総合診療医 ドクターG「赤ちゃんが高熱を出した」 2015.11.26


(光の泣き声)志織大丈夫か?武!光がすごい熱なの。
光大丈夫なのかな!?
(武)熱いな。
光大丈夫か?
(志織)光…。
こんな事初めてだよ。
(武)大丈夫か光!大丈夫だよ。
(光の泣き声)
(志織)あ〜光…。
(志織)
4歳年下の夫武と私のところに光が生まれてきてくれたのは先月の事です
穏やかに笑っていた光がまさかこんな事になるなんて…
(泣き声)
ただならぬ声で泣きだしたのは今朝の事でした
光!光!光…光ごめんね大丈夫?光!光大丈夫?うわっすごい熱。
武!光が…光がすごい熱を出してるの。
分かった病院に行こう。
俺もすぐ行くから。
うん。
あぁ…すごい熱。
光はまだ生まれたばかりなのにこんなに高い熱に苦しまなきゃいけないなんて…
先生!光は…光は大丈夫なんでしょうか!?患者を救え!さあさあさあ「ドクターG」初のですね赤ん坊。
これ大変だよ。
史上最年少ですね。
博士だって三人いるわけだからね。
僕もう何回もああいう経験というか緊急でね行った事はありますけど生後20日っていうのないですね。
岩井さんはお子さんお二人育てて。
もう相当昔なんですけど確かに熱は出してたようなんです。
特にね男の子の方が出しやすいんですよね。
それ言いますよね。
平さんはまだ結婚されてないから…。
でも僕妹がいまして双子なんですけど姪っ子が産まれたんですよ。
熱が出た瞬間を見たわけじゃない。
分かんないっすね。
それでは今回の症例を解決したドクターGの登場です!
(玉ちゃん)今回のドクターGは小児科のエキスパート…
(拍手)さあ小児科の先生ですからこういう事は慣れっこだと思いますけれども生後間もないっていうのは…。
(岩井)子どもは熱を出すもんじゃ。
…みたいな事をすごい言われたんですよね。
(岩井)あらそうだったかな。
生後20日というのがお母さんの免疫で体が守られてるんですね。
赤ん坊といっても新生児とは違うという事なんですね。
じゃあ今回の発熱は大変な事態。
そうですね。
やばいやばい。
熱を出す事が通常ないお子さんが熱を出してますので何か重大な事が隠れている可能性があると思います。
診断をつけるだけではなくて治療をしっかりと行う事によって…そういうところがこの大きなポイントになると思います。
今回のドクターG齋藤昭彦先生は…新生児の場合一瞬の治療の遅れが重い後遺症につながる事も多い。
自分の症状を説明できない…病名を探り当てながら…それが齋藤先生に課せられた役割だ。
頑張ろう。
さあ病気の正体を探り当てるため全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(玉ちゃん)猪谷先生新生児のこういう発熱を見た事あります?え〜とありません。
(玉ちゃん)じゃ非常に今回…。
珍しいですよね。
僕の方が熱が出そうな感じになっております。
井本先生どうですか?新生児の。
(井本)生まれて間もない子をまあいきなり熱が出たっていう事で何らかの感染症かなとは思います。
近藤先生どうですか?今回のケース。
僕は小児科志望というのもあるので今日は助けるつもりになってこの患者さんを診ていきたいなと。
さあそれでは再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
正しい病名にたどりつき患者を救う事ができるのか?ドクタージェネラル!どうぞお座り下さい。
(泣き声)先生。
今日光が熱く感じて…熱を測ったら39度もあったんです。
(泣き声)お話を伺う前に先に診察をさせて頂きますね。
そちらのベッドに寝かせて下さい。
光くんは頑張っていますよ。
お父さんお母さん落ち着いて下さいね。
39度1分です。
今日の夕方ごろです。
でも昨日からいつもとちょっと違うような…。
うちは母乳をあげているんですがいつも片方10分ずつあげているのに昨日から3分くらいで飲むのをやめてしまいます。
はい。
一日1回は出ています。
でも昨日は…。
(志織)光…よいしょ。
あれ?おしめあんまりぬれてないでちゅね。
おしめ替えましょうね〜。
(志織)
おむつを替える回数は少なかったかもしれません
いつもは3時間くらいはぐっすり眠るのですが昨日から1時間くらいで起きちゃうんです
せきは出ていません
いいえ誰も…。
しっかり診察したいので今日は光くんに入院してもらいますね。
今できる処置は行いました。
お母さんの事をお聞かせ頂けますか?はい。
いいえ特には…。
妊娠が分かってからは食生活にも気を遣ったし…。
(志織)
風邪もひかないようにしていたんですけど…。
あっでも6か月健診の時に…
先生赤ちゃんは順調ですか?はい。
大丈夫順調ですね。
よかった。
これが今日撮ったエコーの写真です。
頭とおなか。
かわいいでしょ。
(志織)かわいい!
(医師)ただ志織さんは少し貧血気味だから意識して鉄分をとった方がいいですね。
はい。
どんなものを食べたらいいんでしょうか?ほうれん草とか豚肉や卵レバーがいいですよ。
それで夫が料理を作ってくれたんです
ほら特製レバニラ出来たぞ。
栄養満点でちゅよ〜。
たくさん食べるんでちゅよ。
ありがとう。
でもちょっと赤いかな…。
(武)えっそうか?
(志織)う〜ん。
結構大変でした。
助産院です。
私も助産院で産まれたので子どもも助産院で産みたいって思っていました。
あぁ…痛ぁ〜!あ〜…あっ陣痛来たかも!ほんとに?間隔はどのぐらいなの?
(志織)もう10分切ってる!痛たたた…。
助産院に向かうね。
うわ〜いよいよだね。
分かった!すぐに向かうね。
頑張ってね。
部長!あの…妻が産まれそうなんで…。
妻じゃないだろ子どもだろ!あっすいません。
気を付けて行ってこい!ありがとうございます。
すいません。
おっ…ごめんなさい。
すいません。
うぅ〜!
丸一日かかりました
志織。
うぅ〜!はい吐いて〜。
吐いて吐いて。
そう!上手上手上手。
そうそう上手よ。
あっ下りてきたわよ。
今!今力んで。
今力んで。
(武)志織どうしたらいい?どうしたらいい?腰を押して。
(武)腰?
武のお母さんも駆けつけてくれました。
私は早くに母親を亡くしたのでお母さんがいてくれるだけで心強かったです
こう?
(志織)もういい!大丈夫武!ほらこれでじゃああおいであげてほらね。
(志織)うぅ〜!頑張って志織ちゃん!もう少しよ!もう少し!はい頑張って!
(武)志織もう少しもう少し頑張れ。
(産声)
予定日よりは少し早く産まれました
はい特に問題はありませんでした
これからはいろいろ大変だけど2人で助け合って頑張ってね。
何か不安な事があったらいつでも連絡ちょうだい。
ありがとうございます。
私が育てられるのか不安だらけだから本当にうれしいです。
しばらくはお母さんの免疫に守られてるから安心して頑張りなさい。
え?
(助産師)あなたはもう母親の役割を果たしているの。
ありがとうございます。
なのにこんな熱を出すなんて…
先生!私が…私がいけないんでしょうか!?お母さんそんな事はありませんよ。
今は光くんがよくなる事を信じて一緒に頑張りましょう。
分かりました…。
頑張って。
頑張ってね。
(玉ちゃん)研修医の皆さんも悩んでおりますよ。
さあこちらがですね患者の内田光くん生後20日の基礎データでございます。
体温が39度1分。
高い。
血圧上が65下が33。
心拍数が毎分150回!呼吸数が毎分48回。
先生!まず体温なんですけどかなりの高熱です。
赤ちゃんは周りの温度などで体温が変動しやすいんですけど38度を超えているとやはりかなり高い体温だという事が分かると思います。
(玉ちゃん)あと心拍数ちょっとやばいんじゃないですか?この心拍数は赤ちゃんの回数としては正常です。
(玉ちゃん)正常なんですね。
これで正常なんですか。
大人が150回っていうとかなりドキドキしますけど子どもの心臓っていうのは大人に比べると非常に小さくてその機能がですねまだまだ未熟なんですね。
それを血液を送り出すために小さな心臓でどうするかというと一生懸命回数で稼ぐわけですね。
ですから血圧呼吸数このような値でも問題ないと考えて下さい。
さあそれでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
(玉ちゃん)さあVTRの中にねヒントがあったんでしょうかね。
どうでした?
(岩井)なんかちょっと…レバニラちょい焼きでしたよね。
猫はちょっとね…。
猫もやばいですよ。
気になりますよね。
(平)最後先生に言われてたんですけど。
赤ちゃんがまだお母さんのおなかの中にいる時に免疫抗体というのを赤ちゃんがもらうんですね。
それがどんどんどんどんなくなっていくんですね。
では熱が出るって事は違うもんが入ってきたって事ですか?そうですね。
お母さんが今までかかってないような病気の病原体が入ってくると熱が出るんですね。
研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
(玉ちゃん)一体どんな病名が出てくるんでしょうか。
一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)さあお一人ずつ病名を発表して下さい。
(玉ちゃん)井本先生。
(玉ちゃん)近藤先生。
(玉ちゃん)2つ並びましたね。
さあここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート。
みんな感染症を挙げてくれました。
「腎盂腎炎」「髄膜炎」ですね。
猪谷先生腎盂腎炎ですけども。
腎盂腎炎というのは腎臓の感染症の一つ。
熱がよく出るという事で尿が少なくなったりする事もある腎臓の症状が出やすい病気です。
腎盂腎炎は腎臓と尿管と腎臓との接続部腎盂が細菌に感染する病気。
多くは尿道から感染します。
新生児の場合口から入った細菌が腎臓に達する事もあり……といった症状が現れます。
どういうところから腎盂腎炎を考えましたかね?症状が熱と食欲が落ちている事とあと尿が減っているという所見がありました。
そこから感染のフォーカスを考えるとすると尿路かなというふうに考えました。
うんすばらしいですね。
井本先生と近藤先生は同じ病気を挙げてくれました。
髄膜炎ですね。
じゃ井本先生髄膜炎について簡単に説明してもらえますか。
はい。
脳の感染症で脳にある髄膜という所に菌とかウイルスとかがついて今回みたいな発熱などを起こす病気です。
髄膜炎は脳を包む膜「髄膜」にウイルスや細菌が感染し炎症が起きる病気です。
髄膜炎を疑った理由はいかがですか?生後間もない赤ちゃんの発熱高熱という事で後々この疾患を見逃すと後遺症が残ってしまうので急いで治療をして…。
(玉ちゃん)一刻を争う病気ですか?これはですね…近藤先生どんな所が…?生後20日の子どもが発熱してるというので大泉門は平たんですけども…。
大泉門って何ですか?これはですね赤ちゃんの頭を前頭部の所を触るとひし形のペコペコした所があるんですね。
(岩井)あった!ありました。
髄膜炎があると大泉門どうなるんですかね?脳の周りの髄液というものの圧が上がってきますのでそれでこの辺りにある…今回はないようですけどもまだこれを消すわけにはいかないと思って第一にこれを考えました。
髄膜炎は感染の原因によって細菌性とウイルス性の2つに分けられます。
ご存じですか?7割から8割。
7割8割!?生後20日の赤ちゃんが熱を出してる。
どこで…分かる方?胎盤感染。
はい。
あと2つどうでしょう?じゃあ猪谷先生どうですか?産道感染。
近藤先生もう一つ。
(近藤)接触感染。
それは生まれた…?後ですね。
今3つの主なルートを挙げてもらったんですけどこの患者さんでどのルートが一番考えやすいですか?胎内感染。
これは?最初退院される時とか何も問題がなかったというのが…。
そうだね。
胎内の感染とかは考えにくくなりますよね。
先生胎内感染は発症するのは時期的にはすぐ?胎内で感染してる場合には通常赤ちゃんがおなかの中にいる時の超音波の検査でちょっと頭が小さいとか生まれた時に体重が小さいとかいろいろな異常がもう既に見つかってる事が多いんですね。
産道感染はどうですか?後から症状が出てくる事ももちろんあるとは思うんですが。
胎盤感染の多くはおなかの中で発症し異常が現れます。
産道感染の多くは生まれたあとすぐに発症します。
体重は何グラムでしたか?
(志織)
2,904グラムです
産後は何か問題なかったですか?
はい特に問題はありませんでした
うわっすごい熱。
生後20日というところから恐らく…特に出生後の感染の中でフォーカスを置いた時に…近藤先生どうですか?
(近藤)新生児の期間であれば…出生後に感染する細菌はいくつもある。
もし光くんが細菌に感染し髄膜炎を引き起こしていたら…早く光くん助けて下さいよもう!できるだけ早く治療するというのが原則です。
もうあの赤ちゃんはすぐ入院だったじゃないですか。
でもう既に…ちょっと僕気になったんですけど。
近藤先生自信がありそうな顔…。
いってみましょう。
やはり危険な病気である細菌性の髄膜炎であった場合は抗菌剤を入れるっていうのが必要かと思います。
抗菌薬ね。
いわゆる細菌に対する治療薬。
この診断がついてない状態で治療というか最初の手を打つっていうのは…。
早く診て頂けるのはありがたいんですけど赤ちゃんにこんなこんな治療を施してその前に…薬を赤ちゃんに投与するとどんな副作用が考えられますか?一般的に抗菌薬というものは肝臓の障害や腎臓の障害が出てくると思います。
あとはアレルギーには気を付けるべきだと考えます。
そんなのがあってもやっぱりこういう治療はしなきゃいけないんですね。
特にこの新生児ですね。
この病態がですねある意味緊急の事態であって……というのが非常に重要です。
我々はあそこで抗菌薬と水分の補充をしております。
命落としますのでまずは治療すると。
病名は確定していないが光くんには既に抗菌薬が投与されている。
腎盂腎炎を含め…しかし細菌以外に感染していたとしたら?基本ウイルスに対しては対症療法を行うと思います。
いろいろあると思うんですけど。
たくさんありがとう。
でも特に新生児の重症な感染症を起こすウイルスどうですか?うん…え〜っと…。
ヘルペスね!非常に重要な疾患で…別なんですか!ヘルペスウイルスに感染した場合亡くなる率ってどのぐらいか知ってますか?赤ちゃんが。
大体約半分以上の赤ちゃんが亡くなります。
体調を崩し免疫力が落ちた時などに唇の周りにかゆみや熱を伴う水ぶくれができますが必ず症状が現れるとは限りません。
しかし新生児が感染すると脳の側頭葉をむしばむことがあります。
高熱を発し命が助かっても多くは重い後遺症が残ります。
ヘルペスのウイルスは血液の中に乗ってこの部分にくっついてこの部分の脳をむしばんでしまうんですね。
それによってまひが出たりとかそれから知的に障害が出たりとかいろいろな事が起こりえます。
ヘルペスって割と軽い病気と思ってたんですよ。
あれ重症化とかするんですか?そうですね。
だからとにかく一刻も早くこの病気を考えたら治療をしとかなきゃいけない。
ヘルペスに対しては何ていう薬使いますか?アシクロビルはヘルペスウイルスが体内に広がる事を防ぐ薬。
光くんの命を脅かす新たな病名が出てきた。
しかし薬による副作用も考えなければならない。
光くんの病気は…鑑別していかなきゃいけない中でなかなか赤ちゃんは自分で症状が言えないというところがありますので…行いたい検査を挙げてもらえますか。
どんな検査ですか?教えてもらえますか。
血液の中に菌がいるかどうかを見てあげる検査です。
(平)それは細菌とウイルスが…ってどっちかっていうのを分けるための検査なんですか?そうですね。
細菌であると陽性になります。
大事な検査ですよね。
井本先生どうですか?あとは…血液の成分を検査して白血球の数が異常であれば細菌に感染している疑いがあります。
また血液の培養検査で何らかの細菌が見つかるとその細菌による感染症である事が確定します。
更に髄液の検査で白血球の数が多ければ何らかの感染によって髄膜炎を引き起こしている事が分かります。
ウイルスはどうやったら分かります?
(近藤)遺伝子の検査をする事が。
(玉ちゃん)遺伝子までいきますか。
どんな検査がありますか?PCR出てきましたけどこの時点でやる必要があるかどうか。
やはりPCRというのは…ヘルペス以外のウイルスは感染しても自然に治る事が多いため通常ウイルスを特定する検査までは行いません。
…と思うので限られた医療費の中でそういった見当違いの可能性もある段階で出すのはちょっと…。
とてもいい感じで方針が決まってきたと思いますね。
今研修医の皆さんが挙げてくれた…これも検査のところでやっております。
さあ診断を絞り込むためにVTRの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!血液検査は正常。
髄液検査では白血球の値が上昇。
失礼します。
内田さん。
先生。
まだ熱は下がりません。
光は大丈夫なんでしょうか?熱が下がるまで時間がかかるかもしれません。
もう少しお話をお聞かせ頂けますか?はい。
産後光くんと外に出かけた事はありますか?退院した日もすぐタクシーで帰宅したし買い物はほとんど僕がしてるし…外には出ていないよね。
うん。
ご自宅には誰か来られましたか?義理の姉と4歳の姪っ子が来てくれました。
(義姉)赤ちゃん!わ〜ちっちゃい!かわいい!ねえかわいいね〜。
かわいい。
かわいい。
(せきこみ)ちっちゃ〜い。
(志織)
そういえば姪っ子が幼稚園で風邪がはやっているとかで少しせきをしていました
武のご両親が産後すぐ来てくれました。
ばあ!アハハかわいいなあ。
武お前に似てるぞ。
やっぱり?
(笑い声)今晩豪勢にお刺身にしましょ。
武魚とか貝が好きだから。
あとで買い物に行って見てくるわね。
あ…生魚だと母乳が生臭くなるって妊娠中通ってた病院で言ってなかったっけ?ねえ武。
(武)え?なに気にしすぎよ!もうフフフフ。
あ…はい。
ほらほらほらさっさとやるやるほらこれもね。
もうね病気じゃないんだから。
さっさとこういうのはやらなくちゃね。
はい…。
そういえば…お母さんが風邪を。
(康)お〜おいしそうだな。
(和子)武の大好物!
(武)ありがとう。
志織さん。
武昔から手のかからない子でね小さい時からほんとにおとなしかったのよ。
(光の泣き声)
(和子)あら…光くんはよく泣くねぇ。
これは一体誰に似たのかしら。
(光の泣き声)
(せきこみ)お母さん大丈夫?うん大丈夫大丈夫。
(志織)
お母さんには風邪の間は光に近寄らないように気を付けてもらっていました
あれ?うんちの量ってこんなんでよかったんだっけ…。
志織さん何でも機械に頼ってちゃ駄目よ。
母親の勘はコンピューターには載ってないでしょ。
そういうのが一番大事なのよ。
あ…はい。
お母さんが面倒を見てくれるようになったのは風邪が治ってからです
(光の泣き声)志織!光泣いてるよ〜。
(和子)ああ私が行くわよ。
(武)ごめんありがとう。
うん。
はい光ちゃんどうしたの?あ〜よちよち…お〜よちよち。
あ〜いいこいいこ。
いいこいいこね。
光ちゃんはいいこだね〜。
そうですか。
治療方針を決めるために…先生…光は大丈夫なんでしょうか?
(ノック)
(和子)失礼します。
母さん。
あっ武!志織さん!いやだ…光大丈夫なの!?ねえ!ちょっと!さあ疑わしい人がね数々出てきましたけれども。
(玉ちゃん)あの義理のおふくろじゃないかなやっぱり。
完全に証拠が挙がったような気もしますが。
呼んでねえのに病院来やがってね。
さあ研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい!
(玉ちゃん)どうでしょうかね平さん今のV見て。
(平)やっぱ和子さんが犯人でしょうね。
「犯人」って言いましたね。
(玉ちゃん)義母和子がね。
さあ研修医の皆さんが病名を書き終えたようです。
フリップオープン!
(玉ちゃん)さあ猪谷先生。
(玉ちゃん)井本先生。
(玉ちゃん)近藤先生。
(玉ちゃん)3人そろいましたねこれは。
はい。
しかも自信ありと。
さあそれでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!皆さん同じ診断名ウイルス性髄膜炎を挙げてもらいましたけども先ほど猪谷先生考えてくれた腎盂腎炎。
髄膜炎も含めた細菌の感染症というのどうですか?血液検査で白血球の値が上昇していなかったという事で細菌の感染症の可能性は低いのかなというふうに考えます。
実際ですね培養の検査を出しました。
48時間の時点で全て陰性です。
ウイルス性髄膜炎を挙げてもらいましたけども特にウイルスの中でもどのウイルスを想定してその診断を書かれましたか?どのようなところからそれを考えましたかね?猪谷先生どうですか?おばあちゃんが唇をスリスリしていたのでそこから感染した可能性があるのではないかなと考えました。
VTRの中で新しい薬を入れるって言ってましたね。
点滴に新しい薬を加えましょう。
あれは何が…?アシクロビルは抗ウイルス薬で…。
ヘルペスウイルスに対して。
そうですね。
それではこの時点で始めた抗菌薬はやめてよさそうですか?そうだね。
もし仮にやめた場合にどんなリスクが挙がってきますかね?細菌性の髄膜炎であった場合は症状がまた再燃してきて今度は薬が効きづらくなってしまうという事が考えられる。
後遺症を残したり命を落としたりする可能性が出てくると。
感染したあと…この検査結果を受けて抗菌薬をやめると再び細菌が増殖し悪化します。
検査の結果では…しかし完全に否定できない以上抗菌薬をやめるわけにはいかない。
早く診断をつけなければこのまま光くんに抗菌薬を投与し続ける事になってしまう。
しかも光くんにはヘルペスの薬アシクロビルも入っている。
何かもし…ヘルペスウイルスですけどもこれはどうしたらいいですか?何を見たいですか?ヘルペスの脳炎であれば…耳の上の部分のここに炎症が起こるというのがこれがヘルペスの特徴的な所見になるんですね。
ヘルペスウイルスが脳に達すると多くはMRI画像で確認できます。
右に比べて左の側頭葉が白く映っています。
ウイルスによって炎症が起きむくんでいるためです。
それでは頭部のMRIをここで見てみたいと思います。
側頭葉に病変は見つかるか?
(玉ちゃん)うん出ましたね。
変?分からん?
(井本)やばい。
もしかするとかもしれない。
(井本)でも確かに。
(猪谷)こっちの方が…。
どの辺りですか?
(猪谷)側頭葉。
こっち側が?
(猪谷)ここ…この辺か。
実質はどうですか?脳の実質よく見て。
境界は明瞭なんですけど…。
はっきりとした…ヘルペスの診断はつけられるのか?わからない。
(玉ちゃん)えっ?診断するためにどうしたらいいですか?これもやりました。
脳波は正常でした。
(玉ちゃん)正常。
正常。
あとどうですか?もう一つ。
髄液のPCRを。
先ほど出てきたウイルスの遺伝子を見つける検査ですね。
それをやってみると。
PCRの検査も出しました。
これも陰性でした。
陰性。
(玉ちゃん)え〜?この時点で…どうでしょう?
(玉ちゃん)さあ…。
抗ウイルス薬どうですか?やめれますか?猪谷先生どうでしょう?やはり抗菌薬と同じでPCRが陰性だからといって100%ヘルペスの髄膜炎が否定されるとは限らないので続けていくべきだと考えます。
なるほど。
この検査は特に…発症直後だとMRIや脳波に異常が見られずPCR検査でも陰性となる事もあるという。
抗菌薬もやめれなくてそれから抗ウイルス薬もやめれなくてなんかこのままズルズルズルッといきそうですけどこのあと一体どうしたらいいですかね?他に何かしたい検査ありますか?もう一回…僕ももう一度細菌性を疑って検査するべきかなと思います。
研修医たちはもう一度血液培養検査に出したいと言う。
しかし結果が出るまで2日かかる。
それまでは…ところがドクターGはこの時点で薬をやめる方法があったと言う。
例えば他のウイルスの診断がつくと抗菌薬とかアシクロビル抗ウイルス薬はやめれますか?やめてもいいかなと思います。
なるほどね。
猪谷先生どうですか?例えば他のウイルスによる髄膜炎。
井本先生。
新生児が感染するウイルスは数多くあります。
しかし高熱を発し髄膜炎を引き起こすウイルスはほとんどがエンテロウイルスです。
もう一回聞きますけどもし例えばエンテロウイルスの診断がついた場合に抗菌薬それから抗ウイルス薬どうです?やめれそうですか?やめれると思います。
先ほど新しい検査を追加したというところがあったんですが……を出していました。
PCRの検査に出しますね。
実はこの時ドクターGは…エンテロウイルスと分かっても特別な治療があるわけではない。
しかし…2回目のヘルペスの検査が陰性になってそこで更にまたそこから新しいウイルスの原因を探るのではなくて時間的なロスを省略できるという事があると思います。
そのPCRの結果をご覧下さい。
このウイルスが検出されました。
それではですね最終鑑別を全員でお願いしたいと思います。
(3人)エンテロウイルス髄膜炎。
正解です。
(拍手)最後に証拠が出ましたね。
出たよ!これだったんだね。
この診断がつく事によって抗菌薬をやめる事ができました。
それから抗ウイルス薬もやめる事ができました。
よかったよ〜。
ドクターGの適切な判断で薬をやめる事ができた光くん。
入院3日で熱も下がり…赤ちゃんの熱というのは病状が刻一刻変化して時間単位で変わる事があってできるだけ前もって予想しながらですね必要な検査と治療をやっていかなきゃいけない。
それをしっかりする事によって発達成長して大人になる。
その過程を助ける。
まさにそれが我々小児科医の役割であってそれが最終的に…訴えられない子どもっていう事でしっかり僕たちが診て検査して治療していく事が重要なんだなっていうふうに感じました。
(近藤)小児科診る上でその後の人生を楽しんで頂けるような医療をしていきたいと思います。
(井本)やっぱり医学の中では治療する事のリスク常に考えて診療する事が大事だなというふうに学びました。
やっぱり子どもかわいくても無防備に「あ〜かわいい!」とかやっちゃ…。
なんか近づけなくなりますよね。
(平)マスクしたり手洗ったり。
私ねVTRを姑目線で見ちゃったんですけど「何あんたスマホ見てんの」とか。
それでかえって混乱しますよねいろんな情報があると。
だからやっぱお医者様に行った方がいいと思いますね。
さあ齋藤先生ありがとうございました。
研修医の皆さんもお疲れさまでした。
さて次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるんでしょうか。
さよなら!どうも。
(拍手)2015/11/26(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「赤ちゃんが高熱を出した」[字][デ]

病名推理エンターテインメント番組「総合診療医ドクターG」。ドクターGの難解な症例に研修医が挑み、患者の病名を探り当てる。今回の患者は、生まれたばかりの赤ちゃん!

詳細情報
番組内容
生後20日の内田光くん(仮名)が、突然高熱を出して泣きだした。母乳もあまり飲まない。通常、新生児は、生まれてから数か月は熱を出さないはず。これは、一瞬の治療の遅れが文字通り命取りとなる緊急事態だ。一命をとり止めても重い後遺症が残るかもしれない。研修医たちは、自分で症状を説明できない光くんの病名を、いかに突き止め、命を救うのか?そして、後遺症のリスクを最小限に抑えるためにドクターGがとった選択とは?
出演者
【出演】新潟大学医歯学総合病院医師…齋藤昭彦,【ゲスト】岩井志麻子,平岳大,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

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