姫野直行、中田絢子
2015年12月1日11時59分
北海道・函館と青森市を1時間で結ぶ北海道新幹線。来年3月26日の開業が近づき、地元で歓迎ムードが高まる。そんな中、ローカル線「青い森鉄道」が赤字転落の瀬戸際にある。開通区間と競合するわけでもないのにどうしてなのか?
「開業まで117日!」。11月30日、青森市内の青森県庁の正面玄関に入ると、北海道新幹線の車両を描いたカウントダウンボードが目に入る。機運を盛り上げようと、開業500日前から数え始めた。一方、県庁のそばを走る青い森鉄道は、少しでも乗客を増やそうと、車内で軽食やケーキを振る舞うクリスマスツアーなどあの手この手で企画を繰り出し、PRする。
青森市と岩手県境の三戸町を27駅で結ぶ青い森鉄道は2両編成。無人駅も多く、寒さ対策もあってドアは自分でボタンを押して開ける。電車に乗ってみると、途中駅で、下校する高校生が大勢乗ってきて、座席は人でいっぱいに。昨年度の1日平均の利用者数は約1万2千人で年間約20億円の旅客収入は確保できているという。では、なぜピンチなのか。
実は旅客収入の4分の1は、JRの寝台特急が青い森鉄道の線路を走る際にJRから支払われている。ところが、北海道新幹線の開業に伴って、上野―札幌を結ぶ「北斗星」が今年8月にすでに廃止され、「カシオペア」も来年3月には運行を終える。約4億6千万円の収入が来年度から消えてしまうのだ。
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朝日新聞社会部
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