<亘理FM局>財政難で放送継続困難に
東日本大震災に伴い開局した亘理町の臨時災害FM局(臨災局)「FMあおぞら」が、総務省からの放送免許の期限となる来年3月末以降の放送継続が困難になっていることが1日、分かった。町は国補助金の終了などによる財政難を理由に恒久のコミュニティー局への移行には否定的。移行を目指してきた局側は「復興途上の地域にとって情報発信はまだ必要」と支援の継続を求めている。
FMあおぞらは震災直後の2011年3月24日に開局。同名のNPO法人が町から委託を受けスタッフ7人が放送に携わる。町が総務省から臨時災害局の放送免許の交付を受け、年間1800万円の運営費は国の緊急雇用創出事業の補助金で賄っている。免許期限と補助金交付はともに3月末で期限を迎えるという。
コミュニティー局に移行する場合、運営費は町の財源や企業のスポンサー料で賄う必要がある。町企画財政課は「復興途上で財政が厳しい中、多額の税金を投じることに住民の理解を得るのは難しい。局側と一緒に企業も回ったが反応は鈍かった」と説明。今後は町のホームページなどで情報発信するという。
これに対し、局側は放送継続を望む。吉田圭代表は「厳しい財政状況は認識しているが、地域情報の発信はまだ必要。行政区長から継続を求める声も上がっており、住民の利益確保のために再考を願いたい」と訴える。
県内では震災後、11市町で臨災局が開設された。コミュニティー局への移行などを除き、現在放送を続ける臨災局は、亘理のほか、気仙沼、女川、山元の3市町。気仙沼市は16年度にコミュニティー局に移行する方針。
2015年12月02日水曜日