くらし☆解説「シリーズ地球温暖化(2)世界の温暖化対策は?」 2015.12.02


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうはきのうに続いて地球の温暖化問題を考えます。
きょうのテーマはこちらです。
担当は広瀬公巳解説委員です。
フランス・パリでCOP21が始まっていますけれど温暖化交渉は非常に難しい問題なんですね。
私はこの問題の大切なポイントは空はつながっている、ということではないかと思うんです。
私たちが吐く息ですとか石炭を燃やしたときに出る二酸化炭素は酸素や窒素と違って熱をため込むという性質を持っています。
その熱くなった二酸化炭素は今、国境を越えて地球全体に広がって地球を覆っているという状況です。
貿易のように国境を越えるときに関税を課すこともできません。
目に見えないものを規制しようとしているので交渉は難しくなっています。
でも対策は取っていかなければならないですね。
具体的にどんなことができるんでしょうか。
温暖化対策、各国がどのようなものをとっているかドイツの環境NGOなどがまとめたものです。
上位に入ってくる国、どんな国が入ってくると思いますか?北欧は対策が進んでいる印象ですけどね。
国によって事情もいろいろ異なりますので、あくまで参考ということなんですけれどもデンマーク、スウェーデンイギリスといった国が入っています。
例えば1位のデンマークはどういう取り組みをしているんですか?いろいろあるんですが目立つのは風力発電です。
エネルギーを輸入に頼っていたデンマークはオイルショックを機会に風力発電の導入を進めてきました。
大規模な洋上風力発電を導入して去年は総発電量に占める風力発電の比率が40%近くにまでなって世界一になったとしています。
4割を風力で賄っているんですね。
二酸化炭素の排出も上昇から下降と転じているんです。
すばらしいですね。
そして、スウェーデン。
取り組み、ごみの再利用をやっています。
ごみの分別と処理の技術を高めた結果、家庭ごみの99%が再利用されるようになりました。
その結果スウェーデンではごみが足りなくなってほかのヨーロッパの国から、ごみを輸入するというところまできたんです。
ごみを燃料などにしているからむしろもっと欲しくなったということですね。
ビジネスにもなるということですね。
そしてイギリスは気候変動法という法律を作って50年という長い期間の温暖化対策を法律で規定しています。
二酸化炭素の排出を5分の1に減らすと決めました。
イギリスは先日、方策として石炭火力発電所を全廃するということを発表しました。
不必要なアイドリングも規制されるという厳しさなんです。
やはりヨーロッパの国は対策優秀なんですね。
地球全体の問題として考えなければいけないという意識の強さがありますよね。
国民全体で意識が高いわけですね。
気になるのはやはり日本ですがこのランキングでいうとどれぐらいなんでしょうか。
日本は58か国の調査対象となった国のうち50位です。
日本は石炭火力発電を行っているためこの調査では低い評価になっています。
ただ日本はこれまでにも途上国の支援を行うことで温暖化対策への貢献を行ってきました。
ほかの国をサポートするという貢献のしかたですね。
温暖化対策を巡っては、最大の排出国の中国は大気汚染対策も兼ねて石炭や電力の消費量を抑えていますし京都議定書を離脱した排出2番目の国、アメリカは石炭火力発電所の規制も行っています。
この両国の積極姿勢が交渉を前に進める大きな要因になっているんです。
しかし、課題は途上国なんです。
二酸化炭素の排出抑制を巡っては先進国はすでに削減を行ってこれ以上雑巾を絞っても絞りきれないというところまできているのでそれに対して途上国はこれから人口も増えて経済成長も続けるということで排出量が増加します。
ところが排出を抑えるための資金と技術がないという状況なんです。
ですので、空はつながっていますので一体となって対策を進めていくということが求められています。
今回の会議でも途上国に温暖化対策のための資金や技術を提供すること、これが大きな焦点になっています。
日本は具体的に途上国に対して、何ができるんでしょうか。
それぞれの国の事情に応じた支援ということになります。
インドネシアの野焼きの例を見ながら考えていきたいと思います。
インドネシアでは、ことし違法な野焼きや森林火災で東京都の10倍ほどの広さの土地が燃えました。
大量の煙による健康被害も50万人と深刻だったんですけれども、火災によって生じた二酸化炭素の量も多くてことしの火災では日本の1年間の排出量を上回る量の二酸化炭素が出たという推計もあるんです。
ひどいですね。
インドネシアでは大気中の炭素をため込んだ樹木がそのまま泥炭と呼ばれる土に変化したところがたくさんあります。
今二酸化炭素を地中に閉じ込める先端の技術が注目されていますけれども、インドネシアの場合はその逆で自然が長い年月をかけて地面に固定してくれた炭素それが大量に気体となって出ている、二酸化炭素となって放出されているという状況なんです。
そもそも人が火をつけましたけどそういうことですか?火災の多くは住民の手によるものです。
背景にあるのは森をパーム油などの農園開発にするための乱開発なんです。
木を伐採して農地をつくるよりも手っ取り早く農地開発ができるので、手つかずの熱帯雨林にも手がつけられているという状況です。
早くさら地にしようという思いで火をつけるんですね。
その結果、森がなくなるので二酸化炭素を吸収されなくなる乾燥が進むので火事がどんどん進むということになります。
悪循環ですよね。
日本は何ができるんでしょうか。
こうした問題は火事をモニターするための衛星情報の提供を行うとか、野焼きの問題を社会の貧困の問題と捉えて野焼き以外の収入の道を考えていく。
野焼きの被害がどれだけ深刻なものか理解してもらうための教育を進めていくといったさまざまな支援が考えられていて、実際に行われている支援もたくさんあります。
森を助ける手助けを日本はしていくということですね。
支援というよりも共同作業温暖化対策の共同作業というふうにいっていいかもしれません。
インドネシアから出た二酸化炭素は結局、日本を含む地球全体を覆っているからなんです。
要は全体として成果を挙げられるような知恵が必要だということだと思います。
つまり、世界の温暖化対策というのは結局各国の対策であると同時に、私たちつまりすべての国の共通の温暖化対策。
地球の問題ですね。
フランスで協議されている温暖化対策も最後は全会一致で決めるということになっています。
もともと全員参加で取り組まなければ意味のないものなんです。
国際化社会がさまざまな違いを乗り越えて、オールワールドで一致して京都議定書に代わる枠組みを作っていけるかは空はつながっている、ということを忘れずにいられるか、私はここにかかっていると思います。
私たち一人一人も意識を高めていくことから始めないといけないですね。
広瀬公巳解説委員でした。
次回のテーマはこちらです。
温暖化交渉の議論のベースになった、世界の科学者がまとめたIPCC第五次報告書。
地球温暖化対策を最大限進めてもすでに被害をゼロにはできないことが明らかに。
社会のリスクが温暖化でどう変わるか、私たちの暮らしはどんな影響を受けるか解説します。
担当は山崎登解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/12/02(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「シリーズ地球温暖化(2)世界の温暖化対策は?」[字]

NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢

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出演者
【出演】NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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