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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

ハイスペックな若者が会社を辞めてしまう理由

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第146回】 2015年12月1日
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 「会社がつまらない」。そう言って転職したり、転職を真剣に考えたりする若者が、最近なぜか僕の周囲で急増している。だが、転職できるならまだマシで、なかには「転職したいけど、さりとて次の仕事で何がしたいのか、自分でもよく分かってないので転職活動のしようがない」というところで真剣に悩み、ストレスのあまり体調を崩してしまっている若者もいる。

 もちろん、こうした若者の離職問題はいまに始まったことではなし、会社にとっては古典的なテーマでもある。昔から、会社がつまらないと言って辞めていく若者はある一定数はいただろう。ただ、僕の周辺で、会社がつまらないと言って悩んだり転職したりする若者の話をじっくり聞いていると、いまの時代だからこその問題点、そして人材活用の見えない壁というものが見えてくる。

若者たちが感じている
「仕事の質と量」への不満

 数年前、若者の3割が3年以内に会社を辞めるという「データ」が広く世の中にアナウンスされて以来、若者の離職問題は大きな社会問題になり、政府も企業もその問題に取り組むようになっている。しかし何事もそうだが、認識が間違っていたり、そもそもの解決の方向性が間違っていたりしたら、何をどうやっても問題は解決されない。なぜなら僕は、いまの若者の離職問題、労働問題には、あまり議論されていない大きな誤解、見えない壁というものが存在すると思うからだ。それは、高学歴・高キャリアで、仕事への意欲も自分自身の成長意欲も高い「ハイスペック人材」に関することである。

 若者の離職問題に関しては、厚労省も真剣に取り組んでいるように思われる。しかし、たとえば厚労省の「平成25年度若年者雇用実態調査」を見ても、ハイスペック人材の離職問題の正体は全く見えてこない。同調査レポートでは、若者が「会社を辞めた理由」として、トップは「労働時間・休日・休暇の条件が良くなかった」となっている。これだけを見ると、ほとんどの人は「労働時間が長く、休日もなく、有給休暇も取れないから若者は会社を辞めていく」と思ってしまうし、若者の離職問題解決のためには、残業削減や休日出勤の禁止など、労働時間の適正化というか削減が最重要課題だと考えるだろう。

 たしかに、世の中にはいわゆるブラック企業もあり、過重な労働時間を強いることは問題だし、解決すべきである。しかし、ハイスペック人材に限って言えば、実はこの「労働時間」と「離職/転職」の関係性は、世間の常識とは真逆ではないか、と僕は思う。多くのハイスペック人材は、労働時間が長いから会社を辞めるのではなく、「仕事の質と量」に不満を感じているから会社を辞めるのではないか――。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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