ミュージシャンが音楽ファンを増やす最も簡単かつ効果的なのが、自分の音楽を道行く人達に直送する路上ライブです。
路上ライブでの戦略はミュージシャンそれぞれでしょう。 オリジナルで勝負したり、足を止めてもらうためにカバー曲を歌ったり、MCを中心としたしゃべりのテクニックから音楽に興味を持ってもらうというのもありです。
機材も同じくミュージシャンそれぞれです。 アコギ一本で勝負するものもいれば、ポータブルなバンド演奏の機材一式で万全を期して臨むのも自由です。
もちろんCDやフライヤーなどの宣伝材料も忘れずに。
さて、これで路上ライブの準備はバッチリかと思いきや、もう一つ忘れ物があります。
それは、路上ライブをする場所の使用許可です。
施設の使用許可って必要?
路上ライブするとなれば、沢山の人に聞いてもらうために人通りの多い場所ですることになるでしょう。 そうなると駅前の路上や駅の敷地の中などを自然と選ぶことです。路上ライブをする場所を決めたら、次は使用許可を得ます。
ですが、一口に使用許可と言っても、路上ライブを催す場所によって申請する先が違います。
歩道を含む道路上で路上ライブをする場合は、警察に道路使用許可申請の手続きが必要です。 駅構内などの私有地で路上ライブするときは、所有者に使用許可を得る必要があります。
厳密には上のような手続きを踏まないと、道路交通法違反や不法占拠の罪に問われるところですが、今までだったら警察などもお目こぼしをしてくれていたので、よほどのことが無い限りは大丈夫でした。 なので、本来であれば使用許可がいる路上ライブであっても、無許可で行っているミュージシャンがほとんどでした。
施設の使用許可はクレーマー対策
ですが、通行人からの通報が合った場合はこの限りではありません。 人通りの多い場所では様々な人達がいます。 中には音楽そのものが大嫌いで、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いと言わんばかりにミュージシャンを憎んでいるものもいないとは言い切れません。
最近増加しているモンスタークレーマーに矛先を向けられたら、自分たちだけでなく他のミュージシャンもその場所で路上ライブをできなくなるところまで追い込まれるでしょう。
「そんなの大げさだ」と思うかもしれませんが、誰が頼んだわけでもなく1年中タクシーのスピードを監視し続けるような奇っ怪な人もいる世の中です。用心に越したことはありません。
タクシーのスピード違反を密告する男性と「タクシーセンター」の不思議な関係
音楽以外のことで無用な争いを避けるためにも、使用許可は取っておいたほうが身のためです。 使用許可がなければ、何者も路上ライブするミュージシャンに振り下ろされるクレーマーの「正義の鉄槌」から守ってくれるものがありません。
ですが、そういった手続きもまた、路上ライブのためとはいえ面倒くさいものです。
路上ライブの許可制
最近では、路上ライブするミュージシャンに許可証を発行してお墨付きを与えるという試みもあります。
有名な例ですと、ロンドンでは地下鉄の駅で演奏するミュージシャンやパフォーマーに許可証を発行しており、許可証を持った人たちはバスカーと呼ばれています。 彼らはロンドンの地下鉄で演奏するために厳しいオーディションを通過し、ライセンスを勝ち取った選りすぐりのミュージシャンやパフォーマーでもあるのです。
日本でも路上ライブの許可制に取り組んでいるところもあります。
例えば、東京の井の頭公園や千葉の柏駅周辺では、路上ライブするミュージシャンたちに許可証を発行しています。
また、東京都ではヘブンアーティスト制度という大道芸人公認制度を行っており、ライセンスを得たミュージシャンやパフォーマーは指定場所でのライブパフォーマンスを行うことができます。
ただし、CDやDVD等の販売は禁止されているため、路上ライブで収益を上げることはできませんが、自分たちを打ち込む手段としてはいいでしょう。
路上ライブをサポートする仕組みを
ミュージシャンが音楽に集中するためにも、活動しやすい環境づくりがは必要だと思っています。 なので、こういったミュージシャンをサポートする取り組みはもっと広まって欲しいものです。
ですが、こういった活動も一部の地域、大抵は都市部でしか取り入れられていない現実もあります。 そうなると、ミュージシャンは都市部ばかりに集まり、地方のエンターテイメントが乏しくなる事態を助長してしまうことにもつながります。
なので、地方においてもミュージシャンが活動しやすくするために、都市部での実例を参考にしてでもいいので、ミュージシャンをサポートする活動があってもいいと思います。
ここまで「あったらいいな」と願望ばかり唱えていますが、こういう分野に切り込んでいくのもビジネスに繋がってくるんじゃないかとも考えてもいます。 自分が欲しいと望むものは、大抵誰かも欲しているものですから。
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