ガイアの夜明け【“庶民の味”を確保する!〜サンマ、タコ…世界争奪戦〜】 2015.12.01


「GAIA」…それは息づく大きな生命体。
混沌の時代にも希望を見いだし再生を果たして未来へ向かう。
そこにきっと夜明けがやってくる。
市内にある人気の日本食レストラン。
最近意外なメニューがブームとなっています。
それは日本の庶民の味。
サンマの塩焼きです。
上海では手頃な価格。
ここ数年の日本食ブームでサンマを食べる人が急増しているのです。
こちらの客もサンマ。
隣のテーブルでもサンマ。
その勢いはまさに爆食。
中国のサンマ人気を支えているのがここ台湾です。
遠洋漁業の基地がある台湾第2の都市高雄。
港に巨大な船が泊まっていました。
日本で最大のサンマ漁船と比べても6倍以上の大きさです。
実は台湾はサンマの漁獲量でおととし日本を抜きました。
今や世界一のサンマ大国となっているのです。
これは安くて栄養のある魚としてサンマの消費を更に拡大しようとしています。
高雄市内にある中堅の水産会社。
会長の林さんは台湾でいち早くサンマ漁に乗り出した人物です。
所有するサンマ漁船は4隻。
どれも1,000トンクラスの大型船です。
林さんが指差したのは北海道沖。
台湾の漁船が日本のノド元にまで迫っていました。
林さんが案内してくれたのは巨大な冷凍倉庫。
そこには箱詰めされ山積みとなった大量のサンマが。
その行き先は…。
一方サンマの本家日本では…。
今年サンマが品薄状態で高値が続いています。
こちらの店ではこの日は手を伸ばすもののためらう客も。
この店ではいっとき400円以上の値をつけたこともあったといいます。
サンマはもはや庶民の味ではないのでしょうか?獲れないサンマを求めてこの秋一隻の船が未知なる海に向かいました。
しかしそこで漁師たちが目の当たりにしたのは赤い明かりをつけた謎の船がひしめく異様な光景でした。
サンマ争奪戦。
緊迫の現場に迫ります。
子供にも人気のあの食べ物が値上げの危機。
世界でタコの争奪戦が始まった。
日本を代表する秋の味覚。
それがいまや高嶺の花に。
漁の現場でいったい何が?海の幸を守る世界初への挑戦。
小さな命は日本の切り札になるのか!?秋の味覚サンマ。
今年は記録的な不漁に見舞われています。
これまでの漁獲量は去年のほぼ半分だそうです。
なぜサンマが獲れなくなったのでしょうか?こちらの地図の赤い部分は原則として日本の漁船だけが漁ができるエリアです。
そしてこちらの水域はサンマがエサを食べて大きくなる場所です。
日本のサンマ漁は8月に北方四島あたりから始まります。
そして9月に北海道。
10月には三陸沖へと南下し12月に房総沖で終わります。
しかし今年は海流の変化でサンマが沖のほうへ移動してしまっているそうです。
実は最近その沖合いで盛んにサンマ漁が行われています。
漁をしているのは中国そして台湾の漁船です。
これまで中国や台湾ではサンマは食べられていませんでしたが最近の和食人気もあって需要が急増。
日本が漁を始める前の5月から沖合いで大量にサンマを獲るようになっているそうです。
『ガイアの夜明け』今回は日本の食に欠かせない水産資源。
知られざる争奪戦の舞台裏を追いました。
三陸沖を進む一隻のサンマ漁船がありました。
日本では最大級のサンマ漁船です。
三陸沖にサンマが少ないためこの時期としては遠い北海道沖を目指します。
指揮を執るのは漁労長歴45年の夕方目指す漁場に到着。
サンマを集めるための明かり集魚灯がともりました。
いよいよ清枝さんの出番。
魚群探知機などを見ながら群れを探します。
いましたサンマです。
群れを船に集めたら明かりを右側だけつけたままにしてサンマを右側に集めます。
その間に左側に網を入れます。
次に右の明かりを後ろから順に消しながら左の明かりをつけサンマを網に誘い引きあげます。
清枝さんサンマが十分に集まったことを確認していよいよ開始。
一斉に網を海に投げ入れます。
集魚灯をタイミングよく切り替えていかにサンマを誘導するか。
そこが腕の見せどころ。
サンマが網に入ったのを見計らって網をあげていきます。
これは巨大なポンプ。
サンマを海水ごと一気に吸いあげていきます。
果たして1回目の漁の成果は?
(スタッフ)少ないですか?かなり。
例年ならひと網で5トンは獲れるところわずか1トン。
サンマを求めて漁場を転々と移りますが一向に大きな群れには出会えません。
気が気でない清枝さん。
珍しくとれ高を確認しに下りてきました。
しかし厳しい表情。
頭を抱える清枝さん。
これまで経験のない不漁です。
今回獲れたサンマは例年に比べてわずか3分の1。
今年はこんな漁が続いています。
第8三笠丸の母港今年の不漁は町にとって大きな痛手です。
第8三笠丸を所有する父の代からサンマ漁を始め4隻のサンマ漁船を持つ業界大手です。
鎌田水産の売り上げの大半はサンマ関連。
船と工場を合わせて100人を超える従業員を抱えているため今の事態は死活問題です。
なんとかサンマを確保したい鎌田さん。
ある決断を迫るため漁労長の清枝さんのもとへ。
日本の沿岸にサンマがいない以上サンマがいる海へ行くしかない。
目指すのは北太平洋の公海。
どこの国にも属さないため自由に漁ができる海域です。
そこならサンマがいるはず。
しかし公海は日本のサンマ漁船がほとんど行かない未知なる海。
本当に獲れるのか?期待と不安をのせて第8三笠丸が出港しました。
北太平洋の公海まで片道30時間。
漁場が近づいてきました。
いつもとは違う海。
漁師たちの間にも張り詰めた空気が。
すると清枝さん身を乗り出しました。
船を取り囲むようにいくつもの赤い光が。
こちらに向かってきます。
それは見たこともない異様な船でした。
サンマを求め未知なる海北太平洋の公海へと向かう第8三笠丸。
ベテラン出港から30時間ようやく漁場に到着すると海面にはいくつもの赤い光が。
そのうちの1隻がこちらに近づいてきました。
赤い光は集魚灯。
実はこれ日本と違い赤い集魚灯が主流です。
全長およそ70m。
大きさは第8三笠丸の5倍はある巨大漁船です。
レーダーの白い点はすべてサンマ漁船。
青い筋はその航跡です。
この画面だけでも60隻以上はいます。
この異様な光景に清枝さんにも緊張が走ります。
いよいよ漁が始まりました。
ところが…。
網が絡まったようです。
バカ!気がはやったのかありえないミス。
混乱する三笠丸を尻目に外国船は集魚灯を消してサンマを誘導。
順調な様子です。
遅れを取り戻そうと再び網を入れます。
すると…。
網を引きあげていくと…。
大量のサンマが。
貯蔵庫が次々と満杯に。
久々の大漁です。
大船渡に戻った第8三笠丸。
公海での漁はひとまず成功です。
しかし清枝さん手放しでは喜べません。
現在公海でのサンマ漁には国際的な規制はありません。
中国や台湾はサンマの資源量は十分だとして年々漁獲量を増やしています。
公海でのサンマ漁について台湾水産当局のトップは…。
こうした状況に危機感を抱いた日本の水産庁は世界で初めてとなるサンマの資源管理に向けたルール作りに乗り出しました。
中国や台湾も交え獲る量や漁船の数について議論されます。
恒例の「さんままつり」が開かれました。
呼び物はこれサンマの炭火焼き。
1,500匹が来場者に無料で振る舞われました。
日本を代表する秋の味。
会場中に笑顔が溢れます。
みんなの笑顔に鎌田水産の鎌田社長サンマへの思いを新たにしました。
一方こちらは地中海に面した市内のアパートで暮らすちょうど昼食の準備中です。
鍋から取り出したのは大きなゆでダコ。
足をハサミで切ってぶつ切りにしていきます。
そこに塩とパプリカ更にオリーブオイルをかけて出来上がり。
家族みんなが待っていたスペインの伝統的な家庭料理です。
実はスペインは世界で3本の指に入るタコの消費大国と言われています。
日本ではおなじみの食材タコ。
しかし世界を見渡すとタコを食べる国はごく限られています。
ヨーロッパでタコを食べるのは地中海沿岸の国々です。
例えばスペイン。
スペインを代表するタコ料理といえばこちらタコのガリシア風。
もともとは北西部の郷土料理です。
そしてイタリアではこの溺れダコのナポリ風。
タコをトマトソースで煮込んだ料理でイタリア南部の港町ナポリの発祥です。
ギリシャもタコをよく食べる国のひとつです。
タコを洗濯物のように干すのはギリシャでよく見かける光景。
それを炭火で焼いて食べるそうです。
ところが今タコは世界中で食べられるようになってきました。
その理由はこちらの寿司です。
世界的な寿司ブームで欧米や中国でのタコの消費量が急増しています。
しかしその一方で漁獲量は減少しているそうです。
そんななかある日本企業がタコを安定的に確保しようと動き出していました。
客が行列を作っていたのは日本最大のたこ焼きチェーン築地銀だこ。
たこ焼きの主役といえばもちろんタコですが銀だこは大粒のマダコにこだわっています。
油で衣をカリカリに揚げて出来上がり。
値段は子供からお年寄りまでみんな大好きな庶民の味です。
ところがこのたこ焼きに欠かせないタコの価格に異変が起きていました。
タコの価格は乱高下を繰り返していますが最近は世界的な品薄で高値となっているのです。
築地銀だこを運営しているのがホットランド。
実は3年前苦い経験をしていました。
そこで8個入りを6個に減らして実質的に値上げ。
すると客の反発を招き売り上げが急減。
すぐに8個入りに戻さざるをえなかったのです。
タコを求めて未知なる国へ。
佐瀬さんがやってきたのは…。
西アフリカの日本人がほとんど来ない砂漠の国です。
すごいですね。
そこで目の当たりにしたのがこの光景。
いったい何が起きたのか?西アフリカ築地銀だこを運営するタコを確保するためにやってきました。
浜辺にはたくさんの船。
そしておびただしい数の人々が。
すごいですよね。
みんな魚を水揚げするために集まっていたのです。
モーリタニア沖の大西洋は世界でも有数の豊かな漁場。
市場には大小さまざまな魚が並びます。
佐瀬さん浜辺に置かれた袋に目をとめました。
開けてもらうと…。
マダコです。
1.2〜1.3キロ。
すっごいよ。
メチャクチャ生きてる。
実はモーリタニアはマダコの一大産地。
しかも品質の高いタコが獲れることで知られています。
その理由がこれ。
モーリタニアでは日本と同様タコつぼを使って漁をします。
1980年代ODA政府開発援助で派遣された日本人がタコつぼ漁を教えて広まったのです。
その質のよいタコを求めて世界各地からバイヤーが集まってきます。
プルポ?メニープルポ?港のあちこちでヨーロッパのバイヤーの姿が。
最近では彼らが幅をきかせ日本のバイヤーより高値で買ってくれると地元の業者は言います。
なんとも強気。
そんななか佐瀬さんは質のいいタコをなんとか安く手に入れたいと考えていました。
実は佐瀬さんすでに手を打っていました。
水産加工を手がける地元企業と組んで工場を建設。
タコの買い付けから加工までモーリタニアでやってしまおうと考えたのです。
これはタコを安定的に確保したい佐瀬さんにとって大きな決断でした。
現在銀だこはモロッコやメキシコなどで調達したタコを一度東南アジアの工場まで運びたこ焼きサイズにカットして日本に届けています。
もし一大産地のモーリタニアで買い付けから加工までできればこのモーリタニアのプロジェクトを任されたのが入社してまだ1年の以前はヤマハ発動機で船のエンジンを売っていたアフリカ担当の営業マンでした。
実は…。
現地に入った數野さん。
この日砂漠の一本道を6時間ひた走ります。
着いたのはとある水産会社。
タコの在庫を手放したいという情報を聞きつけたのです。
早速見せてもらいます。
カチカチに凍った冷凍タコ。
品質をチェックするため解凍してみることに。
要はヨーロッパのバイヤーが買わなかった余りものです。
切ってみると…。
あやうく質の悪いタコをつかまされるところ。
數野さん無駄足に終わってしまいました。
再び6時間かけてようやく帰宅。
ここが數野さんが借りているアパートです。
これ最近のお気に入り画像です。
妻と幼い娘を日本に残しての単身赴任。
數野さんここが正念場です。
モーリタニアのタコ漁は夏と冬の年2回。
冬の漁の解禁が3週間後に迫っていました。
ボンジュール。
サヴァ?トレビアン。
実は數野さんある秘策を練っていました。
目の前に現れたのは一艘の漁船です。
タコを確実に手に入れるには買い付けるだけでなく船を買って自前でタコを獲るほうがいいと考えたのです。
そしてもっとも重要なのは腕利きの漁師。
アンシャンテ。
この日新しい船に乗ってもらう交渉にやってきました。
數野。
タコの居場所を熟知した名うての漁師だと評判です。
バイさん漁師の収入だけで3人の子供と奥さん更にそれぞれの母親と妹の一家まで養っています。
いい船でタコがたくさん獲れれば銀だこは助かりバイさんの収入も増えるというわけです。
バイさん銀だこの船に乗ってくれることになりました。
サンキューベリーマッチ。
銀だこ号を待っていたのはこの光景です。
アフリカのモーリタニアでタコの確保を託されたこの日は待ちに待ったタコ漁の初日。
數野さんも乗船します。
舳先にはかわいいタコのイラストが。
いよいよ初の船出です。
操縦するのは數野さんが雇ったタコ獲りの名人バイさん。
沖へ出ること1時間。
前もってバイさんがタコつぼを仕掛けておいたポイントに到着しました。
早速タコつぼを引きあげます。
すると…。
タコが出てきました。
お〜!すごい力だ。
よしよし。
おいしいたこ焼きになってくれ。
よいしょ!次々とつぼからタコが出てきます。
またいいサイズですこれはいい。
この日獲れたのは19匹。
初日としては上々だといいます。
翌日…。
そこへ社長の佐瀬さんが日本からやってきました。
新工場ができるまでの間ここでタコを日本向けに加工することにしたのです。
タコを熱湯でサッとひと茹で。
すぐに引きあげて氷水で冷やすと赤みを帯びたきれいな色合いになります。
それを現地の女性たちがたこ焼きサイズにカットしていきます。
ノーノー。
こうやって切ってほしいんだよ。
そうオーケーグッドグッド!カットしたタコは冷凍して一方工場内の厨房では數野さんがたこ焼きを作っています。
佐瀬さんまずは工場のみんなに食べてもらおうと考えていました。
みんなたこ焼きは初めて。
果たして味はどうか?モーリタニアの人たちもたこ焼きが気に入った様子。
来年には新たな工場の建設が始まる予定です。
一方日本では世界初のプロジェクトが動き出していました。
そこに築地銀だこの佐瀬さんがやってきました。
向かった先は自社がもつ水産研究所。
実はここで世界初となる実験を進めているのです。
水槽の中にいるのは地元で獲れたマダコ。
すばやくエサの魚に食らいつくタコ。
佐瀬さんが取り組んでいるのはタコの完全養殖です。
卵を産ませ親ダコになるまで成長させる。
これができれば海にいるタコを守れると考えているのです。
タコつぼの中にいるのが親ダコ。
奥に見える白いものが卵です。
1か月もすると卵はかえり1.5ミリほどの赤ちゃんに。
現状ではまだ6ミリまでしか大きくできません。
佐瀬さんたこ焼きの未来のためにも完全養殖の技術を確立したいと考えています。
急速に拡大する和食ブームで世界が日本に注目するようになりました。
しかし一方でその和食に欠かせない食材が不足するという深刻な事態も招いています。
貴重な水産資源をどう守っていくのか今こそ魚の消費大国日本が世界の先頭に立って行動するときではないでしょうか。
2015/12/01(火) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
ガイアの夜明け【“庶民の味”を確保する!〜サンマ、タコ…世界争奪戦〜】[字]

秋の味覚が高嶺の花に?不漁続くサンマ求め
未知の海へ…そこに赤く光る「謎の船団」が
▽高騰が続くタコを求めて「砂漠の国」へ…
築地銀だこが挑む前代未聞の秘策とは

詳細情報
番組内容
“庶民の味”サンマが高騰…今年は漁獲量が半減し1尾400円を付けたスーパーも。原因を探るためカメラは中国・台湾に向かう。また危機感を強める大船渡の水産会社が、サンマ確保のため、未知なる海へ向かった。そこで遭遇したのは、赤い光を放つ「謎の船団」…争奪戦が始まった。一方、タコも高騰が続いている。日本一のタコ焼きチェーンはタコを求めて「砂漠の国」へ…そこには日本伝統の技を駆使するスゴ腕のタコ漁師たちがいた!
出演者
【案内人】江口洋介
【ナレーター】杉本哲太
音楽
【音楽】
新井誠志
【テーマ曲】
◆オープニング曲
 「鼓動〜ガイアの夜明け」(作曲/岸利至)
◆エンディング曲
 「夜空の花」(作曲/新井誠志)
「ガイア」とは
ギリシャ神話に登場する「大地の女神」を意味し、後にノーベル賞作家のウイリアム・ゴールディングが「地球」を指して“ガイア”と呼んだことから「ガイア=地球」という解釈が定着している。「ガイアの夜明け」という番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生=「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている。
関連情報
◆ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/
◆公式Twitter
https://twitter.com/gaia_no_yoake

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