「ロボットが人間の仕事を奪う」人口知能発達の恐怖

 2015年は「人工知能元年」と言われている。各国の企業が本格参入し始めたからだ。科学技術の進歩に大きな期待が寄せられる一方、課題も山積していた――

感情認識機能を持った人型ロボット「Pepper(ペッパー)」

ソフトバンクが今年2月から発売を開始した、感情認識機能を持った人型ロボット「Pepper(ペッパー)」。「空気を読んで、学んで成長」していくというのがコンセプトだ <写真/時事通信>

 人工知能の普及で「ロボットが仕事を奪う」というSF映画のような問題が現実になるかもしれない。

「英イングランド銀行の報告では、低賃金労働を中心に米国で8000万人、英国で1500万の雇用がなくなるとしています」(ロボット専門メディア「ロボティア」編集長・河鐘基氏)

 人工知能と人間の仕事について、日本のあるロボット研究関係者は次のように話す。

「人工知能で得られる莫大な利益については再分配の議論が必要。技術の独占で格差が大きく拡大し、経済システムが破壊的なダメージを受けると可能性が考えられる」

 一方で、人工知能の発達が人間の仕事を奪うだけではなく、人間の能力そのものを奪うという議論もある。京都大学大学院情報学研究科教授・西田豊明氏は言う。

「そもそも、人工知能が便利だからという理由だけで受け入れてしまうのは問題。それは、人間の知能が考える力を奪う方向に繋がりかねません。そういう根本的な部分での議論が必要となる」

 欧米では、「人間を超える知能の存在=人工知能」の是非について議論が高まりつつある。おそらくキリスト教的な宗教的価値観や、各国の文化的側面とも深く関係しているのだろう。文化的受容力が高い日本ですら最近、哲学者や法律家、教育者などを巻き込んだAI議論が始まりつつある。

「現在、検索など個別の需要を満たす人工知能と同時に、より広い範囲で使用するための汎用人工知能の開発も進められています。米国の『ブレイン・イニシアチブ』、欧州の『ヒューマン・ブレイン・プロジェクト』が有名どころで、グーグルなど企業でも開発が進められています」(国立情報学研究所准教授・市瀬龍太郎氏)

 人工知能はロボットという理系分野より、文系の領域にこそ課題が多いのかもしれない。

※12/1発売の週刊SPA!では、「本当は恐ろしい[人工知能]の世界 自動運転は大統領と妊婦のどっちを轢くのか?」という特集を掲載中
<取材・文/週刊SPA!編集部>

週刊SPA!12/8号(12/1発売)

表紙の人/ R2-D2&C-3PO

アマゾンほかコンビニ等で発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!

知識や経験がない“投資ド素人が勝つ”ための鉄則とは?【PR】

「シストレ24」のストラテジーの選択画面
 厚生労働省によれば、2015年の夏季賞与(ボーナス)は前年比2.8%減の35万6791円にとどまるなど、なかなか景気回復の実感がないまま、まもなく冬…

連載

ばくち打ち/森巣博
第4章:駆ける・賭ける・そして勝つ(153)「金も名誉も力も夢も(12)」
山田ゴメス
女子から「女友達を紹介してもらう」ときに成功率を上げる方法
メンズファッションバイヤーMB
【ユニクロの裏技的な使い方】男性でも着られるレディース品、返品サービスは神対応etc.
オヤ充のススメ/木村和久
マクドナルドの新商品「ダブルチーズバーガー」は日本3大不条理商品?
フミ斎藤のプロレス講座/斎藤文彦
引退した天龍源一郎。“テンルー”と呼ばれるアメリカでの活躍とは?
おじさんメモリアル/鈴木涼美
なぜインテリおじさんは若い女の才能を見出したがるのか?
大川弘一の「俺から目線」
健太と死神、珍コンビのブラックバイト体験――「おかねのかみさま」
プロギャンブラー・のぶき「人生の賭け方」
「自分のモテ度に合わせた戦略で勝率をとれば、婚活は“婚勝”になる」プロギャンブラー直伝
英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅」
「世界一周花嫁探し? 調子に乗るなよ。奥さんの気持ちも考えろ」――46歳のバツイチおじさんは故郷で親友に説教された
フモフモ編集長の今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪
所属先がお寺! 覚えておきたいリオ五輪カヌー日本代表・矢澤一輝選手

バナナ職人が指南! あの有名人をバナナで彫る方法

投稿受付中

バカはサイレンで泣く 投稿受付中
佐藤優の人生相談 投稿受付中