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賛否両論、美濃加茂市「のうりん」美少女ポスター。炎上は避けられなかったのか

2015年12月1日 10時00分

ライター情報:青柳美帆子

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岐阜県美濃加茂市がアニメ「のうりん」とコラボして作成したポスターが注目を集めている。ポスターは美濃加茂市で行われる「みのかもまるっとスタンプラリー」イベントを告知したものだ。メインに配置されている画像は、ピンクのロングヘアーの女の子。襟もとが大きく開かれて露わになっている谷間、巨乳、ピンクに染まる胸元……頬は紅潮して、眉根はそっと寄せられている。
このポスターは11月上旬に公開され、駅前に掲出されていた。その告知ツイートが11月下旬に入って拡散され、「公的なポスターとしては不適切」「女性に対するセクハラでは」といった批判が寄せられた。
批判を集めた「みのかもまるっとスタンプラリー」ポスター

私自身、最初に見たときの感想は、「うわっ、さすがにちょっとエロすぎる……ほかに画像はなかったのか!? ゾーニングのことを考えてほしい」。
「のうりん」は美濃加茂の農林高校を舞台にした作品で、下ネタやギャグが多いが農業部分はしっかり取材をして描かれている。原作は挿絵やタイポグラフィを活かした遊びも多く、そういう面から見てもおもしろい。なのに、こんなにおっぱいを強調されたら、まるで単なるエロアニメみたいに見えてしまうではないか……。
そして今回メインに扱われた女の子・良田胡蝶は、「のうりん」のメインキャラクターではあるが、いちばんメインの女子キャラクター(いわば「作品を象徴するヒロイン」)ではない。アニメ公式サイトの「登場人物」ページでも、4番目の紹介だ。
アニメのメインビジュアルは、美濃加茂の山をバックに、メイン登場人物5人が配置されたもの。良田胡蝶の胸は「巨乳キャラ」なので大きいが、今回ほどの煽情さを感じなかった。こっちのイラストを使えばいいのに、なぜあえて巨乳美少女のイラストを使ったのだろう……。

しかし調べていくと、このポスターには、良田胡蝶のイラストを使う必然性があった。それがこうしていわゆる「炎上」してしまった不幸な事故の経緯について、本記事は述べていく。

批判派の意見、擁護派の意見


経緯について詳しく述べる前に、ポスター批判派の意見と、擁護派の主な意見を紹介しておく。

【批判派】
・胸を強調する煽情的に見えるイラストを、非アニメファンや幅広い年代の人の目に入るようなところに掲出するのがよくない(ゾーニング必要論)
・町おこしのイラストとして不適切なのではないか(町おこしにそぐわない論)
・まるでエロアニメみたいで不快感がある(エロ不快論)
・アニメ絵に不快感がある(アニメ絵不快論)
・胸を強調するイラストは、女性に対するセクハラや差別にあたる(セクハラ・セクシズム論)
・公的な金を使ってこのような煽情的に見えるポスターを作るべきではない(公的不適切論)
・こういった表現を好んだり擁護する「オタク」が気持ち悪い(「オタク」不快論)

【擁護派】
・今回のコラボポスターは作品ファンに向けたものであるから、ファンを向いたポスターであるべき(需要層はファン論)
・「のうりん」と美濃加茂市のコラボは経済効果の面から見て成功している(コラボ成功論)
・「のうりん」と美濃加茂市は、原作者を一日観光案内所長として招くなど、良好な関係を築いている(関係良好論)
・批判をする権利は実際にポスターを目にする美濃加茂市の住民にしかない(批判権利論)
・コラボで以前からこの画像は使われているのになぜこのポスターだけが問題になっているのか(なぜ今更論)
・良田胡蝶は「巨乳キャラ」なので巨乳なのは当たり前、巨乳は公の場に出てはいけないのか(巨乳逆差別論)
・こういった表現を集中して批判するのは表現規制につながる(表現規制論)
・こういった表現を見つけると批判する「フェミ」が気持ち悪い(「フェミ」不快論)

これらをふまえた上で、経緯について見ていこう。

ライター情報

青柳美帆子

フリーライター。1990年(平成2年)生まれ。オタクカルチャー・イベントレポ・明るいエロス・少女革命ウテナなどを中心に執筆しています。

URL:青柳美帆子のまとめ

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