ふるさと再生 日本の昔ばなし 2015.11.29


ある屋敷に美しいと評判の姫君がおりました。
国中から若者が集まりましたが姫は誰とも会おうとはしません。
姫の名前はかぐや姫といいました。
やがて5人の貴公子がかぐや姫を嫁にもらいたいと名乗り出ました。
しかし…。
(かぐや姫)私はどなたにも嫁ぎません。
わしも老い先短い。
このままでは心配だ。
ならば5人それぞれに珍しい宝物を持ってきてくれるようにお願いしましょう。
もし願いを叶えてくれたならその方のもとに嫁ぎましょう。
石作の皇子は天竺にある仏様の石の鉢を頼まれました。
しかし近くの山寺で汚れた鉢を拾ってきて天竺から持って帰ったと嘘をつきました。
仏様の鉢ならば光を宿しているはず。
すぐに偽物だと見抜かれてしまいました。
庫持の皇子は東の海の蓬莱山にある根っこが銀茎が金実が真珠という玉の枝を頼まれました。
しかし旅には出ず腕のいい職人を雇って偽物を作らせかぐや姫に会いにきたのです。
庫持の皇子は約束を果たしたぞ。
あぁ困りました。
おじいさんとおばあさんを悲しませたくなかっただけなのに。
私たちは寝る間も惜しんで玉の枝を仕上げました。
しかしまだお給金をいただいておりません。
黙れ黙れわしの邪魔をするな!阿倍の右大臣は決して燃えない火鼠の毛皮大友の大納言は龍の首にある五色の玉石上の中納言は燕が生む子安貝を頼まれましたが皆失敗しました。
とうとう誰も姫の願いを叶えることはできなかったのです。
この噂は帝の耳に届きました。
5人を退けたかぐや姫がどれほどの美しさか確かめてこい。
ところがかぐや姫は帝の遣いにも会おうとしません。
帝の命は絶対です!かぐや姫は竹の中から生まれた子でございます。
最初は手に乗るほど小さかったのにたった三月で人並みの大きさになりました。
この世の人とは違うのでございます。
しかし帝はどうしても諦めきれません。
そこで狩りに出かけた折に屋敷を訪ねたのです。
おじいさんとおばあさんはとても驚き帝を屋敷の中へと招き入れました。
なんと美しい。
私はこの国で生まれた者ではありません。
たとえ帝であってもお仕えできないのです。
帝はその言葉を信じず無理に連れて帰ろうとしました。
するとかぐや姫はまるで新月のように影だけになってしまったのです。
連れて帰ることは諦めよう。
だから元の姿に戻っておくれ。
もうひと目そなたを見てから帰りたい。
そして帝から手紙が届くようになりました。
かぐや姫も返事を書きました。
こうして3年の月日が経った頃かぐや姫は月を見ては物思いにふけるようになりました。
満月が近づくと人目も気にせず泣くようになりました。
おじいさんとおばあさんは心配でたまりません。
ずっと言えずにおりましたが私は月の都の者。
8月15日の満月の夜には迎えが参ります。
なんと!まあ…。
とうとう満月の夜になりました。
二千の帝の兵士が屋敷を守り固めます。
おじいさんとおばあさんは奥の座敷でしっかりとかぐや姫を抱きしめていました。
宵が過ぎた頃あたりが昼のように明るくなりました。
その光を浴びると兵士は戦う気力を失い屋敷の扉はひとりでに開きました。
月の使者がかぐや姫を迎えにきたのです。
お別れでございます。
うぅ…。
私のことを懐かしく思ったらどうぞこの手紙を読んでください。
かぐや姫は手紙と一緒に不死の薬が入った壺を託すと月の都に帰っていきました。
(2人)かぐや姫かぐや…。
おじいさんとおばあさんはかぐや姫を忘れることはできません。
手紙を読むたびに悲しさがつのります。
決して不死の薬を飲もうとはしませんでした。
帝にも手紙と薬壺が届けられました。
かぐや姫:天の羽衣を着るときになって初めてあなた様をしみじみと思い出しております帝は駿河の山の頂上で手紙と不死の薬を燃やすように家来に命じました。
もうあなたに会えず涙に暮れる私にとって不死の薬に何の意味があるでしょう燃やした煙が今も天に向かって立ち上っているということです。
町のはずれにたいへん裕福な家がありました。
その家には夫婦と娘が暮らしていましたが…。
あっ。
お前!お母様!母は重い病のために倒れてしまいました。
母は娘の行く末が心配で心配でたまりませんでした。
どうか娘を守ってください。
病の体をおして母は観音様に一心に祈りました。
そのとき…。
よかろう。
鉢を授けようこの鉢を娘にかぶせるがよい。
時が満ちればおのずと離れよう。
あっ。
それは夢ではありませんでした。
母は観音様からいただいた鉢を娘にかぶせました。
そして娘ははちかつぎと呼ばれるようになりました。
母はその後亡くなりました。
数年後父は後妻を迎えました。
新しい母だ仲よくするよう。
では頼んだぞ。
はい。
その鉢は取れないのかい?はい。
気色の悪い。
はっ…。
後妻はなんとかして娘を追い出そうと考えていました。
はちかつぎ!はい。
娘は食事の支度や洗濯染め物などの仕事をしました。
しかし忙しい合間にも母の墓参りを欠かしませんでした。
後妻は墓参りを見とがめ更に仕事を増やしました。
それは私の両親が持たせてくれた大切なお皿。
申し訳ありませんお母様。
あなたにお母様なんて呼ばれたくありません!出ておいき!《こんな姿じゃ嫌われてもしかたがない》このまま死んでしまおうと思いました。
鉢をかぶっていたので水に沈みませんでした。
大丈夫か?浮いているものが気になって追いかけてきたがおなごであったとは。
これを着なさい。
ありがとうございます。
家はどこだ?家はないのか?はい。
うむ…それなら私の家に来るがいい。
こうして娘は若者の家に行くことになりました。
それからしばらくして。
じいはいるか?はい。
水はもういいかまどを見てくれ。
はい。
何でしょう?若。
娘はどうだ?働き者で助かってます。
わしが若うございましたらエヘヘヘ。
おや?薪のところにある琴はなんだ?奥方様が薪にしてくべろって置いていきまして。
娘が欲しいと言ってますが。
ほう。
いいぞ琴をやるのか。
はあ。
《いじわるな人や気持悪がる人もいたけれどここにはおじいさまや若様がいる。
今はこの思いを指先から弦に伝えよう》
(琴)おや?こんな夜更けに琴の音とは。
(琴)はちかつぎ。
〜《美しい調べ礼を言うぞ》《私こそありがとうございます》この日から2人は心を通わせ始めていました。
ある日父と兄たちが進めていた若者の嫁選びの日がきました。
何人もの娘のなかから嫁を選ぶのです。
そんな話聞いておりません。
いかん嫁を選ぶのじゃ。
ではせめて1人の娘を加えさせてください。
ならば嫁を選びましょう。
よかろう連れてまいれ。
この娘です。
(笑い声)風呂焚きのはちかつぎとは。
冗談も休みやすみ言いなさい。
お願いいたします嫁の候補に加えてください。
若様私などがこのような席に出るわけには…。
何を言う。
私はこれで。
あっ!なんと。
美しい。
なんとなんと。
お前ははちかつぎか?はい。
このあとはちかつぎが高い身分の貴族であることがわかりました。
その後2人は祝福されて祝言を挙げました。
数年後観音様にご挨拶に行ったときのこと。
みすぼらしい身なりの老人と出会いました。
はちかつぎの父の変わり果てた姿でした。
すまなかった本当にすまなかった。
いいえいろいろありましたがお父さまを恨んだことなどありません。
それよりお元気でなによりです。
これからは一緒に暮らしましょう。
父を屋敷に迎え夫婦は仲むつまじく末永く幸せに暮らしました。
昔海の幸豊かな九海士という里で村長の夫婦に娘が産まれました。
それは長い間待ち望んでいたわが子でした。
村長の家にかつての漁師仲間だった者が大勢祝いに駆けつけました。
やがて3年が過ぎ娘も元気に成長しました。
ところが娘の髪の毛は生まれたときのままで一向に伸びてこなかったのです。
腕のよい医者や祈祷師を招きお祈りをするのですが髪は伸びてきません。
年ごとに娘は美しくなりました。
それがまた苦しみを深めたのでした。
村長の夫婦は娘を守るために世間から隠し通すことしかできませんでした。
しかし姿を見せぬことはかえって噂を広め美しい娘の話は遠方まで伝わりました。
遠くから娘をひと目見ようと男たちが押しかけました。
娘は気分が優れずどなたともお会いできません。
なにとぞお許しを。
やり場のない不安を抱えていつしか村長の仕事はなおざりになっていきました。
村長はわしらの仲間と思うとったが今じゃ家にも上げてくれぬわい。
娘を姫様扱いしとるというじゃないか。
おいどれほどの姫様か見にいってみるか。
そうだな。
何だあの光は。
海が光っているぞ。
不思議な光は夜が明けても収まる気配を見せません。
そしてあれほど豊かだった海は魚がほとんど姿を見せなくなりました。
貝も海藻も育たない。
こんな日が続いたら暮らしていけないよ。
海の神様を怒らせたんじゃろうか。
村長が悪いんじゃ。
村をほったらかしにするからバチが当たったんじゃ。
そうだそうだ村長が悪い。
村人たちの嘆きは怒りに変わり不穏な空気は村長の屋敷に伝わりました。
娘は1人屋敷を抜け出し祠へと向かいました。
《ととさまかかさまを苦しめ今村の人たちを苦しめているのもみんな私のせい…》《どうかととさまかかさまをお助けください。
そして村の人たちをお助けください》お前は何も悪くない。
ととさまかかさま。
わしは村長だ。
光の正体はわしらが突き止める。
私は昔海女でした。
海に潜って光の正体を突き止めましょう。
かかさま。
心配しないで家で待っていておくれ。
いえ私も連れていってください。
3人の乗った小舟は光がいちばん強い場所に着きました。
村長と娘が見守るなか母親は海に入りました。
かかさま。
母親は光の発するところを求めて潜り続けました。
どれほどの時間が経ったでしょうか。
握った命綱に合図がありました。
村長は力のかぎり綱を引き上げました。
母親の手の中に握られていたのは親指ほどの小さな観音様でした。
観音様は人の世の苦しみを救うという。
それゆえ光り輝き拾い上げられるのを待っておられたのだ。
そして小さな観音像は海を見下ろす祠に納められたのです。
すると海に魚が戻ってきました。
娘は貧しい村の家々をまわり着物や食べ物を置いていくようになりました。
おぉこれはどなたからのお恵みじゃ。
ありがたやありがたや。
いつしか人々の苦しみをわずかでも慰め助けることが娘の喜びとなったのです。
《観音様おかげで父も村の人たちとの信頼を取り戻すことができました。
ありがとうございます》ある日のことです。
おかえり。
んどうした?ととさまかかさま。
おぉ髪の毛が。
なんと美しい黒髪。
ここれは。
きっと観音様のお慈悲じゃ。
ありがたいありがたい。
娘の黒髪は日々伸び続け背丈ほども長くつややかな髪となりました。
娘はそれからも観音様を大切にして人々の幸せのために力を尽くしました。
そして人々から髪長姫と呼ばれ慕われたということです。
2015/11/29(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字]

「かぐや姫」
「はちかつぎ姫」
「髪長姫」
の3本です。お楽しみに!!

詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
 柄本明
 松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
 作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
 編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
 歌:中川翔子
 コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:47434(0xB94A)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: