筋肉が骨に…難病の仕組み解明 iPS使い京大チーム
患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、全身の筋肉などに骨が生じる希少難病・進行性骨化性繊維異形成症(FOP)の発症メカニズムを、京都大iPS細胞研究所の戸口田淳也教授や池谷真准教授らのグループが解明した。治療薬開発に期待できる。米科学誌で1日発表する。
FOP患者は国内に約80人で、有効な治療薬は見つかっていない。健常者では骨形成因子(BMP)が細胞膜上のある受容体に働きかけて骨形成を促す。FOP患者では、受容体に異常があると分かっていたが詳しい仕組みは不明だった。
グループは、患者由来のiPS細胞での実験で、BMPとよく似た構造の体内のタンパク質約30種類を調べた。結果、BMPが作用する受容体が、けがなどの炎症時に増加するアクチビンAも受け入れていると分かった。
また、患者由来のiPS細胞をマウスに移植して病態の再現にも成功。薬剤効果を生体で検証することが可能となった。戸口田教授は「手術などで炎症があった後に、異常な骨化が進む病態の説明となる。今後、アクチビンA阻害剤などの治療薬開発にも期待できる」と話した。
【 2015年12月01日 07時50分 】