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 中国と台湾が10月、拘束していたお互いのスパイをそれぞれ釈放していたことが分かった。30日付の台湾紙・中国時報が報じ、台湾の総統府が認めた。事実上のスパイ交換と見られ、中台間での実現は初めてという。総統府は11月7日の中台首脳会談につながる善意の示し合いだと強調した。

 中国が釈放したのは台湾の軍事情報機関、国防部軍事情報局幹部だった2人。国防部によると、公務執行中の2006年に行方が分からなくなり、中国でスパイ罪で無期懲役の判決を受けていた。中国時報によると、2人は中国によってベトナムとの国境地帯に誘い出され、拘束された。2人は10月13日に釈放され、その日のうちに台湾に戻った。

 一方、台湾が釈放したのは中台の二重スパイだった中国大陸出身の70歳前後の元軍人の男性。1980年代に香港に渡って軍事情報局に情報提供していたが、台湾側の信頼を得るため中国が故意に情報を流していたという。この人物を通じて台湾のスパイ情報などが流出したとされ、99年に台湾で拘束されていた。