坂井浩和
2015年11月30日11時45分
首都圏の新築マンション価格が高騰している。東京、神奈川、千葉、埼玉で10月に売り出された物件の平均価格は5300万円を超えた。建築資材と人件費が高騰していることや、消費者が利便性の高い物件を求めていることが要因だ。
■平均価格5300万円超に
川崎市の武蔵小杉駅は、JRと東急が乗り入れ、東京、渋谷各駅まで20分以内と利便性が高い。ここで「駅徒歩5分」「超高層免震」をうたうタワーマンション(地上53階建て)の建設が進む。
そのモデルルームを東京都の会社員男性(37)が見学した。営業担当者に紹介されたのは3LDK(71平方メートル)。低層階だったが、「6760万円」と記された価格表を見てあきらめた。
男性の年収は約800万円。妻は昨年、第2子出産を機に退職。現在暮らす賃貸マンションが手狭になったため、70平方メートル程度の新居を探している。子どもの教育費などを考えると、貯蓄から頭金に回せるのは約1千万円。35年の長期ローン(全期間固定金利1・6%、ボーナス払いなし)を組んでも、月々の支払いは約18万円。管理費などを加えれば20万円以上にのぼる。
男性は「難しいと思っていたが、予想以上に高かった」と話し、駅から離れた物件や第1希望の武蔵小杉以外の物件も考えているという。「家を探し始めた半年前と比べても相場が高くなっていると感じる」。
不動産経済研究所によると、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で昨年売りに出た新築マンションについて、発売価格の合計を戸数で割った「平均価格」は5060万円。1992年以来、22年ぶりに5千万円を超えた。今年10月単月の平均は5364万円で、1戸あたりの平均面積は70・67平方メートル。
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