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金光寺の宝篋印塔 木製で国内最古

金光寺の宝篋印塔について解説する狭川副所長

 福島県いわき市鹿島町の金光寺が所有する木製の宝篋印塔(ほうきょういんとう)2基が、木製では国内最古の鎌倉時代後期の作とみられることが、元興寺文化財研究所(奈良市)の調査で分かった。高さは90センチ前後で、狭川真一副所長(仏教考古学)は「木製でこれほど大きいものは国内で確認例がなく、存在そのものが貴重な発見だ」と説明している。
 宝篋印塔は五輪塔と並ぶ仏塔の一種。金光寺で24日に調査報告会を開いた狭川副所長によると、金光寺の2基は、ともに遺骨を納められる構造で、墓塔として一対で作られた。年号は「文保二」と刻まれており、1318年に供養したとみられる。形も鎌倉後期の特徴と一致するという。
 金光寺の本堂に置かれていたが、基礎底部の腐食が著しいため、狭川副所長は「金光寺の裏に墓石が並ぶ横穴があり、当初はそこで地面に直接、安置されていたのではないか」と推察する。
 宝篋印塔は石造が一般的。木製は室町時代のものが確認されているが、大きくても30センチ程度で、墓塔として作られてはいないという。
 狭川副所長は「中世の仏塔や墓の変遷を研究する上でも重要な史料だ」と話している。


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2015年11月26日木曜日

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