セーラー服とイケメンと血を連想させる紅い表紙に思わずBLOODシリーズを重ねてしまい手に取った本書でしたが、とても青臭く淡白。抽象化も不完全。同人作品であるなら良い味わいで済みそうではあるけれど、プロの世界では詰めが甘いと言われそうな出来かもしれない。
あおの(@aooont)さん | Twitter
しかし、酷く個人的な狭い世界独特の生々しさや、心の渇きの表現が絶妙で、じわりと胸に届いて来るから読後感はかなり良い。
まだ発展途上にある繊細な絵を見ていると、今は亡き”ラポート”ブランドを思い出します。不完全ならではの魅力という物があることを存分に教えてくれた良い会社でした....
普通の少女と翼がある少年の切実さがなんとも言えない「Goodbye my bod」
周囲との価値観のズレに鬱屈する青年の複雑な心模様を拾い集める「僕等の破片」
まるでamazarashiの世界に出て来そうな夢の住人が愛おしい「Mr.wonderland」
自分の世界から逃げ出した少女と、血を嫌う吸血鬼の悲恋「貴女の世界で終わりたい」
本作に収録され短編ひとつひとつに良いところがあったので、それらが上手く繋がり合ったら更に良い光景が拝めそうな気がしました。
不完全な要素が化学反応を起こしているからこその作品なので、絵やストーリー作りに熟れて来ると、逆に面白味が損なわれる、なんて事もあるかもしれませんが...
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