欲望渦巻く不夜城…危険な薫りのするこの街にちょっと変わったお店があると聞いて訪ねてみた。
ネオンきらめく街の片隅真夜中だけ営業する調剤薬局だ。
夜の世界の人々が駆け込むこの場所で3日間。
それぞれの事情を見つめてみよう。
10月の初め。
木曜の夜9時から撮影開始。
よろしくお願いします。
おっ早速お客さん。
こんな時間でも薬剤師さんが相談に乗ってくれるんだ。
(取材者)あっそうなんですか。
日中病院で診てもらったけど薬局に行く時間がなかったので仕事の合間に来たんだって。
え〜そうなんですか?あっラーメン屋さん。
へえ〜。
薬局の営業時間は夜8時から翌朝9時まで。
不規則な仕事をしている人は確かに助かるよね。
店先で立ち止まりなかなか入ってこない2人組がいた。
(薬剤師)OK。
アジア系の外国人。
(英語で)旅先で盛り上がっちゃったけど急に不安になって駆け込んだみたい。
医師の処方箋が必要なため遅くまでやっている病院を案内。
香港から来た2人。
とんだハプニングだったね。
深夜0時過ぎ。
若い女性が一人でやって来た。
どうやら目薬を取りに来たらしい。
目ぢから?
(薬剤師)目ぢから。
それにしてもこんな時間までお仕事?人と接する仕事なんですね?そうですね。
究極のサービス業?へえ〜。
分かりました。
(笑い声)遅くまでお疲れさま。
終電も過ぎた1時過ぎ。
でも眠らない街歌舞伎町の夜はまだまだ終わらない。
薬局にまたお客さん。
仕事中の人かな?「いつもの」って何だろう?ニンニクエキスたっぷりの滋養強壮剤。
1本3,000円するらしい。
それをカプセルに詰め栄養ドリンクで流し込む。
えっとおねえさんの?へえ〜。
あっキープボトル?
(笑い声)薬局にボトルキープ。
さすが歌舞伎町。
今度は外国人の男性。
こちらも常連さん。
近所のバーで働いているという。
そういう事なんですよ。
(笑い声)来日して25年になるナイジェリア人のラリーさん。
栄養ドリンクを飲むついでにちょっとおしゃべりして気分転換。
ア〜。
頑張って下さい。
はい〜どうも。
深夜3時過ぎ。
お昼ご飯?ここを一人で切り盛りする薬剤師の中沢さん。
開店は2年前だという。
ほかの薬局が閉まる深夜なら小さなお店でも集客が見込めると独立したんだって。
(英語)
(英語で)タンポン。
あっOK。
問題ない。
(笑い声)ワンタブレット。
「我々はどこにでも見てきたし何の店は我々が探していたものはありません」。
はい。
ニュクス薬局でございます。
はい。
え〜と…朝9時。
この日の営業は終了。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
おはようございます。
夜が来るまでしばしお休み。
撮影2日目は金曜日。
頭痛薬。
はい。
若い男性が入ってきた。
自営業?はい。
は〜。
IT業界で一旗揚げようと去年茨城から上京したばかり。
友人も知人もいない都会暮らし。
体調が悪いけどまっすぐ帰る気にはなれなかったという。
映画?そこのそこの。
(笑い声)人の気配に触れるだけで少し気が紛れる事ってあるよね。
(笑い声)えっこれ地毛なんですか?あっそうなんですか。
え〜。
しょっちゅう世間話をしに来るという常連のあーさん。
でもこの街に来たのはつい最近の事らしい。
(笑い声)言っていいのかな?これ。
(笑い声)そうなんですか?海外で荷物を受け取り持ち帰る仕事。
そう知人に頼まれ行った帰り経由地の韓国で荷物から覚醒剤が出てきた。
3年に及んだ異国での獄中生活。
その後なんとか帰国できたけど…。
とにかく仕事をしようとたどりついた先が歌舞伎町だった。
どんな人でも受け入れてくれる…この街のそんな懐の深さに引かれる人も多いのかな。
その後金曜日なのにぱたりと客足が止まった。
(笑い声)全然?はい。
水商売の深夜営業への取締りも厳しくなり客足は遠のくばかり。
不夜城歌舞伎町も変わりつつあるのかな。
明け方栄養ドリンクを求める男性がやって来た。
(笑い声)カラオケスナックのボーイをしている男性。
これまで夜の街を渡り歩いてきたんだとか。
おっ!10代で北海道から上京し50年。
おっどこ行くの?どこ行くんだよ?
(笑い声)気が付くと人間くさい魅力がある歌舞伎町に根を下ろしていた。
お住まいは?
(笑い声)お疲れさまです。
足お気を付けて。
自ら選んだこの街でこれからも生きていく。
(サイレン)「煙が充満しているようです。
すぐに避難して下さい」。
初日に会ったラリーさんと再会。
何だか前と雰囲気が違うような…。
こんばんは。
今日も飲むんですか?そう。
あっそうなんですか?うん。
今日が47歳の誕生日。
パーティーに向け滋養強壮剤で景気づけ。
仲間が大勢集まるというのでついていってみる事にした。
彼が経営するこの店もここ数年売り上げが伸び悩んでいるそう。
でもあえて自分のおごりで開いた誕生パーティー。
乾杯!集まってくれたのは歌舞伎町で働く同業者たちだという。
ラリーラリーラリーラリーラリー!先の事は分からないけどこの街で生きる仲間がいる。
中沢さん薬局に鍵を掛けどこに行くんだろう?向かったのは目と鼻の先にあるおでん屋さん。
この日の夜食を頼んだみたい。
明け方まで店を開けるご近所同士よく行き来する仲だという。
まだ営業時間じゃない時にね。
はい。
ありがとうございます。
おいしく食べて。
ねっ。
夜明けまであと少し…。
助けを求めてくる誰かのため明かりをともし続ける。
2015/12/02(水) 02:15〜02:40
NHK総合1・神戸
ドキュメント72時間「歌舞伎町 真夜中の調剤薬局」[字][再]
舞台は東京・歌舞伎町にある深夜営業の調剤薬局。栄養ドリンクから医師の処方箋が必要な避妊薬までそろう店には、どんな人が駆け込んで来るのか。不夜城の3日間のドラマ。
詳細情報
番組内容
東京・歌舞伎町に夜間限定で営業している調剤薬局がある。栄養ドリンクから医師の処方箋が必要な避妊薬までそろえている店には次々と人が駆け込んでくる。肝臓に効くというドリンクを飲み干す水商売の女性。深夜残業中に頭痛に襲われたという若者。そして世間話をするだけで職場に戻る飲食店の主人。店は薬剤師との会話を楽しみにする街の“保健室”のような場にもなっている。深夜の薬局に3日間密着、不夜城の人間模様を描く。
出演者
【語り】鈴木杏
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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