自民党佐賀県第二選挙区支部長
衆議院議員
2015年12月1日(火)
週刊yasushi 第642号「ミッキーマウスとハローキティ」
TPPは、工業製品や農林水産物の関税のことだけを定めているのではない。
著作権についても定めている。
その中で日本にとって最も大きかったのが「戦時加算」問題だった。
現在、著作権法によって例えば小説であれば多くの国においては著者の死後50年間、その作品は著作権法により保護されることになっている。(米国は70年、メキシコは100年などいろいろ)
ところが、わが国においては他国に比べて著作権が長く保護させられているのだ。
どういう意味かと言えば例えばある国では50年保護されている著作権が我が国ではそれに約10年加算されて約60年保護されなければならないという決まりになっているということだ。しかも日本の著作権はその相手国で約10年長く保護されるわけではない。一方的な、片務的なルールなのだ。
一体どういうことなのか。答えはサンフランシスコ平和条約に遡る。
この条約が締結された時、こういう趣旨の規定が入れられた。
日本が連合国側と戦闘状態に入った1941年12月8日からこのサンフランシスコ条約が効力を発する日まで連合国側の著作権が日本で保護されていなかったため、本来の保護期間にこの戦時中の期間を加えた期間を保護期間とする。
こうした考え方に基づき例えば米国、英国、フランスの著作権は本来の年数に加えて3,794日、つまり約10年加算されているということだ。
戦時中に著作権を保護していなかったのは相手国も同じだと思うのだが、いかんせん負けた方と勝った方との条約であるので無理が通ったのも仕方ないと言えば仕方ない。
しかし釈然としないのは同じ負けた側であるはずのドイツやイタリアにはこの規定が適用されていないことだ。(そもそもイタリアは早々と降伏していて、第二次世界大戦の終結の時にはなんと連合国側として日本に宣戦布告していたという特別な地位の国ではあるが)
とにもかくにも日本だけが約10年長く著作権を保護させられているという状態は不自然としか言いようがない。
保護させられている、ということはすなわち使用料を支払い続けさせられる、ということだから経済的にも影響は大きいのだ。
もちろんこれまでに何度もこのことを解消する試みは行われたようだが成功しなかった。確かに難しいだろう。サンフランシスコ条約そのものを改訂しなければならないわけだから。
ところが今回、TPP交渉の中で著作権は大きなテーマだった。その交渉の中で日本はこの戦時加算を解消するように関係国に迫った。
その結果、「死後50年保護」から「死後70年保護」をTPP各国共通のルールとすることにして、その際、戦時加算を廃止することになったのだ。
明治時代の条約改正と並ぶような海外だと思うのだが、地味な項目のせいか社会的にはあまり取り上げられてないのがとても残念に思う。
これを気にしていたのは政府だけではない。例えばJASRACも同様の要求を長年にわたってしてきている。
このことがやっと今回実現できるようになったということなのだ。
米国はミッキーマウスの著作権の保護をしていくためにこれまで期限が迫るとその度法律を改正してミッキーマウスの著作権を守ってきたと言われるが、今回の交渉の過程では米国代表のフロマンが「ミッキーマウスもハローキティも大事」とコメントしていた。
もう流石にミッキーマウスの著作権もTPPで決められた、ということで2024年に期限が来たら延長を諦めるのか、日本はハローキティを各国にこれからどう売り込むのか。
これらもまたTPPの一断面だ。
ふるかわ 拝
Copyright (C) 佐賀2区衆議院議員 古川 康 power-full.com All Rights Reserved.
Mail:info@power-full.com