パリから列車に乗って5時間。
フランスの外れ「地の果て」と呼ばれる場所へ。
現れたのは深い森そして荒涼とした大地。
どこか謎めいた風景が続くブルターニュです。
ここが今回の舞台。
いにしえからの伝統を守り続けている人々。
妖精や魔界の怪物たちを身近に感じる暮らしが残されています。
ブルターニュの地で大きな飛躍を遂げたのが…代表作「黄色いキリスト」。
不思議が満載。
はりつけのキリスト像がのどかな田園地帯に置かれています。
周りには地元の農婦たち。
一体何を物語っているのでしょうか。
ゴーギャンの影響を受けた画家たちも謎に満ちた絵を残しています。
ゴーギャンたちはブルターニュでどんな美を見つけたのでしょうか。
こううわっと指が出てきたその指みたいでしょ。
地面から出てきて我々をつかもうとしてるとか。
謎を解く旅に出たのは芥川賞作家の小野正嗣さん。
「土地の持つ力」をテーマに小説を書き続けています。
小野さんはブルターニュで次々と驚きの場面に遭遇します。
(物音)何だ何だ?っていうような感じで…
(笑い声)摩訶不思議なブルターニュ。
ゴーギャンたちの傑作誕生の物語です。
「日曜美術館」です。
今日はポール・ゴーギャンの画家としての出発点となる傑作を見ていきます。
ゴーギャンといえばやはりタヒチで描いた南国の色彩豊かな作品群が…まあ連想するんですけれどそこに至るまでの転換期というのがフランスのブルターニュにあったというのを僕は知りませんでした。
そのブルターニュという土地がゴーギャンにさまざまな刺激を与えて傑作を生み出させたんです。
フランス北西部ブルターニュ地方。
静かで美しい村ポン=タヴァンです。
19世紀末にゴーギャンが暮らした村として有名になりました。
作家小野正嗣さんの旅はここから始まります。
空の色が美しいですよね。
光が。
20代の頃フランスに8年留学していた小野さん。
ブルターニュを本格的に旅するのは初めてです。
柳の木があったりとかして。
なかなか風情がありますよね水辺の石造りの家がある…。
こういう光の下でゴーギャンたちは作品を描いていたのかなというような事を思います。
小野さんはこうした辺境の地には想像力を刺激する不思議な力があると考えています。
芥川賞を受賞した「九年前の祈り」をはじめ多くの作品の舞台となったのがふるさと大分の小さな漁村です。
その土地だけが持つ力とは何か?その問いを抱き続けながら小説を書いているといいます。
小説を書くって事はその土地が持っている言葉にできないものを何とかして言葉にしようとする試みだと思うんですよ。
そしたらやっぱり絵描きにとっても自分が感じたその…僕らだったら言葉にできないものだけど絵にできないようなものそれこそ絵として表現できないような得体の知れないものをそれでもなお絵にするんだという事なんだと思うんですよね画家が土地の力を受け取ってそこから描くっていう事は。
おっあそこが旅籠屋。
グロアネクですね。
ゴーギャンが宿にしていたとこですよね。
1886年ゴーギャンが滞在した宿です。
当時この村には都会から離れて暮らそうとする芸術家たちが集まり始めていました。
その3年前までパリで株式の仲買人をしていたゴーギャンは株の大暴落で失業。
趣味で描いていた絵の道で生きようとブルターニュにやって来ました。
本格的に画家としての第一歩を踏み出した場所でした。
そんなゴーギャンがポン=タヴァンで生み出した傑作「説教の後の幻影」。
真っ赤な大地。
手前は白い頭巾をかぶった女性たちの祈りの場面です。
その視線の先では天使が格闘をしています。
現実にはありえない光景です。
幻想と現実が一枚の絵の中に表されています。
なぜゴーギャンはこうした不思議な絵を描いたのか?手がかりを求めてまずは現実の世界白い頭巾の女性たちを探ります。
ゴーギャンはポン=タヴァンで白い頭巾の女性を度々絵にしました。
この頭巾は何の象徴なのか?女性は果たしてどんな人たちなのか?小野さんの謎解きが始まりました。
白い頭巾はコアフ。
ブルターニュ独特の伝統衣装でした。
ゴーギャンの時代のポン=タヴァンです。
コアフをかぶるのはケルトの文化を守った女性たちでした。
渦巻き模様など独自の文化を誇ったケルト。
古代ヨーロッパに広く分布した人たちでした。
フランスにはブルターニュ地方にケルトの文化が色濃く残っています。
ゴーギャンがコアフの女性たちに興味を持ったのは当時の流行を乗り越えたかったからです。
このころパリで注目されていたのは印象派。
これはしゃれたカフェで楽しむ男女を描いたルノワールの傑作。
都市の輝きを移ろいゆく光の中で表した印象派に対してゴーギャンは新しい表現を模索していました。
そんなゴーギャンの目に飛び込んできたのが不思議な雰囲気を醸すブルターニュの女性たちでした。
ゴーギャンが興味を持ったコアフは女性たちにとってどのようなものだったのか聞きに行きました。
ボンジュール。
ボンジュール!ブルターニュでは350種類もの多彩なコアフが作られました。
女性たちがいかに愛していたかが分かります。
この地域では毎年伝統衣装が似合う女性を選びます。
2015年代表。
渦巻き模様などが刺しゅうされた華やかな衣装と高さのあるコアフは70年前の結婚式のものだそうです。
(笑い声)女性たちにとってコアフはブルターニュの誇りそのものでした。
今も伝統行事に受け継がれています。
その姿が見られるのが夏。
(歌声)パルドン祭です。
女性たちはコアフをつけた伝統衣装を着て一年の無事を感謝し祈りをささげます。
(歌声)当時ゴーギャンもパルドン祭を見てあの絵を描きました。
ゴーギャンは絵の中でコアフを強調してその土地で育まれた誇りのすばらしさを表そうとしたのかもしれません。
(小野)こういう格好をした女性たちが大量に神に対して祈りをささげてるそういう光景を目の当たりにした時の衝撃っていうのはとても大きかったと思うんですね。
その圧倒的な非日常感っていうんですかね異質なものに触れたっていう感動とか心の震えみたいなものを抱えたままですね描いた。
ではなぜゴーギャンは現実には見えない幻影まで描こうとしたのでしょうか。
その謎を解く鍵は現実と幻影の間に横たわる太い木にあるのではないか。
小野さんはブルターニュの森へ向かいました。
ポン=タヴァンから車で1時間。
目指したのは「あの世への扉」という名を持つ森です。
花崗岩の大地を覆う森。
ブルターニュでは森は精霊が宿る神聖な場所とされてきました。
森には何があるのか?ケルトの文化に詳しいセシル・カイヨさんと進みます。
(小野)朝霧に覆われてましてそういう霧の中から森の姿がぬ〜っと現れてくるっていう非常に幻想的な感じで。
なかなか森の中に入っていくのにさい先がいいかなっていう感じがします。
(物音)何だ何だ?っていうような感じでたくさん物が落ちてきて。
これはひょっとして森の精に歓迎されているのかそれとも森の精が「お前なんか来るな出ていけ」というふうに警告を発しているのか…。
(笑い声)ブルターニュの森に満ちている神秘的な気配。
それを捉えた画家がいます。
ゴーギャンの影響を強く受けたジョルジュ・ラコンブの「赤い土の森」。
ゴーギャンの赤をほうふつとさせる大地。
森の間を漂うのは謎の金色の帯。
妖精か死者の魂か…。
ポール・セリュジエの呪文。
セリュジエはブルターニュで新しい絵を描くゴーギャンの評判を聞きつけこの地を訪ねました。
ゴーギャンから直接絵の教えを受けています。
岩の上にともした聖火の前で儀式を行う3人の女性。
死んだ者への再生の祈りなのか?森の精霊との対話か?全てが謎めいています。
この泉には不思議な力があると信じられてきました。
心を病んだ人たちに飲ませたり雨乞いの祈りに用いたりしてきました。
(笑い声)
(小野)森の奥底には何があるのか分からないっていうね。
森っていうのは人々の想像力をすごいかきたてて見えない存在が確かにここにあるぞと。
それが何かを語りかけているんじゃないかという…。
そうですね語りかけられてるという感じがしますよね。
森の中に息づく不思議な時間がある。
そういうものが画家たちに作品を描かせたとインスピレーションを与えたんじゃないかと思います。
森に行くと目には見えないものの気配を強く感じる。
ゴーギャンはブルターニュでその事を発見したに違いありません。
この絵はブルターニュと出会わなければ生まれなかった傑作でした。
さあ今日のゲストはお二人です。
実際に旅をして頂いた作家の小野正嗣さんそしてフランスの近代美術にお詳しい小泉順也さんです。
(一同)よろしくお願いします。
いや〜小野さん羨ましい楽しそうな…。
(小野)羨ましいでしょ。
見えないものとたくさんお会いになってましたね。
そうなんですよ。
僕とても感動したのは土地が美しいっていう事もあるんですけどやっぱり住んでる人たちの魅力ですね。
いろんな人が出てきたでしょ?すてきなおばあちゃまだとか。
そういう人たちとの会話を通じてその人たちの言葉を通してその土地の姿が浮かび上がってくる。
土地が受け入れてくれたのかそれともその人たちが受け入れてくれたのか…要するに両方から受け入れられてとても楽しい日々を過ごす事ができたかなと思います。
さまざまな画家の想像力をかきたてるようなものとは具体的に何だったんでしょうね?このブルターニュに…。
その当時は当然パリは一つの大きな街として都会として栄えていてその一方でブルターニュは重要な地方として多くの芸術家であったり文学者を受け入れていた。
そしてあとブルターニュならではのケルトの伝統であるとともにフランスが国としてのたたずまいを整える以前のものがここにはあるという意識を当時の人々は抱いていました。
ですからそれは私たちが東北地方に対して感じるようなそこの神秘的であったり森が深いというそういうイメージとブルターニュというのは個人的には重なるような気がいたします。
(小野)言葉もね違いますからね。
ブルターニュはブルターニュ語が話されてる。
ちゃんと標識も道路標識もフランス語とブルトン語。
あっそうなんですか。
どういう評判だったんでしょうね。
「あそこに行けば描きたいものがあるよ」「こういうものがあるよ」。
一つには…現実的な問題として生活費を抑えたいという現実も同時にあったんですね。
そうなんですか。
(小泉)ですからある種の自分のクリエーションあるいは理想という場所を求める事と現実の折り合いの中であの段階で行ける自分の中のかなり遠い限界という場所がブルターニュであり重要な段階であったという事だと思います。
(小野)なんかさ書いた彼の手紙とか読むとなんか割と「ゴーギャン」だけにゴウガン不遜なね…。
(笑い声)
(小泉)だからそれはある種の虚勢であるけれども単に口から出任せという事ではなくてそれを言えるある種の充実した気概と環境が整っていた。
そこで生まれた作品の一つがこちらですよ。
不思議な絵ですよね。
ゴーギャンなぜこのような世界を描かずにはいられなかったと思いますか?
(小泉)いわば自分が向き合ってる現実そして自分が描きたかったそうしたある種の理想。
そこの中で現実と理想とまあ想像とう〜ん…目に見えるものそういったいろいろな要素記憶の中で蓄えていた視覚的な刺激ですよね。
そういうものが非常に混在する形でひとつこういった作品へとつながっていった。
(小野)当時例えばこの作品発表した時に需要っていうんですかね周囲の反応ってどういう…?その美術界。
(小泉)当時のアクチュアルな反応はきちんと分かるほどまだまだ注目はされていなかった。
ですからまだ私たちが考える巨匠となるかもしれない画家はまだまだ卵でしかなくその意味では私たちが予想するような反応をつぶさに得る事はできないという状況だったはずです。
じゃあ時期としてはいろんな影響を受けていろんなやりたい事とかたくさんあるものを実験し始めている段階という…。
(小泉)そうですね。
けれどもこうした2つの異なる世界を同一の画面の中で同居させていくという事においてはこの作品がひとつ重要な転換点であった。
すばらしい説明ですね。
そうですか?更なる飛躍を求めて1889年ゴーギャンは海辺の村ル・プールデュに移り住み創作に没頭します。
ゴーギャンが借りて住んだ漁師の家です。
当時の部屋の様子が再現されています。
ここで若い画家たちと共同生活をしながら新たな傑作を生み出します。
そのきっかけとなったのがある古い礼拝堂でした。
これがゴーギャンが描いた「黄色いキリスト」のモデルになったキリスト像ですよね。
「黄色いキリスト」。
この絵もまた謎に包まれた作品です。
はりつけにされたキリストの背景はのどかな農村風景です。
十字架の下にはマリアたちではなく3人の農婦。
木々は赤。
丘とキリストは真っ黄色です。
素朴で伸びやかな印象さえ受けます。
ゴーギャンはブルターニュの何に触発されたのでしょうか。
手がかりは礼拝堂の中にありました。
(小野)ここはキリスト教の信仰の場所なんですけど非常にこう風変わりに見えるというんですかね。
あそこの柱の所に…怪物でしょうね怪物の口があってそこに木の梁が入っているというような。
一見するとほとんどキリスト教に関係のないそういうような絵が描かれているわけですよね。
いろんな面白い形の顔とかですねお尻から後ろをのぞいてるような顔とか…。
ユーモラスで風変わりな装飾の数々は17世紀ごろに作られました。
何のためのものなのか一切分かっていません。
とてもこう…原始的。
それからちょっとややわい雑にも思えるような民衆の力エネルギーっていうのがですねそういう事をある種許容するようなおおらかさっていうんですかねこの土地に息づいていて。
ゴーギャンの「黄色いキリスト」に関しても全く同じ事が言えて。
風景っていうのは全然写実的でも何でもない黄色。
そしてキリストそのものも黄色。
ほんとに自由な描き方ですよね。
でもまさにそれがまさにそれが当時ブルターニュの人たちの自由さというものが何らかの形で影響を与えてるという事は言えると思うんですね。
それにしてもこの聖なるはりつけの像をゴーギャンはなぜブルターニュの大地に建てたのでしょうか。
手がかりを求めて小野さんが向かったのは…。
巨石はケルトよりはるか昔4,000年以上前の人々が建てたものです。
「メンヒル」と呼ばれます。
なんか土地が空に向かって手を伸ばそうとしてて地の底からうわっと指が出てきたその指みたいでしょ?指がこう地面から出てきて今にも我々をつかもうとしてるとか。
すごいですよねびくともしないです。
びくとも。
これすごい大きいですよね。
石に変えられた巨人っていうかね。
立ったまま朽ちて…。
巨石は何のために建てられたのか理由は分かっていません。
後にこの地に根づいたケルトの人たちは巨石に祈りをささげさまざまな言い伝えを残しました。
原始の時代に建てられた巨石に祈りをささげたブルターニュ。
ゴーギャンは大地に立つキリストに原始から積み重ねられた土地の祈りの力を託そうとしたのかもしれません。
小野さんはゴーギャンを触発した巨石のエネルギーをこう推理します。
(小野)土地に力がなければこういうものは生まれえないと思うんですよね。
ある種土地の力が具体的な形をとって発言したものがこの石だというふうに。
それ一つ一つがねこの…力の表れっていうかいろんな多様な形の力があるんだっていうふうに言えるんじゃないかと思いますよね。
ゴーギャンのもとに集った若い画家たちはブルターニュの岩の存在感に惹かれ作品を残しています。
海に突き出した断崖。
岩の割れ目の向こうに広がる海を奇抜な構図で捉えています。
岩の形をよく見ると…向き合う人物の顔のシルエットのようです。
更に断崖の下には頭巾をかぶる魔術師のような顔も見えます。
異様な気配が漂います。
ゴツゴツした岩肌の断崖と老婦人が向き合う不思議な構図。
女性と岩の間には一体何があるのか。
さまざまな物語を感じさせる作品です。
ゴーギャンはパリの友人に宛てた手紙でブルターニュの魅力を語っています。
黄色いキリストと古代の偶像を背負い自信に満ちた自画像。
神秘の森に巨石。
ゴーギャンはブルターニュで強烈な土地の力を感じ取り人々のおおらかで誇り高き祈りに触発されました。
その後タヒチに向かい才能を更に開花させます。
ゴーギャンが切り開いた原始と素朴の美はブルターニュでの飛躍なしには生まれませんでした。
(小野)僕自身がこうやってブルターニュに来て自分自身も違う世界への扉っていうのを気が付かないうちにもうくぐっちゃったんじゃないか…。
そういう不思議な力に満ちあふれているっていうかいろんなものが僕らに合図を送ってるんじゃないかと思うんですよね。
まあ自然もそうだし目に見えない存在たちが合図を送っててその呼びかけに対して応えるって事が僕は創作芸術作品を作るという事だと思うんですね。
創作するって事を促すような力がここにはあると思います。
いや〜あの…立派なメンヒルでしたねぇ。
(笑い声)僕はあのようなメンヒルやあとドルメンといった巨石群というのはもう理屈じゃなくて本能的にドキドキワクワクさせられるんですけれどもいにしえと今がつながった瞬間というようななんかそういう感じを受けますね。
なんか圧倒的な存在感ですよね。
あんな大きくて重たいものがそこにドン!ってあるっていうそこにそれが存在しているという事だけに感動するっていうかですね…。
創作への刺激というものとかも現地に行って何かひらめいたりイメージが湧いてきたりっていうのはありましたか?もともとひらめかないので何も。
(笑い声)何もひらめくって事はなかったんですけど自分も何かうまく言葉でできないけど何かを自分は受け取ってるなという事を夢想しながらいろんな所歩かせてもらいました。
今小野さんがおっしゃったような事をゴーギャンも当時感じていたと思われますか?恐らくポン=タヴァンという場所で何か自分とその土地が結び付いたそういう感覚を得られたんではないかと。
それ面白いですね。
ポン=タヴァン滞在中にかなり偉そうな事も言うのですけれどもでもそれはそういうふうに言わせてしまうその環境が整っていたとも考えられるんですね。
だからこの黄色いキリスト像もこれはりつけされてるけどすごい安らかな顔してますよね。
これってある意味「う〜ん」みたいな。
伸びしたような。
伸びしてる感じじゃないですか。
周囲世界との関係あるいはそこに生きる人たちとの関係がどちらかと言えばプラスいい関係だったんじゃないかと思わせます。
どうしてかってなんかこう受け入れてる感じがしますよね。
まあキリスト自体もめちゃくちゃな解釈ですけどある種受け入れてるし受け入れてると同時に自分を差し出してるというんですかね。
とはいえですよこれはいわばたっ刑の図ですからそのような安らぎだけではない要素があるわけですね。
けれどもいわばこのような形で自分の顔をキリストに似せてそして自分の身体もこのような形で描くという事はある世界に向かって自分を表現していくという一つの表明でもあるかもしれない。
その意味でやはりこういう事を許す場であったポン=タヴァンという事をやはり考慮に入れるべきだと考えます。
そこの土地というのが持つ風土というものと生まれる芸術というのはやはり強いつながりというのはあると感じますよね。
(小泉)そうですね。
ブルターニュだけの体験が彼をつくったわけでもなくけれどもそれがなかったならば次の段階を迎えていなかったかもしれない。
ですからこの場所がいかに重要であったのかという事を今回非常に認識した次第です。
絵画っていうのもやっぱり行った場所画家が行って描いたその土地っていうものがその土地との関係っていうものが作品を形成する上で決定的に重要なんだなというふうに感じました。
だから面白いのはやっぱりゴーギャンは小さい時からいろんな土地をペルーに行きマルティニクにも行きパナマにも行き…っていうようないろんな場所を経た上であそこっていう事ですよね。
その土地っていうのも彼が生きてきたさまざまな土地との関係の中で意味を持ってるっていう。
今回僕がブルターニュに行ってブルターニュの場所が大切だという事は十分分かりましたけどでも他の場所があって他の場所の存在を前提にした上でそこの土地の重要性が生まれてくるんだなというふうには感じました。
今日あっという間の時間でした。
どうもありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
2015/11/29(日) 09:00〜09:45
NHKEテレ1大阪
日曜美術館「ブルターニュ 不思議の大地〜ゴーギャンたちの飛躍〜」[字]
フランス最果ての地、ブルターニュへの旅。謎めいた風景と、目に見えないものの気配に満ちた地。ゴーギャンたちの傑作は、なぜここで生まれた? 美と大地の不思議な物語!
詳細情報
番組内容
パリから列車で5時間。フランスの“地の果て”へ。現れたのは深い森。圧巻の巨石。そこは、謎めいた風景が続くブルターニュ。この地で大きな飛躍をとげ、代表作を生み出したのがゴーギャンだった。ゴーギャンに影響を受けた画家たちも集った。なぜ、この地から傑作が生まれたのか。芥川賞作家で“土地の力”をテーマに小説を書き続けている小野正嗣さんが謎を解く旅に出る。そこで見た驚きの光景は? 傑作誕生の不思議な物語!
出演者
【出演】芥川賞受賞作家、立教大学准教授…小野正嗣,一橋大学准教授…小泉順也,【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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