長周期地震動:海底でも確認 予測精度向上へ
毎日新聞 2015年11月30日 20時18分(最終更新 11月30日 21時45分)
海洋研究開発機構(JAMSTEC)などのチームは30日、地震で高層ビルに長くゆっくりとした揺れをもたらす「長周期地震動」が海底でも起きることを初めて確認し、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。南海トラフ巨大地震など海で起きる地震の揺れを予測する精度が向上できるという。
チームは2013年4月13日に兵庫県の淡路島を震源とするマグニチュード6.3の地震(最大震度6弱)を、海底に設置した地震計で観測。その結果、揺れの周期が2秒以上の地震動を確認した。
長周期地震動は、11年の東日本大震災など陸上で観測されてきた。今回は紀伊半島沖合の南海トラフ付近で、10〜20秒周期の長周期地震動が確認された。長周期地震動の継続時間も100秒を超え、陸(数十秒程度)に比べて長かった。南海トラフに沿って広がる軟らかい地層が原因となっている可能性があるという。
JAMSTECの中村武史・技術研究副主任は「海底の長周期地震動が陸にどのように伝わるかを解明し、防災に生かしたい」と話す。【久野華代】
【ことば】長周期地震動
揺れが1往復するのに2秒以上かかる地震動。プレート境界で起きる巨大地震で多く観測される。ゆっさゆっさと大きく揺れるのが特徴。高層ビルは上の階ほどよく揺れる。揺れの周期が長いと減衰しにくいため遠くまで伝わる。短周期地震動は2階建ての家屋など低い建物を揺らすカタカタという揺れ。