地球温暖化の行方を左右する国連気候変動会議(COP21)がきょう、パリで開幕する。

 2020年以降の温室効果ガスの排出抑制や、気象災害などの被害の軽減、そのための国際協力などについて決める。

 これに先立ち世界気象機関は先週、今年の世界の平均気温が観測史上最高になりそうだと発表した。工業化で人類が化石燃料を大量に使い始める前に比べて1度上がり、5年単位でも11~15年が過去最高という。

 世界の気象学者らは、温暖化は確かに起こっていて、人類による二酸化炭素などの大量排出が原因だとする報告書をまとめた。このまま手をこまぬけば、今世紀末に世界平均で最大5度近い気温上昇を招くとの予測も示している。

 国際社会はCOP21での合意をめざして交渉を重ねてきた。万が一決裂すれば今後何年も空費するのは確実だ。温暖化が人命や経済、生態系に与える被害はさらに甚大になるだろう。

 幸い、これまで決定的な対立は生じていない。従来は消極姿勢が目立った米国と中国が前向きに転じたことが大きく、先進国も途上国も温暖化対策に取り組む機運は維持されている。

 とはいえ、課題は山積している。最大の焦点は、気候変動枠組み条約に明記されている「共通だが差異ある責任」をどのように実現するか、である。

 歴史的に化石燃料を使い放題に使って早期に経済発展を遂げた先進国は、途上国以上の責任を引き受けるのが当然だ。程度の問題はあるが、資金や技術の提供で誠意を見せなければ途上国はそっぽを向くだろう。

 安倍首相は首脳会合で、温暖化関連の途上国支援を官民で年1兆3千億円に3割増やすことや、地熱発電などの技術提供を表明するという。

 一方、日本のガス削減目標は先進国の中でも見劣りし、環境団体などから批判されている。

 今さら、会議で目標を引き上げることは難しいかも知れない。だが、現在の各国の目標が達成されても気温上昇を2度未満に抑えるという国際目標は実現しそうにない。

 将来の各国の目標引き上げにつながる有効な合意づくりが重要になる。日本は、そうした議論で積極姿勢を示して、会議の成功に貢献すべきである。

 日本のガス排出量は14年度は5年ぶりに減った。東京都は30年までに00年比30%削減と、政府を上回る目標を発表した。

 日本がすべきこと、できることはまだまだある。政府は覚悟を持って臨んでほしい。