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なぜ、いまデザイン教育が必要なのか──Airbnbを生んだ米名門芸術大学RISDの新学長が語る

1877年の創設以来多くの才能を世に生み出してきた米国におけるアートの最高学府、RISD。近年ではAirBnBのファウンダーを排出している同校の学長に新たに就任したロザンヌ・ソマーソンが、テクノロジーによってめまぐるしく世界が変わる現代における「デザイン教育の意義」を語った。

 
 
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TEXT BY SAM LUBELL
PHOTOGRAPH COURTESY OF RISD

WIRED NEWS (US)

ロザンヌ・ソマーソン。

今年10月、ロザンヌ・ソマーソンがロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の第17代学長に就任した。彼女は高く評価される家具デザイナーであり、教育者だ。米政府の独立アート機関ナショナル・エンドーメント・フォー・ジ・アーツから2つのフェローシップ(特別研究員の地位)を得ており、その作品はこれまでに、ルーヴル美術館やスミソニアン・アメリカン・アート美術館、イェール大学アートギャラリー、ボストン美術館、そしてRISD美術館に展示されてきた。

彼女はまた、同大学を率いる最初の卒業生であり、RISDとは強くて長い結びつきをもっている。学生としてここで学んだだけでなく(彼女は1976年に産業デザイン学士を取得した)、そこで産業デザイン教授、ファニチャーデザイン学科の共同創設者兼初代学科長、および暫定副学群長、学群長として働いてきたのだ。

われわれは、今後生じるであろうさまざまなチャレンジに彼女がいかに取り組もうとしているのか、そしてまた、創造性や革新、人間中心デザインという同校の信条にますます没頭するテック業界とRISDの関係について訊いた。

──RISDの卒業生は、これまではデザインとは関係がないと思われてきたテック企業や他のビジネスに、どんなものを提供できるのでしょうか?

当校のアーティストやデザイナーたちがテクノロジー界の人々の理解を手助けできる方法のひとつは、「人間を第一に位置づける」という考えを伝えることです。

彼らは新しいものをデザインしながら、ユーザーエクスペリエンスと、テクノロジーが引き起こす文化的インパクトについて考えることができます。テクノロジーの初期の研究というのはエンジニアやプログラマーたちによって行われますが、彼らは、わたしたちアートやデザイン畑の人と同じように感じたり体験したりすることはないでしょう。アーティストというのは、“高度に開発された(感受性の)扉”をもっているのですから。

エンジニアは自らの仕事においては非常に高い能力を発揮しますが、このような扉はもっていないものです。わたしは将来、ITやソフトウェアエンジニアたちとコラボレーションしつつ、テクノロジーを意義のあるヒューマンエクスペリエンスに転換することができる人々が登場すると考えています。そこには大きな将来性があり、これこそがRISDが得意とすることなのです。

また多くの革新を起こしてきたテクノロジーは、わたしたちと特別な関係をもっています。テクノロジーがわたしたちの生活に組み込まれていくことで、アーティストやデザイナーはこれまでは問えなかった問いを発し、不可能に思える課題を解決する方法を見つけています。そのようなアートデザインとテクノロジーのコラボレーションは、これまで以上に重要になっています。わたしたちは失敗を終点とは考えずに、むしろ道筋、より深く掘り下げて新たな解決策を見つける過程の一部だと考えているのです。

※この翻訳は抄訳です
 
 
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