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労働力推計 15年後に800万人近く減少も
11月24日 17時25分

労働力推計 15年後に800万人近く減少も
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将来の労働力について、厚生労働省が初めて都道府県別、産業別に推計を行い、経済成長率が低い場合は15年後の2030年に働く人が800万人近く減るという結果を公表しました。秋田県や青森県、高知県など8つの県では20%以上減少し、働き手が足りなくなる事態が心配される内容になっています。
これは、厚生労働省の雇用政策研究会が将来の人口推計を基に経済成長率などを仮定して、労働力人口や就業者の数などを都道府県別、産業別に初めて推計したもので、24日公表されました。
このうち、経済成長率がほぼゼロで高齢者や女性の労働参加が進まない場合は、すべての都道府県で人口の減少を上回るペースで働く人が減り、15年後の2030年には就業者数は5561万人と、去年の平均値の6351万人から790万人、率にして12%減少すると推計されています。
都道府県別では、秋田がおよそ27%と減少率が最も高く、次いで青森の24%余り、高知がおよそ22%などとなっています。働く人が20%以上減る県は、このほか長崎や和歌山など合わせて8つの県に上り、働き手が足りなくなる事態が心配される内容となっています。
産業別では、高齢化が進む影響で医療・福祉の就業者が全国で163万人増える一方、卸・小売業で253万人、製造業で130万人減ると推計されています。
一方、経済成長率が2%程度で推移したうえで高齢者や女性の雇用を積極的に進めるなどの対策を取った場合、15年後の就業者数は182万人の減少にとどまり、東京や愛知、沖縄など5つの都県では増加するとされています。
厚生労働省は今回の結果を報告書に取りまとめ、高齢者や女性の就労支援など今後の政策に生かしたいとしています。

高齢者や女性の労働参加が鍵

働く人の減少をどう食い止めるのか、厚生労働省の推計からは経済の安定した成長に加えて、高齢者や女性の労働参加が鍵を握っていることが分かります。
就業者の減少が最小限にとどまるケースでは、60代後半の男性の就業率は2030年には今の50.5%から15ポイント以上も上がって65.7%に上るとされています。その結果、65歳以上の男性の就業者は88万人増えて502万人となります。
また、このケースでは女性の就業者は13万人増加して2742万人になると推計されています。なかでも出産や育児のために今は就業率が68%にとどまっている30代前半の女性は2030年におよそ82%が働いているとされています。
厚生労働省は、高齢者を雇用する企業への支援の充実や、保育所を整備して待機児童を解消するなど、高齢者や女性の就労支援を進めることにしています。

雇用問題に詳しい日本総合研究所の山田久調査部長は、「人口の減少よりも働く人の減少が早いペースで進めば、経済活動を支える担い手がいなくなり、特に地方では生活に必要なサービスが受けられなくなるおそれが出てくる」と指摘します。そのうえで、「比較的余裕のある大都市から人口の少ない地方に移り住んでもらって労働力を確保するほか、女性や高齢者が働きやすい環境を作ることで働く人を増やす対策が急がれる。また、バスやタクシーの運転手が荷物の配送も行うなど、従来の発想を超えて作業効率を上げていくことが求められる」と話しています。

都道府県別 就業者数推計データ

経済成長率がほぼゼロで、高齢者や女性の労働参加が進まないケースでは、2030年に就業者は790万人減ると推計されています。
その都道府県ごとの内訳です。

単位は万人、△はプラス、▲はマイナス。()は増減率。

北海道▲50.6(19.92%) 青森県▲15.8(24.33%)
岩手県▲13.5(21.03%) 宮城県▲13.6(11.95%)
秋田県▲13.7(27.13%) 山形県▲12.2(21.49%) 
福島県▲17.9(18.41%) 茨城県▲20.0(13.67%)
栃木県▲14.4(14.10%) 群馬県▲13.4(13.41%)
埼玉県▲41.9(11.31%) 千葉県▲40.5(12.92%)
東京都▲35.1(4.84%)  神奈川県▲36.2(7.79%)
新潟県▲20.8(17.93%) 富山県▲8.7(16.00%)
石川県▲7.2(12.16%)  福井県▲6.3(15.46%)
山梨県▲7.0(16.18%)  長野県▲17.0(15.57%)
岐阜県▲14.8(14.34%) 静岡県▲28.8(15.05%)
愛知県▲19.8(5.10%)  三重県▲11.9(12.93%)
滋賀県▲4.9(7.06%)   京都府▲15.3(11.89%)
大阪府▲48.9(11.56%) 兵庫県▲32.5(12.46%)
奈良県▲10.8(17.33%) 和歌山県▲9.3(20.21%)
鳥取県▲5.4(19.01%)  島根県▲6.9(20.13%)
岡山県▲10.2(11.08%) 広島県▲16.8(12.08%)
山ロ県▲12.2(18.44%) 徳島県▲7.0(19.48%)
香川県▲7.5(15.79%)  愛媛県▲11.6(17.72%)
高知県▲7.8(21.82%)  福岡県▲30.3(12.43%)
佐賀県▲6.6(16.19%)  長崎県▲13.6(20.93%)
熊本県▲13.1(15.13%) 大分県▲8.4(14.84%)
宮崎県▲9.3(17.14%)  鹿児島県▲15.1(19.01%)
沖縄県▲4.0(6.24%)


一方、経済成長率が2%程度で推移し、高齢者や女性の労働参加が進むケースでは、就業者の減少は182万人にとどまるとしています。

北海道▲25.9(10.2%)  青森県▲9.9(15.3%)
岩手県▲8.1(12.7%)   宮城県▲3.0(2.6%)
秋田県▲9.7(19.2%)   山形県▲7.7(13.5%)
福島県▲9.4(9.7%)    茨城県▲6.1(4.2%)
栃木県▲5.1(4.9%)    群馬県▲4.4(4.4%)
埼玉県▲5.4(1.5%)    千葉県▲9.5(3.0%)
東京都△34.4(+4.7%)  神奈川県△11.8(+2.5%)
新潟県▲11.5(9.9%)   富山県▲4.6(8.4%)
石川県▲2.3(4.0%)    福井県▲3.3(8.0%)
山梨県▲3.2(7.3%)    長野県▲7.7(7.1%)
岐阜県▲5.7(5.5%)    静岡県▲11.6(6.1%)
愛知県△17.3(+4.5%)  三重県▲3.7(4.0%)
滋賀県△2.2(+3.2%)   京都府▲2.4(1.9%)
大阪府▲4.8(1.1%)    兵庫県▲5.3(2.0%)
奈良県▲4.1(6.7%)    和歌山県▲5.0(10.8%)
鳥取県▲2.9(10.3%)   島根県▲4.1(12.1%)
岡山県▲1.4(1.6%)    広島県▲3.6(2.6%)
山口県▲6.2(9.4%)    徳島県▲3.6(9.9%)
香川県▲3.0(6.4%)    愛媛県▲5.3(8.1%)
高知県▲4.6(12.8%)   福岡県▲5.4(2.2%)
佐賀県▲2.8(6.8%)    長崎県▲7.6(11.7%)
熊本県▲5.0(5.8%)    大分県▲3.1(5.6%)
宮崎県▲4.3(8.0%)    鹿児島県▲7.4(9.3%)
沖縄県△3.5(+5.5%)

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