『CIAのスパイマニュアルに学ぶ「会社をダメにする11の行動様式」』
すでに広く拡散されているので、ご存知の方も多いと思いますが・・・。
渡辺千賀さんという方が、CIAの資料について紹介されています。
資料の内容は、「組織の生産性を落とすために、どのような「サボり」ができるかについてであり、以下、抜粋引用させていただくと
・何事も指揮命令系統を厳格に守る。意思決定を早めるための「抜け道」を決して許さない
・可能な限り案件は委員会で検討。委員会はなるべく大きくすることとする。最低でも5人以上
・会社内での組織的位置付けにこだわる。これからしようとすることが、本当にその組織の権限内なのか、より上層部の決断を仰がなくてよいのか、といった疑問点を常に指摘する
・前回の会議で決まったことを蒸し返して再討議を促す
・文書は細かな言葉尻にこだわる
・重要でないものの完璧な仕上がりにこだわる
・重要な業務があっても会議を実施する
・業務の承認手続きをなるべく複雑にする。一人で承認できる事項でも3の承認を必須にする
といったものです。
さらに、かっての大企業の状況について言及されています。
内容を読んで(笑)
いや、本当に笑ってしまいますね。
渡辺さんは、「大企業は多かれ少なかれ世界中こんなものではある。」と書かれていますが、私が勤める会社も、ビッタシ当てはまっています。
実際、”こんなもの”である会社は、きっと、そこら中に転がっているんでしょう(笑)。
そこで、「ウチの会社にもCIAのスパイがいるかも」となるわけですね。
資料の作られた時期と当時の時代背景を考えれば、戦後、日本をはじめとするアメリカの統治下、または、大きな影響下にあった国家・政府に対して用いられたマニュアルだと思われます。
ソ連との対抗上、「アメリカの言うことを聞く国」を増やそうとしていたわけで、そのためには経済的な側面とともに、政府を腑抜けにするのが、もっとも手っ取り早いやり方ですから。
そういう意味では、いろんな国の役所にCIAのスパイが潜り込んで、このマニュアルを導入していった可能性は高いのでしょう。
実際、上記、2つめの「委員会制度」なんてのは、その典型だと思います。
逆に、解体された財閥系企業や軍需産業系企業、国営企業を除き、個々の企業にスパイが入り込むというのは、常識的には考えられないと思うのです・・・。
今、大企業と言われる多くの会社は、戦後20年・30年と経ってから、そう呼ばれるようになっているわけですし・・・。
対象となる会社の状況とCIAに要する労力とを考えれば、間尺が合わないのですが、
いかがでしょうか?(笑)
もちろん、「CIAのスパイが潜入しているから、ウチの会社はこうなんだ!」って言うのは楽しいですけどね。
でも大企業病と同じ症状
世の中には、CIAスパイが入り込んでいない会社のほうが圧倒的に多いでしょう(と思います)。
にも関わらず、大企業はおろか中小企業まで、上記のような制度・風土がはびこっている、その理由は一体何なんでしょうか?
あらためてマニュアルを読むと、「意思決定を鈍化させる」ものが多いですね。
これから考えられるのは、
・上層部が自分の権限を留保したがっている
→ ワンマンの中小企業が、図体はでかくなったのに制度が追いついていない ・中間層が責任逃れしている
→ 責任の所在をあいまいにし、なあなあで済ませる風土が定着している
と言ったところでしょうか?
もしかしたら、高度経済成長期にあらゆる社員がメチャクチャなことをしていて、「これじゃあ、ダメだ」との判断があり、相互監視システムを導入した結果なのかもしれませんが・・・。
だとすれば、見方をかえると、おおっぴらなスパイは存在することになりますが(笑)。
いずれにせよ、これらの風潮は、内部から自発的に出来上がっていったものだと思います。
であれば、やがて、自発的に変わっていくものだろうと考えられます。
もちろん、今の制度によって「得をしている人」が変わるか、世間からの外圧があって変わらざるをえなくなるか、という条件が満たされれば、ということでしょうけど・・・。