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 化血研が40年前から血液製剤を不正な方法で製造していたのを受け、薬害HIV訴訟の大阪原告団の花井十伍代表は2日夜、都内で会見し、「和解に調印したときにも不正行為は続いており、非常に悔しく、悲しい思いをしている」と述べた。「和解に踏み切った私たちに対する決定的な裏切り」として、化血研の宮本誠二理事長に抗議書を手渡した。

 抗議書は製造記録の偽造が20年以上続いていたとみられることに対し、「提訴、和解の経過の最中から、不当な行為を開始、継続してきたことを意味する」などと厳しく批判。不正は、薬害エイズと「同根同質のもの」と指摘した。

 一方、日本医師会の小森貴常任理事は2日の会見で「かなり以前から、問題が放置されてきたことは極めて遺憾だ。国民の健康、命にかかわる重要な問題で、二度とないように要請していきたい」と語った。出荷が止まっているワクチンなどについては「安全性の確保が第一。(出荷の再開を)急ぐばかりにおろそかになってはいけない」と戒めた。

 血液製剤に詳しい大戸斉・福島県立医大副学長(輸血学)は「競争のない社会ではコンプライアンスや意欲が必要とされない。血液製剤メーカーに対する国の過剰な保護政策も、コンプライアンス精神を失わせた背景にあるのではないか」と指摘する。