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 トルコのダウトオール首相は29日午前(日本時間同日午後)、首都アンカラで会見し、24日にトルコ軍に撃墜されたロシア軍機の乗員1人の遺体について、トルコがロシアに返還すると発表した。トルコのメディアによると29日午後、シリア国境に近いトルコ南部ハタイ県でロシア側に返還された。乗員は撃墜時、パラシュートでシリア領内に降下。シリアのトルコ系少数民族トルクメン人の反体制派武装勢力が24日夕、射殺したと発表していた。

 ドアン通信などによると、トルクメン人の反体制派武装勢力が29日未明、トルコ政府に遺体を引き渡したという。遺体はトルコ政府からロシア軍関係者に引き渡され、アンカラ経由でロシアへ搬送されるという。また遺体の取り扱いについて、ダウトオール氏は「(ロシアの主な宗教である)キリスト教の正教会の伝統に従って扱っている」と強調した。

 今回、トルコ主導の形で遺体返還を進め、かつイスラム教徒のダウトオール氏が「正教会の伝統」に言及したのは、領空侵犯は決して正当化できないものの、関係が険悪化しているロシア側への一定の配慮とみられる。(イスタンブール=春日芳晃)