NHK高校講座 物理基礎「管楽器の音を調べる〜気柱の共鳴〜」 2015.12.02


(ブツリン)フルートやクラリネットといった管楽器。
一般的に管楽器は管の中に空気を吹き込み押さえる穴を変えたりして音の高さを変えているよね。
これは一体どんな仕組みになっているんだろう。
(2人)こんにちは。
管楽器の中ではフルートの音が大好き。
黒田有彩です。
ソプラノリコーダーは得意でした。
熊谷知博です。
リコーダーって誰でも吹けるじゃん。
え?あ…うん。
ごめんごめん。
ごめんごめん。
そんな落ち込むと思わなかった。
熊谷君これ知ってる?何これ?これはねただの筒に見えるんだけどこれも立派な楽器なんです。
いくよ〜。
(ドレミの音階)こんなふうにたたくと音が鳴るの。
ちゃんと音階になってるんだね。
面白いね。
うんうん。
これね頭でも鳴るよ。
へえ〜。
この筒の中で何かが起きてるのか。
そうそのとおり。
それが今日の管楽器の大事なポイントなんです。
それでは3つのポイントはこちら。
管楽器の音はどうやって生まれるのか。
そして共鳴という現象や管の中にできる定常波について学習します。
そして筒の長さを変える。
つまり…このパイプからも分かるように……が出ます。
ソプラノリコーダーもほら演奏する時に指で穴を塞ぎますよね。
これは筒の長さを変えているんです。
だから全部の穴を塞いでいると…。
(リコーダーの音)振動する空気の長さは長くなるから低い音。
そして塞ぐ穴が少なくなると…。
(リコーダーの音)筒の長さは短くなるので音はだんだん高くなります。
ソプラノリコーダーよりアルトリコーダーの方が低い音が出るよね。
だからこんなふうに長さも長くなっています。
そっかなるほど。
今回管楽器の音についてお話頂くのは大津豊隆先生です。
(2人)よろしくお願いします。
お願いします。
日常的にはあまり聞かないかもしれませんが筒の中の柱状の空気の事を気柱といいます。
リコーダーやパイプも筒の中の気柱が振動する事によって音が出ていると言えます。
振動する気柱の長さによって出る音が変化するって事か。
そう。
でもじゃあ筒に穴を開けて吹けばリコーダーのような音が鳴るかっていったらそんな単純じゃないよね。
では気柱の長さと振動数の相性というものがどういう事なのか。
こちらの道具を使って見ていきましょう。
(熊谷黒田)はい。
今こちらには3本のメスシリンダーがあります。
メスシリンダーの中には異なる量の色をつけた水が入ってますのでメスシリンダーの中の空気の長さつまり気柱の長さが異なってる状態です。
(2人)はい。
今熊谷君が音叉を持っていてくれますが振動数が440Hzです。
この音叉を鳴らしてメスシリンダーの口に近づけてみて下さい。
はい。
お願いします。
じゃあ気柱の長い方から。
(音叉の音)うん何も起きないね。
変わらないね。
じゃあ次真ん中の。
(音叉の音)お〜音が大きくなったような…。
すごい響いてるね。
じゃあ最後一番短いの。
(音叉の音)何も起きないね。
うんうん。
では今なぜ鳴るものと鳴らないものがあったのかと言いますと気柱にはそれぞれ長さに応じた固有振動数があります。
その固有振動数と音叉の振動数が一致すると気柱に定常波が生じて空気が大きく振動します。
そして大きな音が聞こえたという訳なんですね。
この現象を共振または共鳴といいます。
音の時には共鳴という事が多いですかね。
相性が大事っていうのは固有振動数の事だったんだね。
そういう事。
では気柱の共鳴について詳しく調べていきましょう。
今回は気柱に与える空気の振動数を変化させて共鳴する振動数をまず調べてみましょう。
管が短い方が高い音がしましたので振動数は大きいはずですがどうでしょうか。
管の長さによって共鳴する振動数はどのように変化するか調べてみましょう。
3種類のパイプを調べます。
パイプをスピーカーの前に置きスピーカーから発信機の音を出します。
パイプの横のマイクはオシロスコープにつながっていて…。
(発信機の音)音の波形が表示されています。
では共鳴する振動数を調べます。
まずは一番長いパイプの「ド」です。
200Hzから振動数を上げていきます。
波形の変化に注目していて下さい。
(発信機の音)急に波の高さが大きくなりました。
パイプの気柱が共鳴したのです。
この時の振動数はおよそ…続いては「ミ」の音が出るパイプです。
(発信機の音)共鳴した時の振動数はおよそ…最後に一番高い音の「ラ」です。
(発信機の音)共鳴した時の振動数はおよそ…3種類の音が共鳴した時の波形を同時に表示してみると…今の実験で……という事が分かりました。
気柱の長さによって共鳴する音の高さは変化する。
でもフルートとクラリネット同じ長さの楽器なのに…。
(ドレミの音階)
(ドレミの音階)フルートに比べてクラリネットの音って低いんだ。
管の長さは同じなのにどうして?ではお見せしましょう。
これはさっきのパイプ。
これは…ドの音でした。
この片方の口にこれで蓋をすると…。
あれ?そうなの。
管の片方の口を閉じると音が低くなるの。
ほら両方口が開いてると…。
片方閉じてると…。
お〜。
ね?フルートとクラリネットの音の高さの違いも実はそこにあるの。
フルートは唇を吹き口に添えるだけで息を吹き込んでいるので管の端と吹き口と両方が開いている状態で音が出ているの。
一方クラリネットは吹き口をくわえて息を吹き込んでいるので片方の口が閉じている状態で音が出ているの。
音の高さは気柱の長さだけではなくて管の口の状態にも関係がありそうですよね。
両方開いてる方を開管。
片方が閉じてる方を閉管といいます。
先ほどは開管の時の共鳴する振動数を調べましたので今回は閉管になってる時に共鳴する振動数を調べてみましょう。
閉管の時の方が音が低くなりましたので振動数は小さいと予想できますがどうなってるでしょうか。
では見てみましょう。
閉管にすると振動数はどのように変わるでしょうか。
ドの音の出るパイプを共鳴させます。
先ほど調べたようにこの時の振動数はおよそ…ここでパイプを閉管に替えると波形の高さが下がりました。
白く残っている波形は開管が共鳴した時の波形。
黄色い波形は閉管の共鳴を調べるための波形です。
では振動数を下げていきます。
(発信機の音)閉管が共鳴しました。
この波形を見ると同じ時間に振動する回数が開管は2回閉管は1回である事が分かります。
この時の振動数はおよそ…開管の1/2でした。
ほかの長さのパイプも調べてみると閉管の振動数は開管の振動数のおよそ1/2になっていました。
閉管の方が共鳴する振動数が半分だから1オクターブ低いドが出たんだね。
そう。
片方開いているかいないかで気柱の振動は違うって事なんだね。
では管の中で気柱が共鳴してる時にどのような定常波ができてるか見てみたいと思いませんか?見てみたいです。
先生空気の波が見えるんですか?はい。
ある方法を使います。
では閉管と開管それぞれにできる定常波を見てみましょう。
はい。
気柱の中の定常波を見てみましょう。
まずは閉管で実験です。
管の中には軽い発泡スチロールの小さな粒が入っています。
スピーカーにはいろいろな音が出る発信機がつながっています。
発信機から音を出し振動数を徐々に上げていきます。
(発信機の音)振動数が100Hzになったところで音が共鳴し内部の粒が激しく動きだしました。
角度を変えて見てみましょう。
スピーカーに近い方で激しく動き反対側は動きがありません。
更に振動数を上げていくと今度は300Hzで共鳴しました。
管の中央部でも激しく動いています。
更に振動数を上げると500Hzで共鳴しました。
気柱が共鳴した時管の中でこのような定常波が確認できました。
続いて開管です。
管の端には粒が飛び出すのを防ぐためにネットを取り付けます。
先ほどと同じ実験を開管で行うと200Hz400Hz600Hzで共鳴しこのような定常波ができました。
では一番小さい振動数でできた定常波の形を見てみましょう。
上が閉管下が開管です。
閉管の場合にはこちらが固定端になっていますのでその時できる定常波の波形はこのような形になります。
こちらは節です。
一方開管の場合は自由に振動できますので自由端反射をしてますからできる定常波の形はこの形です。
この時両端が腹になっています。
では閉管の場合を詳しく見てみましょう。
まず一番小さい振動数でできた波形はこの形でした。
振動数は100Hzです。
先生どうして200Hzや400Hzの倍振動がないんですか?はい閉管の場合にはこちらは節ですがこちら側は腹になっています。
今振動数を上げていって次にできる定常波の形はこの形です。
では線を入れてみましょう。
今一番上の形を1と数える時次にできる定常波は123。
その次にできる定常波は12345となっています。
つまり閉管にできる定常波の振動数は基本振動の奇数倍となっている事が分かります。
続いて開管の場合です。
開管にできる定常波の波形はこういった形になっていますが振動数を上げていくとこのような形になります。
今両端が腹ですから次にできる定常波の波形はこのようになってますので一番上これを1と数えますと次にできる定常波の波形は12。
その次にできる定常波の波形は123となっています。
このように2倍3倍となっていますので開管にできる定常波の振動数は基本振動の整数倍である事が分かります。
管の中で音が共鳴するように音波は空間の中でさまざまな現象を起こします。
そこで今回は音が響く空間を作り上げる音響ホール設計の現場を見に行ってみたいと思いま〜す。
今回私がやって来たのは楽器や音楽音響機器などを製造する会社です。
ここで音響ホール設計を担当している…
普通の方は音響設計と言われてもなかなかぴんと来ないと思うんですけれども設計の世界では建築を設計する人たちがおりましてそこで音をどういうふうに設計したらいいかっていうのがなかなか分からないところがあるので我々のような音響のコンサルタントがついてですねいろいろな形とかホールの形状とかあるいはホールの中の内装をどういうふうにするかっていうような事を僕らが教えてあげる。
そういう仕事をしています。
へえ〜。
建築は完成してから形を変えたりする事はできませんよね。
だからどのように音が響くのか事前にコンピューター上でシミュレーションをしているんだそうです
例えばこのホールで音がどう響くのか見てみます
(宮崎)音がこのように広がっていきます。
うわ〜すごい。
あっはね返った。
壁に当たってはね返っていってこのようにどんどん広がっていくと。
ホールも共鳴すれば響くんですか?え〜とそうですねホールの場合はちょっと違う考え方で設計しています。
というのはですねホールの中に入ってくる音源っていうのは何か決まったものにはならない訳ですね。
そうするとどんな音に対しても響くようにしなければいけないという事になってきます。
要は……というそっちに近いと思うんですね。
つまりいろんな周波数を共鳴させる事で満遍なく音を響かせるというそんなようなイメージを持って頂ければいいかなと思います。
なるほど。
わ〜。
頭気を付けて下さい。
シミュレーションした音を実際聴く事ができるシステムもあります

こうして設計段階で実際に耳で聴きながら心地よい響きを生み出しているんだそうです。
音響設計の最新技術を体験する事ができました
今日は管楽器の音について学習してきました。
はい。
今日の最後はなんとカエルの鳴き声とともにお別れです。
唐突ですけど…。
はい。
(カエルの鳴き声のような音)お〜結構カエルっぽいね。
うん。
下から上になでてあげて下さい。
はい分かりました。
では…。
(カエルの鳴き声のような音)
(3人)さようなら〜。
(カエルの鳴き声のような音)これも…大きな音が生まれる原因は気柱の固有振動と外部から与えられる振動が一致して定常波が生じるからです。
このような現象を共鳴といいます。
閉管と開管では気柱にできる定常波が異なります。
開管に比べ…2015/12/02(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「管楽器の音を調べる〜気柱の共鳴〜」[字]

管楽器の音は管の長さや形によってまた吹き方によって変わります。実験を通して学びます。ポイントは1.管楽器の音の出し方2.共鳴と定常波3.開管・閉管にできる定常波

詳細情報
番組内容
管の中の空気を気柱という。管の中に息を吹き込んだとき、気柱の固有振動数と吹き込んだ息の振動数が一致すると気柱に定常波が生じて、大きく振動する。この現象を共振または共鳴という。両方が開いている「開管」と一方が閉じている「閉管」にできる定常波では、定常波の腹と節のでき方が異なる。また、基本振動と倍振動のでき方にも違いがあることを学習する。【講師】大津豊隆(豊島学院高校教諭)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】豊昭学園豊島学院高等学校教諭…大津豊隆,【司会】黒田有彩,熊谷知博

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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