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原発事故後に酪農家自殺 遺族と東電 和解成立
12月1日 12時08分

原発事故後に酪農家自殺 遺族と東電 和解成立
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原発事故のあと、福島県相馬市の自宅の小屋に「原発さえなければ」と書き残して自殺した酪農家の遺族が起こした裁判は、東京電力が和解金として遺族に数千万円を支払うことで、1日、和解が成立しました。
東京電力・福島第一原子力発電所の事故後の平成23年6月、福島県相馬市で酪農を営んでいた菅野重清さん(当時54)は、自宅の小屋に「原発さえなければ」と書き残してみずから命を絶ちました。
当時、菅野さんは「事故の影響で原乳を出荷できなくなった」と周囲に経営の苦しさを訴えていて、妻のバネッサさんと2人の子どもは東京電力を訴えていました。
おととし東京地方裁判所で始まった裁判で東京電力は争う姿勢を示しましたが、その後、和解に向けて双方が話し合っていました。
遺族の弁護団によりますと、1日、裁判所で行われた協議で、東京電力が和解金として遺族に数千万円を支払う一方、和解の文書に謝罪の文言は盛り込まないという条件で和解が成立しました。
和解について、遺族の弁護士は、「妻と子どもが残され大変な生活を送っていたので、早期に解決できてよかった。ただ、東京電力には謝罪してほしかった」と話しています。
一方、東京電力は、「菅野さんのご冥福をお祈りいたします。訴訟に関することなのでコメントは差し控えます」としています。

妻「二度と起こらないように」

菅野さんの妻のバネッサさんは、福島県伊達市で避難生活を送りながら裁判を続けてきました。2人の小学生の息子を育てるかたわら、空いた時間には働きに出て生活を支えてきましたが、避難が長期化するなか、和解に応じることを決めたといいます。
バネッサさんは弁護士を通じて、「和解の内容は十分満足できるものではありませんが、夫を亡くし生活も厳しく、また、小さな子どもたちに一日も早く平穏な生活を取り戻すために、早期に解決をすることにしました。私たちのような悲しいことが二度と起こらないようになってほしいと思います」とコメントしています。

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