クアラルンプール=都留悦史 青山直篤
2015年11月30日07時35分
標準税率6%のGST(消費税)を、4月に導入したマレーシア。コメや野菜、教材など「生活に欠かせない」と政府が判断したものは0%にする軽減税率も同時に始めたが、一部の売り場では混乱が続く。粉ミルクは栄養成分で、食用油は原材料で税率が違い、しくみが複雑だからだ。
首都クアラルンプール近郊の大型スーパーで、色違いの2種類の粉ミルクを見つけた。箱のデザインやブランドは同じでも、80・85リンギ(約2300円)の乳児向けの青い箱の値札には「GST0%」の小さな文字。4歳児以上向けのオレンジ色の箱は49・09リンギ(約1400円)で、標準税率6%がかかるという。
男性店員は、粉ミルクに含まれる栄養分が違うと説明するが、1歳4カ月の長男がいる母親のマリアムさん(32)は「GSTがかかったり、かからなかったり。紛らわしいわ」と、納得できない様子だ。他にも、果物のパパイア丸ごと1個は0%でも、加工したパパイアの漬物は6%。家庭でよく使うパーム油は0%でも、やや高級品の菜種油は6%といった具合だ。
■「日用品」のイメージに違い
消費税は、政府が財政赤字を減らす目的で始めたが、国民の暮らしに負担になりすぎないようにとの配慮から、「日用品」など約900品目を軽減税率の対象とした。電気や水道などの基本料金、教材なども税率0%にした。
ただ、商品の中身や加工の有無などで区別が細かい。「日用品」のイメージは人によって違い、店員の多くは「お客に説明するのに苦労する」とこぼす。
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