今年の卒業式では無難な講演者が目立った。英国の大学では、これは「ノー・プラットフォーミング」と呼ばれる。自分と意見が違う人から話をする機会を奪ってしまうことだ。念のためにいっておくと、筆者はイラク侵攻がとてつもなく大きな過ちだったと思っているし、アリ氏がイスラム世界の危険なステレオタイプを宣伝していると考えている。だが、さまざまな意見に耳を傾け、議論すべきだ。
■トランプ氏の発言がうけるわけ
これは未来にとって何を意味しているのだろうか。大学のことは忘れていい。未来はすでに「卒業」して(社会に広がって)いる。米国の公職に野心を持つ人は誰もが、とうの昔に自己検閲の価値を学んだ。文脈を無視して引用された言葉が米上院に指名承認を受けるチャンスを台無しにすることもある。
リスクを取ることは罰せられる。出世のカギを握るのは没個性だ。米国民の大部分が国の指導者の品性に対する信頼を失ったのも不思議ではない。政治家が話をするとき、あまりに多くの場合、まるでクロロホルムを嗅ぐような効果がある。かつて自発性で満ちていた(発言がなくなったことで生じた)空白は、ほかの何かで埋められるのを待っている。
ドナルド・トランプのような扇動家がなぜこれほど好調なのか不思議に思ったら、彼のあからさまな物言いがなぜこれほど高く評価されるのか自問してみるといい。もしかしたら、率直な発言が公の場から根絶されつつあるからではないだろうか。
By Edward Luce
(2015年11月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
(翻訳協力 JBpress)
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