いわゆるキラキラネーム。
子供が出来た時に親が頭を悩ませる事の一つに「名付け」がある。
ウチも正直かなり悩んだ。
妻と面と向かって話したのは、妊娠もだいぶ後期になってからというか、むしろ生まれるちょっと前だったのだが、子供が出来た時は男女両方の名前を四六時中考えていたし、女の子だとわかった時も、どんな名前がいいかと考えるのが楽しかった。
最近では、難しい漢字に当て字の読みを付ける、いわゆる「キラキラネーム」が増えていると聞くが、実際はどうなんだろうか?
明治安田生命が発表している名前ランキングがあるのだが、それによれば2014年のランキングは
男の子
1位 蓮
2位 大翔
3位 陽向
4位 陽太
5位 悠真
6位 湊 悠人 陸 駿
10位 朝陽
女の子
1位 陽菜 凛
3位 結菜
4位 葵
5位 結愛
6位 愛莉 美咲
8位 結衣
9位 桜
10位 凜 心春 杏 愛梨
と、漢字そのものが難しい名前が人気なわけではなさそうだ。
読みのほうはどうだろうか。
男の子の1位である「蓮」は、ほぼ「れん」という読みだろうけど、2位の「大翔」は単純に思いつくだけでも「ひろと、やまと、だいと、はると、ひろか」などがあり、中には「そら」「つばさ」と読ませる場合もあるらしい。
名前に使える漢字は戸籍法によって制限されているのに、その「読み」に関しては制限が無い。だから、同じ漢字でも別の読み方をしたり、そもそもそんな読み方をしないものに対して、当て字でぜんぜん違う読み方をする名前を付けることが可能になる。
親の願いが込められた名前。
かつて子供を複数産むのが当たり前だった時代は、長男が一郎、次男が二郎などという便宜的に付けられた名前もあったが、出生率の低下もあって名付けも随分と変化してきた。
前述の明治安田生命のサイトには、年別の名前のランキングも掲載されているが、時代時代で名前の付け方に変化があって面白い。
このランキングを見ていると、「これはどう読むんだろう…?」という名前が増えたのは、主に平成20年前後といったところだろうか。
今も昔も、名前には流行り廃りがあり、それと同時に何らかの願いが込められていることが多い。だから、別に特殊な読み方の名前を付ける親を避難するつもりはない。例えば、昔話題になった「悪魔ちゃん」みたいなのはどうかと思うけど…
個性が没個性になるかもしれないよ。
では、何故に子供にそういう名前を付けるのか。
京都大学の荻原祐二氏らが発表した以下の論文では…
近年の日本では、個人としての独立や自立、他者と違って個性的であることなどが重視され、個人主義化が進んでいるとされている。実際、家族サイズの減少や離婚率の増加などから、日本文化の個人主義化が指摘されている。
(中略)
これらの結果から、人気のある漢字に対して一般的でない読みを与えることによって個性的な名前を与える傾向が増加していることが明らかとなった。例えば、「海」を「かい」や「うみ」ではなく「まりん」と読むような英語読みや、「心」を「こころ」ではなく、「ここ」や「こ」と読むような短縮読みなどの方法がみられる。こうした傾向は、日本文化が個性をより重視する個人主義文化に徐々に変容していることを示唆している。
という事で、「個性を重視した結果」この様な当て字や読ませ字の名前が増えたと結論付けられている。
自分の住んでいる県では、夕方に地方ニュースで新生児を紹介するコーナーがあるのだが、漢字を見てもどう読むのかわからない名前も多い。同じ漢字でも複数の読みがあり、しかも正解は無いのが人名なのだ。自分の娘の通う保育園では全ての児童の名前がひらがなで書いてあるが、漢字を当てるのはかなり難しいだろう。
ここで、ふと考えてみる。周りがそういう漢字から読みを想像できない名前ばかりだったとして、果たしてそれは個性になるのだろうか、と。
むしろ、それが当たり前になると、キラキラ輝くと思ってつけた名前が逆に光らないと言う事にならないだろうか。
下記のようなキラキラネームのランキング上位に来るような名前であれば流石に目立つだろうが、ちょっと光っている程度の名前では、今の時代個性にならないような気がする。
※このキラキラネームが本当に使用された保証はない。ホントなのこれ?
ちなみに、ウチの娘はひらがな三文字にした。だれにでも読める名前である。個性は生まれる前から親が与えるようなものではなく、娘が自分で手に入れるものだと思っているからだ。
自分は、それでいいと思っている。