しい君が単に学問のためだけに助手を務めたいと言いだすとはいくら人のいいわたしでも思わんよ。
はっきり言ったらどうなんだ。
君とわたしの仲じゃないか。
うん?では率直に申し上げます。
うん。
もう一度先生の助手を務めれば少しは分かるかと思ったんです。
うん何がだね?何故先生は助教授として長年お仕えしてきたわたしを毛嫌いされるのか。
毛嫌いだって?君何か誤解してるんじゃないのかね?わたし一人の思い過ごしであればとどんなに望んだことでしょう。
しかし現に医局も先生がよそから後任教授を連れてくるという噂に振り回されております。
まっ教授選の前というのは常に噂が飛び交うものなんだよ。
では先生を信じてよろしいのでしょうか?こんなこと言うのは面はゆいのですがわたしが助教授になれたのは先生が引き上げてくれたからです。
わたしも先生のご期待に応えようとこの8年心から先生を信じて励んで参りました。
決して先生のご指導をないがしろにした覚えはありません。
なのになぜ先生はわたしをこれほど…。
(ケイ子)ありがとうございました。
わたしに落ち度のあることなら納得もします。
態度を改めることもできますし先生に頭を下げることもできます。
しかし理由が分からないのでどうしようもないのです。
一体わたしの何が先生を腹立たせるのでしょうか?随分不遜な言い方をするじゃないか。
君は「自分には全く何の落ち度もない。
教授になれるのは当然だ」と言いたいのかね?なぜ君は素直にわたしに頼まんのかね?教授にしてほしいと。
君が本当になりたいのはオペの助手などではなく教授ではないのかね。
頼めば…。
頼めば?頼めばそのように考えていただけるのでしょうか?うーんそのようにとは?わたしを教授に推していただけると。
そんなことは分からんよ。
近ごろ君はわたしを差し置いて内科の鵜飼教授に指導を仰いでるそうじゃないか。
まあこれは単なる噂かもしれんがね。
まあとにかく頼み方しだいということかね。
君が本当にわたしを信じているというのならもうなりふり構わず頼んでみたらどうだね。
〜頭を下げる…つもりはございません。
なぜならわたしは何ら恥じることなく行動しておりそのうえでわたしの実力をもって教授に選出されると確信しているからです。
(ため息)ああ…。
ああそうかね。
はい。
(東)いやなら善戦してくれたまえ。
どうやらわたしと君との人間関係はこれで終わったようだね。
そうそう今夜の記念に教えといてあげよう。
さっき君はどこがわたしを腹立たせるのかと聞いたね…。
「わたしのすべてが腹立たしい」でございますね。
(ケイ子)あら先生。
もうお帰りですの?会計はね大学のほうへ頼むよ。
(ケイ子)あっもう先生のお好きな88年のブルゴーニュ。
ほらご用意いたしましたのに。
財前君に飲ませてやってくれないか。
えっ?去年のに変えてくれないか。
(ケイ子)えっ?価値のない年代物に高い金を払う必要はありませんよ。
東教授。
フッフフ。
気遣いはいらんよ。
わたしはね本物なら10万払っても惜しくはないがラベルだけの粗悪品なら1円だって払いたくはないんだよ。
財前君。
(ケイ子)ありがとうございました。
(政子)佐枝子さん。
佐枝子さん。
ほらご覧なさい。
よく撮れてるでしょう。
ほら。
ええ。
佐枝子さん。
菊川さんのことまじめに考えなさいよ。
(政子)お母さまの言っている意味分かるわよね?あなたのためよ。
わたしは…。
(政子)結婚相手を自分で探したいって気持ちは分かるわよ。
あなただって女ですものね。
でも夢を見るのはおよしなさい。
無理よ。
どうしてきめつけるの?だってどうやってまともな男性と出会うっていうの?お勤めに出ようにもこの不況じゃ大学院でフランス語を勉強した女子学生に就職先なんてありませんよ。
だからってすぐ結婚に結び付けるのはおかしいと思う。
わたしこれから自分が何をやれるか考えたいの。
考えてどうなるの。
考えて答えが出ることなんてありませんよ。
小難しい女と思われるだけです。
そんなことないわ。
いろんなことを本気で語り合える相手がきっといるはずよ。
里見先生のような?
(政子)里見先生って財前さんと違って志のある方だそうね。
でもどんなにいい方でも人のご主人じゃね。
何を言ってるの?お母さま。
もうお会いするのはやめなさい。
わたしは奥さまと親しくしてるだけで…。
でもあなた里見先生とお近づきになりたいんでしょう?おかしなこと言わないで。
(政子)そういう気持ちは相手にも分かってしまうものよ。
里見先生だって男だから気を付けないと。
お母さま。
できないの?できないの?佐枝子さん。
いいわ。
できないならお母さまが里見先生にもう会わないように言ってあげます。
あなたの将来のためよ。
(ドアの開閉音)
(ケイ子)五郎ちゃんてやっぱりバカね。
目をつぶって頭を下げればよかったのに。
頭を下げれば東教授がニコニコ俺を推すと思うのか?
(ケイ子)フッフフフ。
でもどうかしら?東教授だって人間よ。
案外本気で五郎ちゃんを…。
俺は甘い勝負はしない。
うん?もし君の言うようにあいつに俺を推す腹があったならいいがはなからその気などなくて鵜飼教授に俺が泣きついてきたと告げ口するための罠だったらどうする?俺は両方を敵に回すことになる。
そんな危ない橋を踏むより鵜飼教授だけでも手堅くつかんでいたほうが得策だ。
腐っても医学部長だからな。
ウチ来る?いや帰る。
誰が見てるか分からんからな。
そう。
じゃあせいぜい奥さまに甘えてください。
腐っても助教授の財前先生。
ああ。
ああってことないでしょう。
(ため息)
(典江)財前さん女性のほうは大丈夫?余計なお世話。
はい第一内科です。
わたしですが?こんな時間に病院まですみません。
あのほんの少しだけよろしいでしょうか?
(里見)かまいませんが…。
えっ?あなたのお母さんがわたしに?
(佐枝子)お恥ずかしいのですが母はわたしの縁談をまとめることに必死になっていてそれでわたしが里見さんのお宅に伺うのを快く思っていないのです。
どういうことでしょうか?あなたのご縁談とわたしが何か関係あるのでしょうか?母はわたしが里見先生に特別な感情を抱いてるんじゃないかと思っているんです。
あっもちろんそんなことあるはずもありません。
ですが母はこうと思ったら聞かない性格で…。
もしつまらないお電話がありましたらどうぞお気になさらないでください。
わたしもしばらく三知代さんとお会いするのは控えようと思いますので。
あの…。
はい?わたしは…。
わたしは三知代が楽しそうにあなたとおつきあいしてるので喜んでいます。
はい。
(ドアの開く音)よう。
(里見)どうした?酔ってるのか?どうしてもお前に会いたくなってな。
すいません。
失礼します。
〜〜これ飲んで帰ってくれ。
里見先生。
何であんたいつもそんなに涼しい顔していられるんですか?
(里見)じゃあこっちが聞くがどうしてお前はそんなに教授になりたいんだ?何でかなあ?お前は医者として確かな腕を持ってる。
たくさんの患者を救ってきた。
それじゃダメなのか?いくら命を救っても教授になれなきゃ意味ないね。
俺は偉くなりたいんだよ。
一番になってより多くの人間を従えて歩きたい。
男なら誰でも思うことじゃないのか。
少なくとも俺は思わんがね。
フッフフ。
ホントかねえ。
自信がないだけじゃないのかねえ。
なあ財前。
うん?お前が基礎から第一外科に移ったときどんな患者でも助けてやるって豪語してたよな。
何てごう慢なヤツだと思ったが妙にすがすがしかった。
あのときのお前の顔が忘れられんよ。
だったら助けてくれないか。
大河内教授との間を取り持ってくれよ。
それが無理なら財前はすばらしい腕と信念の持ち主だと宣伝してくれないか。
「事前運動には協力しない」だったな。
(財前)はいはい。
分かってますよ。
(里見)自分で会いに行けばいいじゃないか。
お前に本当に信念があるなら大河内教授だろうが誰だろうが堂々と会えるはずだろう。
財前五郎です。
はっ!あほ。
俺だよ。
何だよ。
当直?そっちも?ああ。
佃先生に代わってくれって頼まれて。
ああ。
忙しいんじゃないの?医局内工作。
(ため息)最近そんな話ばっかだよ。
まっ誰に付くかによって人生変わるからしょうがないさ。
(柳原)でも病院は病気を治すとこだろ。
出世を競うとこじゃないよ。
(竹内)フフッ。
何がおかしいんだよ?お前が言っても説得力ゼロ。
俺はまじめに言ってんだぞ。
俺だってまじめだよ。
今のお前の言葉財前先生が言ってみろ。
「病院は病気を治すところ」だって。
フッ。
すごい重く響くよ。
へーって思うよ。
ヤナ。
結局は偉くならなきゃダメってことさ。
おっ。
財前先生。
おう。
ちょっと忘れ物があってな。
(柳原)お疲れさまです。
(竹内)お疲れさまでございます。
君ら同期だったな?はい。
はい。
何で医者になった?僕は父が開業しておりますので。
ぼっ僕は子供のころ母が病気をしましてそれで医者に助けてもらったので人の命を救いたいと。
そうか。
(竹内)あの何か?いや。
ただ聞いてみたかっただけだ。
お疲れ。
お疲れさまでございました。
お疲れさまでした。
〜〜〜
(大河内)第二回教授選考会を始める。
全国公募により多士済々の10名が集まったわけだがこれより慎重に論議のうえ最終候補者を絞りたい。
ご協力を願う。
(鵜飼)はい。
公正第一で参りましょう。
公正第一で。
そろそろか。
(ドアチャイム)はじめまして。
どなた?誰だと思います?財前先生の奥さま?うわすごい!よく分かったわね。
そちらこそここがよくお分かりになりましたわね。
妻ですから。
アッハハハ。
お上がりになります?愛人の部屋に。
どうぞお構いなく。
お願いしたいことがあるだけなのですぐに失礼します。
(ケイ子)何でしょうか?主人とはしばらく会わないでいただきたいの。
ご存じでしょうけど主人は今教授選の大事な時期なの。
女性問題で足をすくわれてはつまらないでしょう?
(ケイ子)なるほど。
また教授選が終わったらお貸ししますから。
わたし別にお借りしたつもりありませんけど?だって財前先生は財前五郎という一人の男性であって誰のものでもないでしょう。
(杏子)あなた主人が教授になりそびれてもいいって言うの?別にかまいませんわ。
だって財前先生の人生ですもの。
わたしはそうはいかないわ。
だって妻と夫は同じ人生を共有してるんですものね。
でもまあわたしが会おうが会うまいが教授になれるときはなれるでしょうしなれないときはなれないんじゃないかしら。
女性問題でダメになるような方なら教授になっても長続きはしないと思いますよ。
だって医学部って海千山千のしたたかで業の深い人間の集まりなんですもの。
(杏子)よくご存じね。
ええ。
わたしはそこを抜け出した人間ですから。
だからそこを勝ち残っていけそうな財前先生が好きなんです。
アッハハハ。
(ケイ子と杏子の笑い声)
(大河内)これまでの意見により徳島医科大葛西教授石川大菊川教授それに本学の財前助教授の3名に絞られたわけだが…。
(葉山)えー石川大の菊川教授はまあ業績は優れていますが個人主義で協調性に乏しいという話も聞きます。
大所帯を引っ張っていくのは難しいのでは。
(鵜飼)そうですか。
ならば医局を切り盛りすることに慣れた財前君のほうが適任かもしれませんな。
(今津)しかし先程から申しているように財前君は独断的で…。
後進を育てるという面ではどうですかな。
医学部長のわたしが聞いたところでは医局員からの信頼は厚いということですが。
(葉山)それにやはり本学出身者は最終選考まで残すべきではないでしょうか?
(野坂)同感ですね。
(鵜飼)では野坂先生としても…。
(野坂)わたしは徳島医科大学の葛西教授が適任だと思います。
(野坂)葛西教授は本学出身者でありかつては第一外科の助教授も務めた人格円満なる学者です。
財前助教授に関してはわたしも人間性に疑問を感じてますので葛西教授こそ次期教授にふさわしいと考えます。
現教授の東君の判断は?私は財前君を指導してきた立場ですので公平な判断はできかねます。
コメントは控えさせていただきます。
(大河内)議論はすべて出尽くしたようだ。
(大河内)選考委員長として徳島医科大葛西教授石川大菊川教授本学財前助教授の3名で教授会による投票を行うこととしたい。
異論のある者は?〜お疲れさまでございます。
大河内先生。
(財前)折り入ってご相談したいことがあるのですが。
これから研究なんだがね。
私教授にはなりたくございません。
『アメイジング・グレイス』〜〜〜〜〜2015/12/01(火) 14:55〜15:50
関西テレビ1
白い巨塔 #07[再][字]【教授の椅子に座るのは誰か?財前の野望を賭けた戦い!】

「毛嫌い」

詳細情報
番組内容
 第一外科教授選は、大河内教授(品川徹)の発案で全国公募となり、緊張の色を深める財前五郎(唐沢寿明)は、なぜか自ら申し出て、東教授(石坂浩二)の手術助手を務めた。その後東は財前を呼び出し、自分への忠誠を要求する。一方、教授選考委員会では、財前、菊川(沢村一樹)らで最終投票が行われることが決まった。財前は、大河内攻略に向かった。
番組内容2
またケイ子(黒木瞳)の存在に気付いた杏子(若村麻由美)は、ケイ子の家に乗り込んだ。
出演者
唐沢寿明 
江口洋介 
黒木瞳 
矢田亜希子 
水野真紀 
沢村一樹 
片岡孝太郎 
伊武雅刀 
若村麻由美 
西田尚美 
野川由美子 
池内淳子 
伊藤英明 
石坂浩二 
西田敏行ほか
原作・脚本
【原作】
山崎豊子

【脚本】
井上由美子
監督・演出
【企画】
和田行

【プロデューサー】
高橋萬彦 
川上一夫

【演出】
村上正典

【音楽】
加古隆 
「アメイジング・グレイス」ヘイリー

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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