今年京都・園に1軒の店がオープンしました
まるでお茶屋のようですが実はフレンチレストラン
オーナーシェフはフランスの名店を渡り歩いた実力派で世界各国からの誘いを断り京都で独立しました
京都の多彩な食材を使い新しいそして独自の味を追求しています
さらには新鮮な魚介の宝庫・奄美大島へ
華麗で独創的な料理はいかにして生み出されるのか?
今回は世界のどこにもない一皿に挑む料理人の夢のカタチ
世界中から観光客が訪れる京都・園
四条通から細い路地へ
風情ある町並みに一流店がひしめく一角にあるこちらのお店
看板はなくのれんには名前のみ
お茶屋と見まごうようなたたずまいですが格子戸を開けると雰囲気は一変
陽光がさし込み明るくモダンでリラックス感のある店内
ここは食通の間でウワサのフレンチレストランです
オーナーシェフは山地陽介さん
フランスで11年間腕を磨いた後帰国
この店を開きました
これから作るのはヤリイカを使った一品
炒めたヤリイカを皿に並べて温泉たまごを載せます
そしてベーコンと生クリームのソース
パルメザンチーズをかけて完成
ヤリイカをパスタに見立てたカルボナーラ
ソースにはバジルとレモンの皮を煮たものが潜んでいます
ヤリイカの食感とカルボナーラの濃厚なソース
そしてレモンの爽やかな酸味が新鮮です
続いては魚料理
根セロリのソースにカボチャのソース
さらに小松菜のピュレ
載せるのはたらの白子
衣を付けて油で揚げます
しかしこれフレンチのフリットではありません
フレンチの技法だけだとやっぱりどうしても限界があるのでそれよりも和食の技法のほうがよければ和食の技法も使いますしほかの国の技法のほうがよければそこのようにします
彩りも美しい華麗な一皿が完成しました
白子の上に載せたのはフォアグラと海苔の佃煮を合わせたソースです
メインは熟成肉
希少な部位・カイノミを使い添えられたパスタも自家製です
フレンチにこだわらずさまざまな技法を駆使
和の器も使っています
付け合わせ1つ1つまで手が込んだ全5皿のランチコースは5,000円
ディナーは10,000円〜
この店ではどの料理も名前は付けられていません
定番メニューもあえて作るつもりはないといいます
コース料理は週替わりでも月替わりでもなくほぼ日替わり
一見昨日と同じようでもソースを変えたり食材を変えたり日々変化しています
一緒のテーブルで盛りつけされてるっていうこともまず斬新ですし際立っておいしかったような気がしますたぶん日本ではあんまり見たことなかったりとかおいしいおいしいです
リクエストがないかぎり同じお客さんに同じ料理は出さないといいます
(山地)メニュー日々変わっているので今日作ってそれがその日の100%であればもういいと思っていてインスピレーション得てほんとにその時の感性を素材と向き合ってバッと出していくっていう
山地さんは埼玉県出身
東京の調理師学校を卒業後ホテルで4年間働いた後フランスへ
名門・ポールボキューズ学院で学びフランスの名店を渡り歩きました
言葉が分からない技術も全く日本と違う自分本人でなんとかするしかない状態だったので非常に厳しかったですし差別も受けましたしこれ以上ないもうないだろうぐらい受けましたけどもただひたすらハングリー精神で1つ1つ結果を残していくしかなかったです
1人になりがちな青年を支えたのが世界35カ国から集まった同級生たち
今も掛けがえのない宝物です
ほぼ完全な全寮制ですので35ヵ国の友人が同じ寮で24時間生活してそれぞれの国の料理を仲間が誇らしげにお互い作り合いっこして私の作るその国のスペシャリテがどういうふうにその国の人に映っているのかっていうのを確認してそれが今の私の料理のベースでストックで引き出しで私の料理そのものであると思います
その後フランスを代表する巨匠たちのもとで修業
名だたる店の総料理長や副料理長を歴任しフランスの美食家を魅了しました
そしてドバイやニューヨークからの熱烈なオファーを断り選んだのが京都でした
京都はわび・さびの世界で落ち着いていてぜいの極みを尽くしたものが今でも残っているのでそういう昔の空間の中で身を置くっていうことは自然に頭の中の感性がずーっと新しく練られ続けることになるのでそういうところがやっぱりこの町に来た意味で一番のポイントです
そして2015年6月山地陽介をオープン
右も左も分からない初めての町で腕一本での挑戦です
オープン前に門をたたいたのが現在肉を仕入れているこちらのお店
創業30余年熟成肉の元祖として全国に知られる中勢以
山地さんはここで研修させてほしいとお願いしました
フランスでの11年間和牛を触ることがなかったため一から勉強したいと考えたのです
(加藤)フランスから日本に来た時にうちで研修させてくださいっていうことだったのでいやいや研修って言われても基本的な雑用…肉屋さんの雑用をやってもらうことが肉屋さんのお肉を扱うほんとのことなのでそれやってもらってもいいですかっていうことで話をしたらそういうこともやらしてもらいたいと日本の料理人さんであっても…そこまで来てくださる方っていうのはやはりごく一部
山地さんの食材に対する探究心と料理への情熱は尽きることがありません
そんなシェフをスタッフはどう見ているんでしょうか?
支配人兼ソムリエを務める前川さんは園の有名な和食店を経て移ってきました
フランスにいて修羅場というか色んな環境のもとはい上がってきた方ですので来る時に一皿一皿そうですけれどもひとつ
その日のメニューは朝の仕入れで決まります
この日は錦市場へ
おはようございまーす
まずは魚屋さん
今から…こんな5kgとか6kgとかもう…おいしくなってお客さんにリーズナブルに出すんやったら2月ぐらい
(西川)手間ですけど骨抜いて…骨抜きますへぇ〜
食材を前にすると好奇心が抑えられないそうです
(西川)おっしゃるとおりです今までもずーっとやってきたことなんでおはようございまーす
続いては野菜の仕入れ
ここでもご主人に質問攻め
京都に来て初めて触った京野菜
山地さんにはまだまだ未知の分野です
あのね今日ぐらいから聖護院だいこんすごいやわらかく炊き上がる…で甘みも普通の大根よりだいぶ甘いです
山地さんが京野菜をどう料理するのか
食材のプロたちも楽しみなんだとか
京都の料理人さんができひん僕らから見たら新しい料理知らない料理を京野菜でやってもらえるんちゃうかなとすごいワクワク感があります海外にいた山地ができるの?っていうお客さまのあれもあるっていうのももちろん分かってますしそれがうまくいけばこんなタッチもあるんだになりますけどほんと緊張感がありますこの辺を使うっていうのは…
基本その日仕入れた食材はその日のうちに使い切るといいます
早速試作
先ほどの聖護院だいこんはどんな料理になるんでしょうか?
まずはひまわり油で炒めます
そして水を加えました
(山地)これを煮て何回も何回も煮こぼしてミキサーにかけて一切こさないです
しっかり煮たところでミキサーにかけます
聖護院だいこんはソースになりました
ソースの上にはシラサエビ
カメラが追いつけないスピードでどんどん作業が進んでいきます
いつの間にか作っていたのは千枚漬け
店で聖護院だいこんを手にしてから1時間美しく意外な一皿が完成
山地さんは食材が持つ背景も皿の上に載せたいといいます
この日山地さんが訪ねたのはチーズの専門店
店で扱うチーズの仕入れ先です
おはようございまーすいらっしゃいませおはようございますこのあれでどれぐらいですか?
こちらでは主にフランスのMOF認定のチーズ職人が作るチーズを扱っています
MOFとはフランス国家最優秀職人章
日本の人間国宝にあたります
その1人エティエンヌ・ボワシーさんは山地さんの恩師でもあります
(山地)エティエンヌ・ボワシーさんは私の恩師ですしポールボキューズ学院の先生としてサービスを教わってワインを教わってチーズを教わっていたので彼がどういう考えをするのかも分かってますしどれぐらいの情熱をチーズにかけてるのかも分かってるので日本でチーズを扱う私としてはほんとにありがたいんです
今回この店の招待でエティエンヌさんが来日
セミナーが開催されるということで忙しいスケジュールの合間を縫って店を訪ねてくれることになりました
山地さんいつになくソワソワ
そろそろ先生がやって来る時間です
(フランス語)
(フランス語)
(フランス語)
(フランス語)
8年ぶりの再会
山地さん恩師にずっと伝えたかったことがあるそうです
山地さんは一体どんな生徒だったんでしょう?
先生に聞いてみました
旧知の人に会えて心からリラックスしたという山地さん
(フランス語)
(フランス語)
忘れられない1日になりました
休日のこの日は奄美大島へ
奄美大島は支配人の前川さんのふるさと
奄美大島初めてですよ〜別世界ですねこれはすいませんね
空港で出迎えてくれたのは前川さんのお父さんです
鹿児島と沖縄の間に浮かぶ亜熱帯の島・奄美大島
美しい海は新鮮かつ珍しい魚介の宝庫
実は前川さんのお父さんが営んでいるのは鮮魚店
ようこそこんにちは〜
店内には山地さんがこれまで見たことがない魚介がズラリ
尻尾押さえとったほうがいい押さえられない
(隆則)幻のエビっていわれてますね奄美には結構いますけど
どれも初めて触るものばかりです
結構っていうかもう全部珍しい
見たことのない色や姿形
数ある中からお父さんのオススメを見せてもらいます
これがセンネンダイ…これ
味はタイに似ていますが食感がよりしっとりとしていておいしい白身の魚です
あっこれが…・釣る時はもっと茶色い色して・
(山地)茶色いんですかこれ・あげるとこういう真っ赤になるんですよね・
スジアラは沖縄サミットの晩餐会でもふるまわれたという高級魚
いろいろ試食させてもらうことに
シマイセエビこちらはヤコウガイ
(隆則)たぶんあれよりやわらかいと思うほっといたら全部食べちゃう
食材の産地を訪ねて生産者の思いも伝えたいという山地さん
やっぱり実際見てみないとこうやって使ってみたいっていうのがいろいろイメージできるんで
この経験が料理に生かされます
そして数日後
奄美から魚が届きました
センネンダイにスジアラ
さてこの食材をどう料理するんでしょうか?
(山地)奄美の空港降りた時の野生の木がそのまま生えていてっていうそういう空間をお皿の中に作っていこうと
分厚く切ったスジアラに切れ目を入れ塩・こしょう・レモンの皮煮・バジルそしてミモレットチーズを挟みました
それをラップで包んで湯煎に
付け合わせは芽キャベツにアボカドのピュレ
そして毛ガニです
何を入れよう?何を…
珍しく考え込んだ山地さん
(山地)マッシュルームと玉ねぎを炒めて炒めて1時間
これをお皿の上に敷きました
そして湯煎していたスジアラを取り出してカット
これはパン粉とバター・パセリ・ニンニクを練って薄いプレート状にしたもの
型で抜いて先ほどのカットしたスジアラにトッピング
皿の上に描く奄美の風景
その全容は山地さんの頭の中
さて一体どんな一皿が完成するのでしょう?
試作から数日後の夜
山地さんにとって大切なお客さんがやって来ました
細見さんはパリにいた頃から山地さんの大ファン
京都で独立することも応援してくれた人だそうです
奄美でインスピレーションを得た料理を食べてもらいたいと思っていました
果たしてどんな一皿になったんでしょうか?
細見さんも興味津々のようです
タマネギとパン粉・マッシュルームを1時間かけて炒めた黒い大地に島ニンジンで表現した野生の植物
皿の海に浮かぶ奄美大島
散りばめたピンクは食べられる花
奄美で何度も目にしたハイビスカスをイメージ
クリーム色はシャンパンのソース
砂浜を表現しています
奄美の食材を使って奄美を描いた一皿が完成しました
メルシー
(フランス語)奄美大島をイメージしましてかなり野性的な場所だったのでおいしい
急遽もう一品作ることにしました
奄美のセンネンダイをあぶって皿に並べます
どうやらカルボナーラ仕立てにするようです
温泉卵を載せてクリームソースにはベーコンではなく生ハムを使いました
仕上げにおろしたてのパルメザンチーズをたっぷりかけて完成です
奄美大島で買って参りましたセンネンダイというタイでこれを食べると1000年生きられると奄美大島では言われてるみたいでお魚と思えない奄美大島というイメージがすごいなと思いましたすごくおいしかったです
見事奄美の風景を皿の上に描ききりました
料理人・山地陽介の夢のツヅキは?
この先もほんとにここの場所以外では考えてないですし京都にはほんまもんかそうじゃないかっていうことをジャッジする人がいてそれは流行か流行じゃないかではなくてパリやニューヨークやシンガポールとか大都市ではなかなかその流行の中で消されてしまう部分なのでここの場所でずーっとやっていこうと思ってますはい
京都・園のレストラン山地陽介
どんな料理が出てくるかはその日その日のお楽しみ
訪れるたびに新しい発見があります
2015/11/28(土) 11:00〜11:30
ABCテレビ1
LIFE〜夢のカタチ〜[字]/「華麗な経歴!祇園の天才シェフ密着」語り佐々木蔵之介
人生はいろんな夢でできている…夢追う人の輝く瞬間を描きます。今回は「華麗な経歴!祇園の天才シェフに密着▽新感覚フランス料理に仰天!」です。
詳細情報
◇番組内容
京都・祇園で開店したばかりなのに大人気となっているフレンチレストラン「山地陽介」。オーナーシェフの山地陽介さんは本場パリの名だたる名店で修行し、その名を馳せた凄腕の料理人。ニューヨークやドバイからの誘いを断って京都に店を構えた山地さんのこだわりと新メニューへの挑戦を追います。
◇ナレーション
佐々木蔵之介
◇おしらせ
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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