訪日観光客の勢いが止まらない。「2020年に年間2000万人」の目標は既に射程に入り、さらに4000万人に引き上げる案も浮上する。そうした中、一部の観光都市にとどまっていた効果が地方に波及し始めた。日本人が魅力的に捉えなかった、何気ない田舎の日常風景。それが外国人の目には新鮮に映り、貴重な観光資源に変わる。観光資源がないと諦めていた「おらが村」に外国人を呼び込む。インバウンドの第2ステージ、それは地方創生の原動力になる。
日経ビジネス11月30日号の特集「おらが村のインバウンド」では、インバウンドの第2ステージにいち早く取り組み始めた企業や地域の成功例や失敗例を提示し、成功の秘訣を探った。この連載では、特集の連動企画として、誌面では紹介しきれなかった地方や海外の先進的な取り組みの詳細をリポートする。
人口約2300万人に対し、年間991万人もの外国人観光客が訪れる台湾。アジアでも有数の観光先進エリアだが、続々と訪れる中国人団体客をあえて制限するなどの政策も取る。目先のビジネスチャンスを棒に振ってまで守ろうとしているポリシーとは何か。台湾政府観光局の劉喜臨副局長に聞いた。
日本では豊富な観光資源があってもなかなか観光客が来てくれないと悩んでいる地方自治体が多いと耳にします。台湾では地方を訪れる外国人が増えていて、外国人観光客数の底上げにもつながっていると聞きます。どうやって集客につなげているのでしょうか。
劉:おいしいグルメや景色だけをいくらアピールしても観光客には何も響きません。観光客の求めるものや嗜好に沿った訴え方が必要だと思っています。
現在、多くの観光客が訪れている地方都市、台南市を例に挙げてみましょう。台南は古い町並みやお寺、史跡の集まるエリアでしたが、近年は古い建物を改装したホテルやカフェも増えてきており、現代的な様相も感じられます。1つの街でいろいろな楽しみ方ができます。
台南に関して、我々は若い旅行者に対しては自分で歩いて回れる花園夜市や少しごみごみした路地裏のカフェ、アート作品に触れられるようなエリアをお勧めしています。しかしファミリー層やシニア層にはこのような場所は向きませんね。
彼らには安平古堡(あんぴんこほう)のような17世紀のオランダ統治時代の史跡を中心に回ってもらうと共に、泊まるホテルももう少しランクの高い所を勧めています。交通手段も観光シャトルバスを使ってもらうようにします。
年齢別のアプローチだけでなく、国別のアプローチも必要不可欠だと考えています。ありがたいことに、最近日本から台湾に来る観光客は「女子旅」と言いましょうか、2~4人のグループが多い。なので彼女たちには良縁に恵まれるお寺などを推奨していました。
でもある時、人間関係で自分の足を引っ張っている人を追い払うご利益のあるお寺を勧めてみたところ、すごく食いつきが良かったのです。日本の女性は会社の人間関係でいろいろな悩みがあるのでしょうか。今ではすごく人気のあるお寺になっています。