突然ですがクイズです。
中に洗剤が入ったゼリーのようなボール。
洗剤の量を量る手間が省けると主婦の間で人気です。
そしてこちらも大ヒットしています。
子供が大好きな揚げ物を油を使わずに作れます。
さあ2つの製品に共通するものは何でしょうか?答えは…大企業とベンチャー企業などが手を組んだオープンイノベーション。
これまでにない新製品が生み出されています。
福岡では人気アプリが誕生。
自分の乗りたいバスが今どこを走っているか一目で分かります。
資金力があっても開発スピードが遅い大企業。
アイデアがあっても資金力がないベンチャー。
両者が手をつなぐ事で九州の経済が活性化しようとしています。
広がるオープンイノベーション。
その最前線です。
カラリとキツネ色に揚がった鶏のから揚げです。
香ばしい香りで食欲をそそります。
こちらがその冒頭ご覧頂いた油を使わずに揚げ物を作れる調理器です。
なぜ油なしで揚げられるかといいますとね中を見てみますと…ちょうどこの部分渦巻き状に見えるものが電熱線です。
ここで熱を生み出して熱風として循環させる事で食材を揚げるという仕組みなんです。
こうした斬新な発想の商品を生み出しているのが「オープンイノベーション」です。
手を組んだのはオランダの電機メーカー2社。
大手企業とベンチャー企業です。
この大手の強みはなんといってもこの豊富な資金力。
しかし一方で熱風を循環させる技術は持っていませんでした。
一方こちらのベンチャー。
その技術は持っていたんですが量産のための資金力はありませんでした。
今回この両者が手を組んでそれぞれの強みを生かす事で大ヒット商品が生まれたんです。
こうしたオープンイノベーションは今国が政策として推進。
IT関連のベンチャー企業などが次々と開業しているここ福岡でもオープンイノベーションが進んでいます。
オープンイノベーションを生み出せ。
福岡で開かれた商談会です。
集まったのは大企業とベンチャー企業合わせて30社。
まず大企業がベンチャーと組んでどんな事業をしたいかプレゼンしました。
プレゼンを熱心に聞くベンチャーの経営者たち。
ビジネスチャンスをつかもうと必死です。
このイベントに参加したベンチャーの経営者…小型の無人機ドローンを活用したユニークなビジネスを展開しています。
ドローンで空から地上を撮影。
そのデータを基に3次元画像を作っています。
これまでは橋や道路を点検する測量士が取引先でしたが…。
今回イベントに参加しある大企業と手を組みたいと考えました。
太陽光発電の設備を造る大企業とどんなビジネスをしようというのか?太陽光パネルを設置するためには事前に屋根や屋上に上って測量をしなければなりません。
ドローンで空から測量すればその手間を大幅に減らす事ができると考えたのです。
私たちの暮らしに欠かせない路線バス。
オープンイノベーションによって最近画期的なサービスが生まれました。
バスを待っているこちらの女性。
見ているのはスマートフォンのアプリです。
バスが今どこにいてどれくらい遅れるか一目で分かるこれまでにないアプリです。
ダウンロード数38万件の人気アプリはどのようにして生まれたのか?大手バス会社のアプリ開発責任者…ベンチャーと手を組んだ事で初めてスピーディーな開発ができたといいます。
大企業が自分たちだけでアプリを開発する場合企画書を部長や取締役に図らなければなりません。
アプリの機能やデザインも上層部の承認が必要で開発に時間がかかってしまいます。
今回アプリの開発にかかった期間は僅か3か月。
大手バス会社とアプリを共同開発した社員4人のベンチャーです。
社長の岡本豊さん。
アプリの機能やデザインを自分たちで決められるため短期間で完成させる事ができました。
ベンチャーにとってもオープンイノベーションは大きなメリットです。
大企業が持つ豊富な開発資金。
それを使ってアプリの完成度を高めたのです。
資金力はあっても開発スピードが遅い大企業。
一方アイデアや技術はあっても資金力がないベンチャー。
両者が互いに補い合う事で人気アプリは誕生しました。
スタジオにはオープンイノベーション研究の第一人者一橋大学の米倉誠一郎さんをお迎えしています。
米倉さん福岡でも動きだしたオープンイノベーションどのようにご覧になりました?いやあ面白いですね。
なんかもう街が活気づいているような感じがしますよね。
最後の方が言われたようにイノベーションというのは新しい組み合わせと昔から言われてるんですよね。
ですから今までは大企業は大企業だけとか言われていたんですがそれを次々組み合わせる。
更に技術も。
あの洗剤だって面白いじゃないですか。
パッと溶けてしかも丈夫なフィルム。
それを洗剤屋さんが開発できるわけないですよね。
じゃあこれを組み合わせたら新しい商品が出来る。
なんかとてつもない宇宙を変えるようなイノベーションではないかもしれないんですけれども新しい事が福岡から始まりそうだなっていう気がしますよね。
あるものをうまく組み合わせるその妙ですかね。
これは決してその大企業と組むのはベンチャー企業のみという事ではありません…?そうですね。
中小中堅企業でいい技術を持っていると。
ところが今までは下請けとしてバネだけ供給してたとかボールベアリングだけ…でもハッと目を広げてみたらあれ今度はロボットっていう時代がくるねとか今度介護っていうものに使えるんじゃないだろうかとかそういうふうに考えてみると中小中堅企業が持っていた技術がですね違うとこと結び付いて大きく花開くという可能性も出てきたと思うんですね。
このオープンイノベーションというのはどのように始まってどのように今広がってるんですか?急速に今みんなが耳にするようになったんですが始まったのは2000年ぐらいから1990年代の終わりですね。
アメリカのハーバード大学のチェスブロウさんが2003年に本を書いてから本格的に世界では動き始めたって言われてるんですがその背景には2つ重要な事があったんですね。
1つは技術と市場マーケットのスピードが変化が激しくなったんでこれではとても追いついていけない。
ですから一人でやってたらとても間に合わないっていうその大変化がスピード化が始まった。
そのスピードの背景にあった2つ目の要因はですねまさにインターネット…インターネットがものすごくスピードを上げたと同時にですね外の技術を探す事がすごく簡単になったんですね。
あるいはコストも安くなった。
もっといえばタダになった。
例えば今日僕が九州に来てですね九州のオープンイノベーションの研究者ちょっと会いたいな…。
昔だったら大学に電話をするとかですねどっかないか…ところが今インターネットで「九州オープンイノベーション大学研究者」とか入れるとダッ…。
そうですね。
同じ事が技術でも起こってます。
こういう事やりたいねそういうのないだろうか?ダッ…。
ですからその速くなったスピードにどうやってついていくかっていうのが大きな背景。
そのために実はインターネットっていうものが現れてそのコストが急激に安くなったしかも簡便になった。
この辺が大きかったと思いますね。
コストの面でも始めてみるといい部分が出てくるんですか?そうですね。
今言ったように技術変化が激しいし顧客の好みの変化も激しいっていう事は新商品しか大きな利益を稼ぐ事ができない。
せっかく出してもすぐ競合が現れる。
あるいは次の新機種が出そうだっていうと古い機種はもう値段がなくなってしまう。
ですから次から次に新しい商品を出さなければいけない。
プラス1回じゃ駄目出し続けなければいけない。
それで外と広がっているうちにですねあれ今までの開発コストが1年かかってたのを半年でできるっていう事は開発コスト半分でいいんだっていう事に気が付いたんですね。
そうするとオープンイノベーションっていうのは新商品で大きな利潤を上げる。
かける事開発コストもどんどん削減できるという事で3倍4倍5倍のメリットがあるっていう事に気が付いたんですね。
それをこの九州で広げていくために広げていくとすればどんな展開が考えられますか?九州とてもまず第一に考えられるのはアジアへの窓口ですからこれからたくさん来る観光客に対してさあ新しい商品新しいサービス。
先ほどのバスすばらしいなと思うんですけどまだ日本語ですよね。
じゃああれをあした来週から中国語英語にしようっていった時に一人でやってたら大変ですけどいろんなネットワークそれがインバウンドあるいは出ていく。
アジアっていう大きな市場に出ていく時に向こう側の企業と組まないと情報は分からない。
そういう意味では窓口としての九州には大きなチャンスがありますしもう一つは九州が農業がとても強いですから先ほどのドローンとかですねああいうものを使ったりITを組み合わせて新しい農業をやる。
更にですね僕はTPP賛成なんですけれども大きなマーケットが出てくるわけですね世界中の。
そうすると今まで小規模だった農業を巨大化していかなければいけない。
大きくするにはITはもちろんそうですけれども先ほどのドローンのようにどこの育成がしっかりしてないとかどこに肥料が行き渡ってないとかですね今まで人間がやれた範囲以外の事をやらなきゃいけない。
そうやって世界と戦っていくわけですから九州で新しい事がどんどん始まってくる。
農業とITとか農業とファイナンスとかそういう世界が見えるような気がしますね。
期待が高まっていきます。
それを推し進めるために大企業が変わり始めています。
会社を挙げてオープンイノベーションに取り組む大企業があります。
温度や湿度を測るセンサーを作っている大手メーカーです。
ベンチャーの斬新なアイデアを取り込もうと去年これまでにない仕組みをつくりました。
3年間で30億円をベンチャーに投資する子会社を設立。
資金を提供し自分たちのセンサーを取り入れたシステムの開発などを進めています。
投資先のベンチャーの一つです。
ユニークな農業用ハウスを開発しています。
センサーが日ざしの量が減った事を感知すると…。
ハウスに光を入れるため屋根のシートが自動的に巻き上がります。
センサーが気温が下がった事を感知すると自動的にシートが下がりハウスの温度を保ちます。
自分たちのセンサーを取り入れたハウスの開発に成功した大手メーカー。
今後もリスクを恐れずベンチャーに資金を投入しようと考えています。
これまで企業秘密にしてきた情報をさらす事でオープンイノベーションを進める企業もあります。
この春次世代の燃料水素を供給するための施設を新たに完成させました。
その心臓部がこの…4年前から装置の研究開発に取り組んできたこの会社。
熱交換器を小さくできない事が悩みでした。
なぜ熱交換器を小型化できなかったのか?この大手ガス会社は研究開発を取り引きのある企業とだけ行っていました。
自分たちの技術が外部に漏れる事を恐れたためです。
これが斬新なアイデアを生む事を妨げていました。
3年前思い切って小型化ができない悩みを外部の企業に相談。
すると銭湯の熱交換器を作るメーカーからあるアイデアが提示されました。
その技術を生かす事で小型化が一気に進んだのです。
弱点をあえてさらけ出す。
この会社では全ての製品開発の現場でこの考え方を取り入れています。
専従の職員が日々社内を回り自分たちに足りない技術を聞き取っています。
外部に求める技術はホームページに掲載。
世界中のベンチャーに発信します。
どんな製品を開発しているかを他社に知られるリスクはありますがあえて公表しています。
動きだした大企業どう評価されますか?いいですね!要するにリスクよりも広がったメリットの方が大きいという考え方が僕はすばらしいと思いました。
これから時代に合わせて変化をしていかなければいけませんね。
そうですね。
何しろ先ほど言いましたようにスピードなんですね。
大企業はオープンっていうとですねつい外ばっかり見るんですけどまず自分の技術の棚卸し。
これはやるこれはやめるこれは外から借りてくる。
そういうふうに決めてどんどんスピードを上げていくっていう事が求められていると思います。
でも一方でじゃあ小さい会社ベンチャー会社はどうするんだと。
それはやっぱり選ばれる力がないと駄目だと思うんですね。
選ばれる力っていうのは何かとがったもの引っかかるものそれを…他の特によかったのは資金力とかそういうものはないんですからじゃあ他の企業が助けたいとか他の企業がどうしてもそこに頼らざるをえないようなものをしっかり磨いていく。
でも技術だけじゃないんですよ。
先ほど「面白い」って言ってましたよね。
ああいうインターフェースをうまく作る。
だから大企業ではつい固くなってしまうものを簡単に作る。
それができるような気がするんですよね。
それだけ変わってでも変わる価値のある大きなビジネスチャンスなんですね。
僕はですね今こそほんとに大きなチャンスが来てると思うんです。
先ほど言いましたようにこれからマーケットはどんどん大きくなる。
ところが国内市場は小さくなっていく。
ですからある意味危機感を持って世界に打って出るぞみたいな気持ちがないと駄目だと思うんですね。
今まで日本企業はどうも欧米企業とか国内市場見てたんですけどもちょっと目を広げれば巨大なマーケットがある。
これはピンチではなくて大チャンスだと僕は思うんですね。
変わらなければピンチになるという裏返しでもありますよね。
そうですね。
大きなチャンスと。
スタジオにはオープンイノベーション研究の第一人者一橋大学の米倉誠一郎さんをお迎えして伺いました。
米倉さんありがとうございました。
「特報フロンティア」これで失礼いたします。
2015/11/30(月) 15:15〜15:41
NHK総合1・神戸
ろーかる直送便 特報フロンティア「広がるオープンイノベーション」[字]
大企業やベンチャーが企業の壁を超えて連携し、新規事業を起こすオープンイノベーションが広がっている。ベンチャー企業の多い福岡を中心に“革新”の現場を追う。
詳細情報
番組内容
人材や資金はありながら意思決定に時間がかかり、開発競争に乗り遅れがちな大企業。アイデアや技術があっても、人材や資金の壁に阻まれるベンチャー企業。いま、互いの壁を打ち破り、連携して新しい事業を起こすオープンイノベーションが広がりを見せている。全国でもベンチャー企業が多い福岡を中心に、スピード勝負の産業界で巻き起こる新たな動きを追う。
出演者
【ゲスト】一橋大学教授…米倉誠一郎,【キャスター】有田雅明
ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ニュース/報道 – 経済・市況
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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