聞き手・藤原学思 聞き手・市川美亜子
2015年12月2日05時06分
報道や出版などの表現の「偏り」を批判したり、「公平」「中立」を求めたりする事例が相次いでいる。大手書店は「選書が偏っている」との批判を受けて、民主主義を考えるフェアを一時中止。テレビ番組の政治報道を「偏っているから違法だ」と主張する市民団体も発足した。背景や是非について識者に聞いた。
「記事が偏っているという批判が寄せられる。それには、『ええ、偏っています』と答えるほかない」
10月15日付の神奈川新聞に、安保法制への抗議行動などを取り上げる同紙の連載「時代の正体」への批判に答えた記事が掲載された。ツイッターやフェイスブックで1万回以上転載、言及されるなど、大きな反響を呼んだ。
記事の終盤では「私が偏っていることが結果的に、あなたが誰かを偏っていると批判する権利を守ることになる」と記した。
執筆した論説委員の石橋学さんは「無難な記事を求める社内外の自粛的な雰囲気と、それを受けて閉塞(へいそく)感を覚えている自分自身に向けて書いた」。反響については「10年前なら『何をいまさら』と言われたことを、わざわざ言わないといけない時代だということの裏返し」と語る。
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朝日新聞社会部
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