2015-12-01
ゲームマーケット2015秋に出品されたゲームで遊んでみた(その1)
ゲームマーケット2015秋に購入した新作同人ゲームについて、いつもの立川ボドゲ会にていくつか遊んできたので感想まとめ
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●ガラクタオークション(こげこげ堂)
- ゲームマーケット常連の「こげこげ堂」の新作は「競りに勝ってはいけない」という変な競りゲー。
- プレイヤーはセレブとなって謎のガラクタをオークションしていく。スタートプレイヤーから順に手持ちのお金カードを枚数だけ公開した状態で伏せて出します。このとき前のプレイヤーが出したお金カードを1枚だけ確認することができ、どれぐらいの金額を示せばいいのかのヒントとなっています。
- 全員一斉に金額を公開し「一番高い金額」を出したプレイヤーはガラクタを獲得するとともに「ガラクタにお金を払った」として金額分の得点を失います。それ以外のプレイヤーは逆に出した金額分の得点を得られるのですが、「最も安い金額」を出したプレイヤーだけは得点を貰えず、次のラウンドのスタートプレイヤーとなってしまいます。
- このゲームのお金カードは基本的に毎ラウンド使いまわしできますが、一番高い金額のカードだけは場に残さなければならず次のラウンドに使用できません。これと前のプレイヤーが出したカードを1枚だけ見れる、というヒントを活かして金額を予想していくのが基本的な流れ。あまりに高い金額を無造作に出してしまうと、他プレイヤーが多くの得点を獲得するチャンスを作ってしまい、かといって低い金額では得点を取れないばかりか不利なスタートプレイヤーまで獲得させられてしまう。このジレンマがかなり絶妙。数ターン先を読んでの値付けが求められます。
- カギとなるのが最初に配られる「好事家」カード。通常ガラクタカードは何ら価値を持たないのですが、各プレイヤー毎に配られる好事家カードには2枚まで集めると得点となるカードが定められており、このカードを持っているとゲーム終了時に+30点となります。これは正直かなり大きいので狙いたいところですがあまりに派手に競りに行くと警戒されるだけでなく、他プレイヤーに得点を与えることにもつながってしまいます。
↑好事家ごとの2枚ある得点となるガラクタが重要。
- ゲームとしてはシンプルなルールかつ、7回だけという短さながら悩ましいジレンマ、先読みとハッタリが問われる競りゲー…のようなものw 昨今の日本のミニマルゲームを体現したかのような内容でかなり面白い。
- あえて難点を上げるならばカード以外のコンポーネントがショボイところかな。特に得点マーカーは得点ボードのマス目より大きくて、頻繁に得点を更新するゲームなのに時々マーカーがどこに止まっているのか分からなくなる時があります。得点ボードがもう一回り大きい方が良かったかも。
- 「日本シジミ研究会」なるボドゲとは無縁っぽい団体が出してきた謎のクイズ系ゲーム。今調べてみたら全く同じタイトルのド真面目な研究所がアマゾンにあったw このことからもこのゲームがかなり高い志を持って生まれたゲームというところが伺える…かも。
- ゲーム内容としては基本的には「ファウナ」。宍道湖〜中海近辺に住む魚介類を記したカードについて、その写真から名前、大きさ、産卵期、生息域などを当てていく、というもの。ちょっと面白いのが「スタートプレイヤー」の獲得が選べるという点。というのもこのゲーム「名前」だけは分かりやすい(写真+一文字だけ分かっている)ため、最初にここが埋まることが多い。どうにもよさそうな選択肢がない場合はスタートプレイヤーを取りに行き次のカードに賭けるという戦略が取れます。
- ほかにも特徴としていろいろな効果がある「チャンスカード」を引くことも出来ますが、実はこれが曲者で効果が露骨な妨害系に偏っていることがあり、無駄に勝負が長引きやすい。かなり面白いクイズゲームで、魚の生態も詳しく知ることができる良作なのですが、このカードのバランスだけはちと悪くむしろこれを使わない方が良いかも…。
●ナショナルエコノミー(スパ帝国)
- こちらもお馴染みゲームマーケット常連のスパ帝国の新作は、以前からタイトルだけはちらっと話が出ていた発展拡張型のような経済ゲーム。
- ゲームシステムとしては一見して割とシンプルなワーカープレスメント系。労働者をいろいろな仕事に配置し、そこから建物を建てたりお金を稼いだりしていく、というもの。配置可能な仕事はラウンドごとに増えるほか、自分たちが建てた建物も職場となり労働者を働かせることができる。
↑配置可能な仕事はラウンドごとに増える。
↑建物カード。出したときや労働者を配置して効果があるほか、売却してお金を稼ぐ唯一の手段ともなる。
- ただしこのゲーム、非常にユニーク勝つ面白い市場の原理が働いており、お金は最初「ゲーム外」領域に配置されており、ゲーム中に建てた建物を「売却」することによってのみこの「ゲーム外」からお金を獲得できる。こうして獲得したお金は自分の労働者に「給料」として支払われたとき「市場のお金」領域に置かれ、ゲーム中にお金を獲得するアクションを実行した場合はこの領域にあるお金から獲得していく事になる(イメージとしては労働者に給料として払われたお金が、市場に消費されて還元されるイメージ)。
- お金を稼ぐ系のアクションは「市場のお金」が十分にない場合は選択できず、常に給与支払いは汲々。そのため建物を建てては売り、市場のお金をうまく循環させていくことを意識していく必要がある。
↑消費財はお手軽に補充できる手札となる。
- 建物の建築にはサンファンのようにコスト分の手札を捨てる必要があるほか、収入を得る系の仕事もほとんどはカードを捨てる必要があるため、はカード補充は常に意識していく必要がある。主に農業系の建物に労働者を配置した時に得られる「消費財」は割とお手軽に補充可能なため、これをうまく使っていけるとかなり中盤が楽になります。
- 市場の経済循環をうまくゲームシステムに落とし込んだ完成度の高い作品。ルールは特に難しいところはなく、プレイ時間は大体1時間ほど。すべてカードだけなので箱もかなりコンパクトにまとめられており、カードデザインなどもかなりのハイクオリティ。ゲーマーゲームとして非常にオススメの一品です。何気に「消費財」カードのバナナの絵がすべて違う絵柄だったりフレーバーテキストだったりと細かいこだわりもw
- 難点はその「難しさ」。このゲーム労働者とカードを引くバランスが難しく、序盤のミスがかなり後まで響きます。このバランスを間違えると労働者の給料を払うのに手いっぱいで全然カードが増やせない→カードがないので建物を建てられない、といった状態になってしまい完全にゲームから脱落してしまいます。給料を支払えるようになる前に、まずカードを引き増しする建物を建てておかないといろいろ大変なことになりますので注意しよう。
●航海の時代(A.I.Lab.遊)
- 最後は航海と貿易をテーマとした「航海の時代」。箱が木製の宝箱っぽい感じで非常にかっこよかったので衝動買いしました。こちらはゲームマーケット大阪で出ていた同名ゲームの第二版らしいのですが、そちら側は知らないので比較とかはできません。
↑船コマを島に移動させ、ボーナスを得る。
- 手番にできることは非常にシンプルで、中央の島+周囲の7つの島々に船コマを移動させ、そこの島のボーナス(資源やお金)を獲得します。獲得した資源を使って島に「投資チップ」を配置すると、よりランク高いボーナスが得られるようになっていきます。
- ゲーム終了時、島ごとに最も多くのチップを配置したプレイヤー+二番目のプレイヤーに対して得点が入ります。チップは誰かが3枚置いたら、他プレイヤーは同じ島には2枚までしか置けなくなり、支配権が確立するため、獲得できるボーナスをにらみつつ、最終的にどの島を支配するかの見極めが重要。
- お金は島によっては投資や資源購入のほか、より多く移動したり、他プレイヤーのコマがある島に上陸する際には支払う必要があります。ある程度無いと結構移動に制限がかかる印象。
- 最終的には誰かが手持ちの投資チップを使い切った状態で一巡するか、すべての島に3つのチップが置かれたらゲーム終了。島の得点を合計して勝者を決めます。
- 手番ごとにできることは「船を移動させる」ことと「投資チップを置く」ぐらいしかないのですが、そのシンプルなアクションの中にいろいろな駆け引きが詰まっており、移動ごとに結構悩まされます。
- プレイ時間も40〜60分程度で、手番ごとに割とサクサク進められることもありダウンタイムも短め。それでいて結構がっつりしたプレイ感があり満足感があります。値段も意外に安かったし、これもよい買い物でした。
- 難点は、このゲーム船の向きがあり、それぞれの向きの方向に島を回るという方式なのですが、船コマが微妙に小さく、いま誰がどちら向きかわかりにくい。ここはもう少し大きいコマが欲しかったかも。
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この日遊んだゲームはどれも完成度高かった(内容もコンポーネントも)。昨今の同人ボードゲーム界のレベル上昇が伺えます。
特にガラクタオークションとナショナルエコノミーはかなりお気に入り。今後もいろいろなゲーム会に持ち込む定番ゲームにしたいですね。
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