弁護士と商社マン。頭脳対決で注目されたボクシングのWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ(11月28日)は、商社マンの木村悠(32)=帝拳=が弁護士資格を持つ王者ペドロ・ゲバラ(メキシコ)に2−1の僅差で王座を獲得。二足のわらじに世界王者の冠を付けた=写真。本田明彦会長に木村への期待度を聞いたら「決まってるよ。頭だよ、頭」と言っていた。パンチ力がないのに日本王座を3度防衛した秘訣(ひけつ)がうかがえる。
アマの名門、千葉・習志野高出身。法大時代は全日本選手権で優勝。建築資材を扱う商社に身を置いての夢への挑戦。ジムの評判は「礼儀正しくまじめ」。帝拳が最も好むタイプで、スタッフとの相性も良い。
ゲバラは昨年暮れに八重樫東から王座を奪取。初防衛にも成功して自信満々だった。5回には強烈な右で木村のバランスを崩すなど流れは完全にゲバラだった。それが後半に流れが変わった。攻撃されながらも終始前に出て姿勢を崩さなかった木村。距離を詰められたゲバラは徐々にスタミナを消耗。バランスを重視した戦法が最後に功を奏した。見事な頭脳ボクシングだった。
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