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AV女優は今でも借金で苦しむ女性のセーフティネット 第4回<親公認AV女優 裸になる娘とその親たち>

最近、増えている親が応援するAV女優。「カラダを売る仕事」をめぐる社会の価値観、親子の関係はどのように変化しているのでしょうか? 今回話を聞いたのは、ブログで実家や両親のことを時折話題にしていた新人AV女優。これは親公認なのではないか、とアケミンさんのセンサーが働きましたが――。


<今回の女優>

あすか麻衣(仮名) 23歳 奈良県出身
父、母、弟、妹の5人家族
153センチ スリーサイズ:B83(E65)W58H85
AV女優歴 8ヶ月の新人企画女優


「両親が大好き!」とブログに書くAV女優は親公認なのでは?

 今やAV女優にとっても欠かせないSNS。ひと昔前はブログがメインであったが、今は即時性のあるツイッターを並行して使うことが多い。撮影現場のオフショットから最新作やイベントの告知、プライベートな話題まで提供する。また新人ベテラン問わず、時間があればファンからのリプライにもこまめに返事をする女優も多い。もちろんSNSはノーギャラだし、ノルマもない。完全に個々人のSNSへの適性とやる気がもっとも如実に現れる。(ただし「やる気がある=売り上げがいい」とは一筋縄でいかないのがこの業界の難しさなのだが)

 ある日、ふとした私のツイートに反応してくれた新人女優がいた。うれしいことにこの連載も読んでくれているという。それまで彼女の名前は知らなかったのだが、そのやりとりがきっかけで彼女のツイッターやブログを見てみると、ファンへのリプライはもちろん、毎日夜には「おやすみ」と微笑みかける自撮り動画を投稿、ブログでは写真と文字のバランスのよい記事をほぼ毎日更新している。

 常に前向き、毎日が新しい発見の連続! といった内容のブログからは「この仕事が楽しくて仕方ないAV女優像」が浮き彫りになってくる。また実家の話もときおり出てくるのだが、それらはとても穏やかで幸せな家族の様子を伝えるものだ。彼女のブログをしばらく読んで幸せな気分になったと同時に私の「親公認センサー」も働いた。「両親が大好き!」とブログに公言できる子は、きっとAVの仕事に関しても認めてもらっているのではないか、と。早速、あすか麻衣に取材を申し込んだ。

 取材当日、事務所の打ち合わせ室で麻衣と対面した。黒髪のストレートヘア、明るいニットにショートパンツ、背中にはリュックというカジュアルな装いだ。ニットから覗く細く白い首筋、透き通るような肌、丸く大きな瞳、笑うと覗く八重歯が男性ウケしそうだ。ショートパンツから覗く少し筋肉質な脚とたるみのない膝がその若さを物語っている。

 麻衣は今年の春、AVの仕事を始めた新人女優だ。まだピン(単体)の作品は数えるほどしかない。大人数の共演ものやオムニバス作品に出演するいわゆる「企画女優」である。その若さとビジュアルをもってすれば2000年代初頭なら単体デビューできただろうに。現在のAV業界の競争の激しさを改めて目の当たりにした。

「いつもこの連載を読ませていただいてます。私も親公認なんですけど、私以外に親バレしている女優さんに会って話を聞いたことがないので、他の女優さんは感じなんだろうってすごく興味があったんです」

 ハキハキと麻衣は話始めた。関西弁のイントネーションが可憐な外見と似つかず、かえって親近感をおぼえる。
 
「私、いま、すごく両親に応援してもらっているんです。ブログもツイッターも毎日、親が見てるんですよ。弱気なことを言ったり、ちょっとサボったりするとすぐツッコまれます。あと今、CSの番組に出ているんですけど、放送のあとには『あのコーナーは、こうしたほうがよかったんちゃう!?』『どうしてあのタイミングで服を脱がへんかった?』とかアドバイスやダメ出しのメールがくるんですよ~!」


クレジットカードと奨学金で借金のスパイラルへ

 現在、麻衣は23歳。この仕事を始めるまでは地元・奈良で家族と同居し、OLとして働いていた。大手食品メーカーで正社員として採用され、データ管理の業務を任されていた。

「AVは自分から応募しました。お金に困っていたのが一番の理由です。もともと DMMでサンプル動画はよく見ていたし、好きな女優さんもいたので業界自体には少し興味や憧れもあって」

 OL、しかも実家暮らし、金銭的に困るとは一体、何があったのだろう?

「魔法のカードにヤラれた感じです(苦笑)。私、ストレスがたまると食べ物か買い物に走っちゃうんです。この仕事する前にいろいろたまっていてカード使いまくっちゃって。全身脱毛のローンが月3万、それに買い物、服とかバッグとかで支払いは月10万くらい。一番高い買い物はグッチのバッグ、20万ちょっとしたかな、まだリボの支払い終わってませんけど。あと私、高校と短大に進学するのに奨学金の一種と二種、両方借りていたので結構その支払いも大きくって。奨学金の返済は月4万かな。普通、奨学金を返済するだけでも結構大変なのに、そこに脱毛のローンとクレジットカードの支払いが加わってしまったから…もうやばいやばい!ってなって」

 当時の彼女の給料は手取りで17万円。確かにそこから奨学金、ローン、月々のクレジットカードの返済をすると手元にはほとんどなくなってしまう。もちろんその行動を弁護するわけではないが、同じ女性としてイライラした気持ちに突き動かされるがまま買い物をする気持ちは共感できる。店頭にうやうやしくディスプレイされ、多くの女たちが足を止め、ため息まじりに見つめていたあのバッグが、カードを切ったその瞬間、自分のものになる。その束の間の恍惚感たるや。それにしても収支のバランスが狂うほど麻衣を買い物に駆り立てたストレスとは一体、なんだったのだろう?

「お金がない、というのが一番のストレスでした。昔から親には一切お小遣いももらったことないし、スーパーに行っても『お菓子買って』なんて言えない子でしたね」


ずっと「家にはお金がない」と言われていた

 奈良県で生まれ育った麻衣の実家は5人家族。今年43歳になる父親は福祉施設でケアマネージャーとして働いている。45歳の母親は専業主婦、3歳下の弟と、16歳下の妹がいる。

「今のお父さんはお母さんの再婚相手、私が中2のときにやってきました。本当のお父さんは浮気が原因で私が小3のときに離婚して、再婚するまではお母さん、昼も夜も働いていましたね。昼は介護の仕事をしていて、多分、夜はキャバとかやってたんじゃないかな。だから全然、家に帰ってこなくて。ゴハンもレトルトやインスタントのものが大量に買ってあって、それを弟と二人で黙々と食べていました。そんなときに突然、知らない男の人が家に来て『これから一緒に暮らすからね』って言われて。『それでお母さんが楽になるならいいや』って思ったけど当時の私には受け入れられなくて。いい人だなって思ったけど、だからこそすぐには仲良くなりたくないし、なにを話していいかわからない、なんて呼んでいいかもわからなかった。だから家出しちゃったんです。といっても近くに住んでいる従姉妹の家なんですけど、半年間はそこから学校に通っていました。弟は…実は軽度の知的障害がある子で、当時はそこまで深くお父さんのことは考えてなかったみたい」

 半年間のストライキの後、なにがあったわけではないがふと思いついたように麻衣は家に帰り、母と弟、そして新しい父親との生活が始まった。そして彼女が16歳になったとき、妹が生まれた。

「高校に進学するときもなぜかお金がないって言われて、奨学金で行きました。もちろん生活自体はゴハンが食べれないとか、洋服がない、なんてこともないし、普通に暮らしていましたよ。貧困とか生活保護受けなきゃとかじゃない、普通の生活です」

 高校時代は学校が終わると麻衣は、すぐにバイト先に向かった。平日はパン屋、土日は朝から晩まで結婚式場の配膳、とにかく働き詰めだった。

「学費やケータイ代、洋服代、すべて経済的には自分でやっていかなきゃならなくて。部活もやらずにバイトを掛け持ちしまくってました。バイト代は頑張っても月7万円くらい。そんなときに妹ができて。『産んでいい?』ってなんて言われたけど『あかん』なんて私には言えないじゃないですか。妹が生まれたら私もオムツ替えてお風呂入れて、ゴハンを食べさせたりしてました。夜泣きしてもいっつも私があやしたり。うちの両親起きないんですよ~すごいでしょ! ある意味、自分の子どもみたいな感覚です」

 学業にバイト、そして家事。一人の高校生が背負うにはあまりに負担が大きすぎる。そもそもなぜそんなに家計が厳しかったのだろう。

「お父さんはケアマネージャーなのでお給料は結構よかったと思います。年に2回、100万円くらいのボーナスは出ていたみたいなんですけど…」

 麻衣の顔が曇る。

「お父さん、かなりの車好きなんです。実家にはベンツが2台あるんですけどそれが厄介で。外車ってすぐに故障するんですかね。修理だ、メンテナンスだとかで、毎回ボーナスがなくなるんですよ。それが再婚してもお金なかった原因の一つなのかもしれませんね」

「ずっとお金お金お金…。お金に追い詰められていました」

 その頃の彼女の友人関係はどうだったのだろう? 学校がストレス解消の場として機能していなかったのか?

「それが私、小中高とずっといじめられてきた人間なんですよ。仲良い子がいたという記憶がないし、基本ひとりでポツンという感じでした」

バツが悪そうに麻衣は答える。

「小学校のころは教科書隠されたり、仲間外れにされたり。中学のときは朝も帰りも同級生に校門の前で待ち伏せされて、いきなり泥を投げられたり、靴を顔にガーッて押し当てられたり。体育の授業から教室に戻ってきたら鞄ごと持ち物が全部なくって先生と一緒に探したらゴミ捨て場に泥まみれで置かれていたこともあります。高校はもっと理不尽でした。私、もともと地毛が茶色いんですよ。腰まで髪の毛があったんですけど癖っ毛だから毛先だけ巻いたみたいになるんです。学校の頭髪検査が厳しくてそれで注意された子が私の髪の毛が気に食わなかったらしくて、そこから…。廊下歩いていたら「死ね!」「ブス!」なんて言われるのは当たり前。先生も見て見ぬ振りをしていて、その状況に耐えきれなくて登校拒否になって、高3で通信制の高校に転入したんです」

 いやはやタフだ。両親の再婚という急激な環境の変化の中で経済的自立を余儀なくされ、さらに理不尽なイジメ。しかし麻衣は病むことなく働き続けた。

「確かに病んでもおかしくなかったなと思うんですけど気にしていなかったのな。マイペースなんでしょうね、『私のこと嫌いなら嫌いでいいわ』ってどこかで思ってました」


借金が膨れ上がり、自らAVプロダクションに電話する

 通信制の高校を卒業後、彼女は地元の短大に奨学金を利用して進学した。

「はっきりした額は把握していないんですけど、入学金と学費合わせて220万くらいって言われてます。37歳になるまでずっと分割で返済しないといけないんですよね」

「奨学金」というとなんだか「けなげな苦学生」というイメージもあるが、返済義務のある借金だ。それを彼女は短大進学分だけでもこの先、14年間に渡って返済し続けていく。

「学校は地元では少し有名なお嬢様学校でした。みんなブランドバッグは当たり前のように持ってるし、服もファストファッションでは買わずに百貨店で買う感じ。将来は就職せずに家事手伝いになる、みたいなノリでしたね。みんなでゴハン行こうっていっても高そうなレストランが指定されることも多かった。そういうのを目の当たりにすると『私だって可愛い洋服がほしい』って思ってしまって、やっぱりカードで買っちゃいましたね。背伸びしてましたね」

 同世代の女友達への見栄や憧れ、年相応の物欲は想像に難くない。そして強制的な経済的自立による金銭的ストレスを買い物で解消する。麻衣はその悪循環にまんまとハマった。そして23歳になるころ、クレジットカードの利用総額、つまり借金は130万円に膨れ上がった。そしてAVプロダクションに自ら電話した。

「最初はメールで写メを送りました。メール面接ってやつですね。それからすぐに担当者から電話があってどれ位の頻度で上京できるか聞かれました。いずれAV1本でやっていきたいと思っていたんですけど、そのときは会社勤めだったから「土日だけ」って答えたら「厳しいですね、うちじゃ採用は無理」って言われたので「じゃあ平日でもやります!」って答えました。そしたら都内で面接できることになったんです。なけなしのお金をかき集めて新幹線で行きましたよ、とにかくすぐにお金必要だったから」

 体格のいいマネージャーに若干怯えながらも、面接を無事乗り切った麻衣は即採用となった。

「でも私、年確(注)がなくて。パスポートを申請するお金もままならなかったんです」
注:年齢確認の略。免許証やパスポートなど、顔写真付きの身分証明書が望ましい。

 いかんせん年確がなければメーカーへの営業回りもできない。状況を知った事務所スタッフのはからいで、その日は下着オークションの仕事をして即金を得た。初めてのギャラは5000円だった。

「その5000円がそのときの私にとっては貴重でした。新幹線代も採用になったので往復は支給されて、ホント救われました!」

 その後、一度地元に帰りパスポートを申請し、再び上京した麻衣はメーカー各社で面接を受けた。その明るさと若さで仕事は順調に決まっていった。

「敏腕マネージャーさんの営業力のおかげですよ」おどけて彼女は笑う。

 地方在住のモデルの場合、事務所側がスケジュール調整をして都内滞在期間中にまとめていくつかの案件を入れる。

「AVのお仕事を始めてからは、一度東京に行くと3日間撮影をしてまた地元に帰る、という感じでした。なので職場には「風邪で休みます」って言って、親には「出張だから」と伝えていました。でもそのうち1週間くらい立て続けに撮影スケジュールが入ってしまって。いずれこのお仕事1本でやっていきたいと思っていたので、会社よりAVを優先しました。会社には…今思うとホント申し訳ないんですけど『親が倒れたので看病しないといけない』と連絡していました。でも両親はその前から少し疑がっていたみたいで、ある日お父さんから電話がかかってきて『お母さんが突然倒れた。とりあえず帰ってこい!』って言われたんです。でも帰ったらお母さんは元気で…」

父親がネットに上がった撮影会の娘の写真にたどり着いた

「親が倒れた」という言葉の効力は絶大だ。そうしてXデーは、やってきた。

「私が東京に行っている間に両親が部屋を漁って支払いの明細書や私がヤリクリを書いたメモを見ちゃったみたいで。そこから、『東京に行ってるのはお金に困って風俗とか高収入系の仕事をしているんじゃないか』って思ったみたいなんですよね。で、めっちゃお父さんがネット調べたんですって。実はそのとき1回だけ撮影会の仕事をやったんですけど、そのサイトに出てる私の写真をその場で見せつけられました。『これなに?』『なんで相談してくれへんかった?』『あんた今、合計いくら借金作っているかわかってんのー!?』って両親に泣かれましたね」

 娘の部屋から支払い明細書を見つけ出すことまでは容易に想像がつくが、そこからの仮説で小さな撮影会のサイトを探し出し、娘の顔写真にたどり着くとは。ネット探偵さながらである。デビュー作も世にはまだ出ていない時期だ、当然、ブログやツイッターも開設されていない。そんな初期の段階で撮影会のサイトでバレるとは、事務所スタッフからも「前代未聞」と言われたという。

「『とりあえず撮影会なんて今すぐやめなさい』そう言われたときにもう私の中で『めんどくさ!』ってなって『撮影会だけじゃなくてAV女優やってるし!』って自分で言っちゃったんです。逆ギレですね」

「辞めるつもりないしこの仕事で生きてくって決めたから。引き止めたり家から出さないようにしたとしても私、ベランダから飛び降りてでも東京行って帰ってこうへんし!」

 彼女の言葉に両親は泣いていた。父、母、娘の話し合いは何時間にも及んだ。

「私もひどいことたくさん言っちゃいましたね。普段、絶対に言わないタイプだったので爆発したみたい。『突然やってきてお父さんヅラするな!きたと思ったらソッコー子供作りやがって!』とか。あと、昔からトラウマになっていたことがあって。小さい頃にお母さんが疲れて帰って来た日があったんですけど、私、そのタイミングで洗濯やゴハンを作っていなかったんですね。そしたら「あんたは冷たい子やな、心ないんちゃう!?」って言われたことがあって。それがずっと私の中でひっかかって「あんとき心ないって言ったよな? 心ないから親の気持ちわからんから、こういうことできんねん!」って言ってみたり。二人ともボロボロ泣いていましたね。だけど同時に『あんたから初めて本音を聞けたから、どうせやからこの機会にもっと思ってること言いや!』そう言われたらバンバンバンバン言葉が出てきました。『他の家やったら大学やって学費ちゃんと出してくれるのに、交通費も食費さえも出してくれない家、ありえへん!それで親とか言ってんな!』とか…あはは!今思い出すと最低な子供だと思います!」

 そして、もっとも彼女の母親がこたえただろう、という言葉を教えてくれた。

「『昔から女優になりたかったのに、その夢が叶えられなかったのはアンタらのせいや!』って。というのも私、子供の頃からお芝居をするのが好きで演劇部にも入っていたこともあったんです。機会があれば劇団や大手事務所のオーディションを受けていたんですが、どういうわけか毎回受かっていたんですね。でもたとえ受かっても事務所への登録料が払えなくて。中には50万というところもあったから」

「修羅場でしたね」と苦笑いを浮かべて麻衣は語る。

「『昔、劇団や芸能プロダクションに入れなかったのもうちにお金がなかったせいじゃん!』って言っちゃった。形は違うけどAVも演技力も求められる仕事だし、この仕事をすごく楽しんでやっている、ということも伝えました」

『あんたら、これ以上、私のやりたいことを邪魔する気!?』

 自分でも驚くほどハッキリとした言葉だった。

「散々泣いて罵りあってようやく『じゃあ応援するわ』って両親が言ってくれました。『だれかに無理矢理やらされてるんじゃなくて、自分から楽しくやってるんやったら納得いくまでやったらいい』って」


病まない、へたれないタフなAV女優として借金を返す

 晴れて親公認となった麻衣は働いた。しばらくして会社も辞め、都内で事務所の寮に身を寄せた。週に5現場はザラ、ときに10日以上立て続けに撮影することもあったという。思わず私は、「あそこもタフだね」と言ってしまった。

「そうなんですよ、痛くなったりしないんですよ~。あそこが痛くならないって本当この仕事は天職だと思います!」

 そう晴れやかに彼女は笑う。しかも彼女はアクの強い監督からのオファーもひっきりなしに受けている。

「癖のある監督でもあまりなんとも思わないかも。最初からそういう方ってわかっているし、ちょっと厳しく演技の注意されたくらいでは凹まない。イジメられてきたおかげなんですかね、あはは! でもJKものの撮影で制服を着て他の女の子とワイワイするシーンを撮るときは、『あ~今、やっと青春してるんだな』って思います。高校時代はイジメられていたし、学校終わったらすぐバイトで、そんなことできなかったから」

 イジメられても病まない、現場が続いてもヘタれない。とにかく麻衣は精神的にも体力的にもタフだ。

「これまでずっと働いてきた生活だったから、逆に休みの日って何していいかわからなくなるんですよ」

 彼女は現在、都内に家賃9万円のマンションを借りて一人暮らしをしている。

「最初この仕事始めて2ヶ月で100万円貯めました。事務所の寮に住んでいたから家賃と光熱費はないし、現場だとお弁当が出るから食費もかからない。無理なく貯められました。営業してくれたマネージャーさまさまです! そのお金で引っ越しして、今は毎月の支払いの金額をちょっと上げてコツコツ返しているところです。何枚かカード作っていたんですけどそのうちの1つの支払いが終わったんですよ!ま、あと2つ残っているけど。家賃とケータイ代、そして返済が12万円。毎月、出て行くお金はだいたい30万円くらい。これまで貯めた分と毎月のお給料でやりくりすればなんとかなる金額です。借金がバレて親が泣いている顔を見たとき『私はとんでもないことをしてしまった!』って思ったんで、そこからカードを使うことはなくなりました。買い物をしたかったら現金にしています。カードは一切、使っていません」

「最近のAV業界は稼げない」と言われているものの、やろうと思えばここまでできる。借金や貧困に頭を悩ませる女性のセーフティネットとしてまだ機能している例を前にして私もほっとした気分になった。ただしAVがセーフティネットとなるのは、若くて容姿が優れていることが近年の絶対条件ではあるけれども。ちなみに麻衣にはAV以外の「風俗」という選択肢はなかったのだろうか?

「いまだに私、どれだけお金が困っても風俗はやらないって決めているんです。コワイ。私がエッチできるのも相手が男優さんだからなんですよね。お互い性病検査を定期的に受けて、絡みの前にはシャワーを浴びて清潔にしている。でも知らない一般の人は無理ですね。私と同じような境遇の子が風俗をやるというならAV女優をすすめたい。どうせこういうお仕事するんだったら安全な仕事を選んでほしいから」


親バレしてよかった。父親が毎日動画をアップするアイデアを提案

 そして、修羅場を経た今、両親との関係はこれ以上ないほどに円満だという。

「ブログやツイッターを見て『楽しそうやね』って言ってくれるんです。やっとやりたいこと見つけて生き生きしているのを見ているから、アドバイスしてくれたり応援してくれるんやと思う。私、毎日ツイッターで「おやすみ動画」を撮ってるんですけど、あれ、実はお父さんのアイデアなんです。すでに『明日の天気予報』という動画を毎日アップしている女優さんもいるんで気が進まなかったけど、『マネって最初は言われるかもしれないけど、毎日やっていたら自分のものになるから。おやすみなさいって短いし、疲れているときでもできる。それで見ている人が癒されるから毎日、絶対撮りなさい』って言われて。で、それをやったら好評でフォロワーもいい感じで増えているんです。感謝感謝ですね!」

 きっと彼女の父親はインターネットに強い、いわゆる情強なのだろう。ひょっとしたらこの連載も読んでいるかもしれないな、と思った。

「あとは暗い言葉を書くなって言われますね。弱気になると病んだツイートをしちゃうこともあるんですけど、そうすると両親から『さっきのツイート、今すぐ消しなさい』ってすぐに電話があるんですよ。『あんなん書いたらあかんで、そんなん書いて仕事もらえると思ってんの? メーカーさんも見てんねんで』って言われます(笑)」

 同性として母親は自分の娘の裸体は直視できるのだろうか?

「胸がバーン出てる作品もあるから、正直どう思ってんやろ、と私も思うんです。でも気にしなくなってるんですかね。最近は『あの作品のパッケージ、写りよかったね』とか言ってくれるので。こないだは『アンタが昨日ツイートしていたメーカーさん大手みたいやから、ちゃんと売り込んでこなあかんで!』って言ってきたり。業界研究もしているみたいで、私よりもこの業界に詳しいかもしれないですよね!」

 あはは! と笑って一息ついた彼女はこう言った。

「本当、親バレしてよかったと思います。今は彼氏もいないし、友達もいないから親にさえバレてしまえばコワイものなかったから。ただちょっと気がかりなのは7歳になる妹のことですね。妹が大きくなったら、いずれ気づくじゃないですか。親のパソコンの履歴や私のブログを見たら、私と口をきかなくなるときが来るかもしれない。もしくは学校で周りの人が先に気づいて『あの子のお姉ちゃん、AVやってる』って噂をしたりするかもしれない。ただ私の仕事が原因で妹がいじめられたりするのだけは避けたい。なんかあったらソッコー飛んでいきますけどね。だって私は堂々とこのお仕事ができて親にも感謝しているのでそれぐらいはやらないと。AVの仕事、隠してやっている子を見ていると『大変そうやな』って思うし、私は今、親にも仕事にも恵まれて、本当に幸せ者だって思っています!」


アケミン アケミン(アケミン)

1978年生まれ。幼少期をアフリカ、メキシコ、ブラジルで過ごす。
大学卒業後、映像翻訳のアシスタントや派遣事務を経て03年AVメーカー「DEEP’S」に就職。その後、「アイデアポケット」に転職後、2009年退社、フリーライターに転身。現在はスポーツ新聞でのコラムや男性誌でのAVレビューを主に執筆中。またイベント「スナックアケミン」も不定期開催。
ツイッター @AkeMin_desu
ブログ http://blog.livedoor.jp/akemin_1024/

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