土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル41」 2015.11.28


(伊吹南)ねえ白どう思う?
(二宮愛介)うん…。
白がいいんじゃないかなあ。
(南)ね!
(南)リボンかお花か…。
ねえこれどう?
(愛介)わっ…これいい!
(南)うわ〜素敵!見てここもキラキラしてるし…。
(二宮早紀)愛介が結婚!?ちょっ…どういう事なんですか?叔母様それ!
(望月七海)相手はもちろん南ちゃんよ。
愛介ったらねこの頃結婚に関する情報誌とか結婚式場のパンフレットもう食い入るように見てるのよ。
ああ…早すぎです。
だって愛介はまだまだ新聞記者としては半人前だし。
あっ南ちゃんだってね法医学者としては…。
わあ〜!早紀さん南ちゃんとの結婚反対なんだ。
アハ!愛介に言ってやろう〜。
いや違う違う。
あのね南ちゃんだから反対とかそういうんじゃなくてね…。
(二宮一馬)本日はお日柄もよく…。
こんにちは。
あなた〜!ねえちょっとちょっともう大変…!そこ座って座ってちょっと…!な…何が?ああ〜もう座ってよ。
あのね愛介がね…!だから今覚えてるんだから静かにしてくれよ。
えっ何?あっ結婚式のスピーチの練習ね?そうなの。
アハハ!生活安全課の奴でさ「二宮警部を尊敬しています。
絶対自分の結婚式ではスピーチしてください」って頼まれちゃってさ!ハハハハ…!あっちょうどいいや。
ちょっちょっ…ちょっと聞いて。
ね?ちょっと聞いて。
(せき払い)結婚生活には大事な袋が3つあります。
1つ目給料袋。
2つ目堪忍袋。
そして3つ目が胃袋。
どうだ!ああ〜んもう!それいつの時代のスピーチよ!昭和のにおいがもうプンプンするよ!大体ね今時給料袋なんて…!あ〜こりゃすごい低気圧。
フフ…愛介大変だ。
(山中由佳里)奥さん。
(由佳里)私今日誕生日なんです。
よかったら一緒にお祝いしてくれません?
(村越梢)え…?自己紹介してませんでしたね。
私山中由佳里といいます。
あなたのご主人と結婚を考え付き合っている女です。
(由佳里)ご主人の子供を産みたいとも考えています。
あの人の好きなもの色々買っているみたいですけど無駄だと思いますよ。
(由佳里)あの人あなたには友達と夜釣りに行くって言って私のマンションに来る事になってますから。
そんな…。
はい!これ私のマンションの住所と地図。
この際だから今後の事3人で話し合いましょ?待ってますから。
(携帯電話)もしもし。
(村越正彦)俺だ。
今日高校の時の仲間と急に夜釣りに行く事になったから…。
帰らないから。
わかりました。
風水!?この本によるとねここのリビングだと大体ねこの辺のこの辺りのこっちの方向に黄色いものを置くと運気が上昇するんだって。
アハハ。
叔母様。
私こう見えても医者ですよ?科学の最先端で働く者の一人としてそういう占いみたいなものはちょっと…。
でもさもしこれでね運気が上昇したら一家の女主人として息子の結婚だって理想どおりにいくし嫁と姑の間だってリード出来るかもよ?黄色ですよね?そう。
この辺りにですよね?そうそうその辺り。
黄色いものを…。
そうそうそう。
(愛介)何してるの?あっああ〜びっくりした。
愛介帰ってきたんだ。
ただいまって言ったよ。
でも2人ともなんか夢中で話してるからさ。
遅かったわねえ。
南ちゃんと一緒だったの?ああ。
結婚の事とか色々話しててさ。
結婚…!ほれ見なさい!私の言ったとおりでしょ?
(愛介)まったく参るよ。
いきなり「なぜ若者は結婚したがらないのか」その特集記事を書けって。
はっ…はあ?
(七海)ちょっと!じゃあ仕事なの?結婚について色々調べてたの。
南ちゃんから話聞いてたのも取材だよ。
アハハハ!な〜んだ。
ああもうつまんない!どうして?ううんなんでもないなんでもない。
叔母様はねただ私のうろたえるところが見たかったのね〜。
おあいにくさま。
ウフフ。
どういたしまして。
ウフフフフ〜ンだ!
(町田誠)あっ…。
あっ管理人さん。
(今村仁)ああ…。
ああ〜!またですか?そうなんですよ。
ああ奥さんお友達ですよね?山中さんとは。
声かけてもらえませんか?さっき僕ピンポン鳴らしたんですが返事がないんですよ。
(町田美穂)ああ…いないんじゃないんですか?それとも寝てるとか。
あのこれも渡したいからさ声かけてみようよ。
(今村)ああ…。
(チャイム)由佳里さん!
(町田)あっ!鍵かかってない。
ちょっと…お前行けよ。
(美穂)由佳里?いる?
(美穂)私だけど…。
(美穂)キャーッ!!
(町田)どうした!?
(美穂)あなた…。
ああっ!
(鳴き声)カナリア!?
(大石貴一)遺体はこの部屋の住人で山中由佳里さん31歳独身で仕事は本町通りの結婚式場でウェディングプランナーをしていたようです。
(谷村元彦)主任鑑識さんに網と鳥籠を用意してもらって回収しました。
なかったのか?この部屋に鳥籠が。
ええ。
どこからか迷い込んできたんですかね?いや待てよ…。
窓もドアも閉まってたしそれも変ですね。
(谷村)という事は鳥籠なしで飼っていた…?止めて!
(荒い息遣い)大丈夫ですか?どうされました?大丈夫?野村さん!?二宮先生…。
どうしたのあなた!怪我してるの?
(南)先生これタイヤ痕みたいに見えますけど。
車にはねられたの!?事故?警察に知らせないと…。
南ちゃん救急車!いえ違います!車にひかれたわけじゃありません。
でも救急車は呼ぶわよ。
怪我してるんだから。
結構です!そんな事したら叱られますから…。
叱られるって…。
野村さん!じゃあ南ちゃん付き添いをお願いね。
(南)はい。
(桑田)知ってる方だったんですか?あなたたちの先輩よ。
専門は小児科だったと思う。
法医学が必修だったから私も教えたけどでも…随分感じが変わった。
はつらつとしたすごく明るい人だったのに。
ありがとうございました!足の末端まで強く硬直が出てる。
角膜の混濁状況と併せて考えると死亡推定時刻は昨夜の18時から20時の間ね。
はあ…それにしてもなんだろう?このじんましん…。
(桑田)腕や…足にも出てますね。
うん。
この分だと全身にありそうですね。
(カナリアの鳴き声)そのカナリアは?
(谷村)飛び回ってたんですよこの部屋の中を。
だがこの遺体の女性は飼い主じゃないかもしれんな。
彼女がなぜ死んだかこのカナリアは見ていたかもしれん。

(桑田)カナリアの羽毛ですね。
うん…。
胸から首にかけてかきむしったような痕もある。
でも口の周りのじんましんが一番ひどいわ。
ひょっとして彼女のアレルゲンはカナリアだったのかもしれない。
永岡くんに調べてもらって。
(桑田)わかりました。
恐らくこの傷が致命傷ね。
ん…?
(南)どうしたんです?側頭部に圧迫痕のようなものがあるわ。
ちゃんと剃ったほうがいいわね。
南ちゃんあとでお願いね。
はい。
黙祷。
始めます。
心臓274グラム。
(南)はい。

(永岡)先生わかりましたよアレルゲン!やっぱりカナリアだった?
(永岡)そうなんですよ。
山中由佳里さんはカナリアに対してアレルギーを持っていたんですよ。
だから体中にじんましんが出て…。
アナフィラキシーショックを起こした。
そのとおり。
あっでも死因は後頭部を家具にぶつけて脳挫傷だったんですもんね。
って事はですよ山中由佳里さんはまずカナリアに触れるか何かしてアナフィラキシーショックを起こした。
で呼吸困難に陥って転倒してで後頭部を強く打ったと。
これ事故ですよ。
それが事故じゃないのよね。
カナリアは凶器として使われた可能性がある。
(永岡)カナリアが凶器!?それを証明するのがこの写真。
後頭部の傷は1カ所に見えたけど髪を剃ってよく見てみるとこんなふうに4つから5つの傷があったの。
12345…。
(有田光志)という事は何者かが被害者の頭をつかんでテーブルに打ちつけたって事ですね?でも抵抗の痕がないから彼女は相当弱ってたんじゃないかしら。
アナフィラキシーショックのせいでか。
そう。
カナリアによるアナフィラキシーショックで呼吸困難に陥り胸やのどの辺りをかきむしってた。
犯人はそれに乗じて彼女を殺害した。
(谷村)じゃあ彼女にカナリアのアレルギーがあったと知っている人間が犯人…。
そしてその人間が彼女の部屋にカナリアを持ち込んだ。
よし怨恨の線で山中由佳里の周辺を洗うぞ。
それと彼女がアレルギーの治療のために通っていたかもしれない病院カナリアの入手先となりそうな近隣のペットショップも当たってくれ。
頼むぞ。
(刑事たち)はい!早紀。
ん?ちょっと来てくれ。
鑑識さんも証拠保管係も持て余してるんだ。
こいつの世話頼むよ。
ええっ?あっなんていうかさカナリアってさお前のイメージなんだよ。
お前が一番よく似合うんだよ。
私はカナリアの似合う貴婦人みたいってみんなから言われるけどでもね…。
ホントよくさえずるもんな〜。
さえずるってちょっともう!頼むぞ!ああ〜!もう飼った事ないカナリア。
はっ!これ…黄色!?
(今村)山中由佳里さんには助けられました。
ここの管理人になったのは半年前からなんですが最初の頃は通ってくるのが嫌でした。
でもこの不景気で思ってた仕事はなかなか見つからず…。
(由佳里)管理人さんどこかで今自分のお仕事をバカにしていませんか?自分はこんな仕事に向いていない自分にはもっと向いている仕事があるんだって。
いやそんな…。
(由佳里)でも私今の管理人さんの仕事すごく素敵だと思うんです。
仕事を終えて疲れて帰ってきた時も管理人さんの笑顔に会えると私うれしいしそれに私いない間も管理人さんが私の部屋守ってくれてるんだなあって。
(今村)その言葉に私は心を救われました。
でもあの子は変わってしまった。
いつの頃からか様子が変わって近頃ではなんだか…とげとげしくなった。
最近何かあったんですかね?
(今村)いえ…わかりません。
カナリアの事について山中由佳里さんから何か聞いていませんか?いえ飼っていた事すら知りませんでした。
ですから彼女の部屋に入った時にびっくりしたんです。
カナリアが飛んでいたんで。
カナリアはお隣の町田さん夫婦は飼っていらしたみたいですけど。
(今村奈津子)あなた!どうしたんだ。
いつ?ちょっとあなたに聞きたい事があって来たの。
でもどうしたの?何があったの?表には警官もいるし…。
502の山中さんが亡くなったんだ。
亡くなった!?私と由佳里は高校のクラスメートだったんです。
でも卒業以来連絡は取ってなくて…。
それが私が結婚して1カ月前にここのマンションに引っ越してきてごあいさつに行ったら隣が由佳里で…。
すいません。
家内はやっぱりショックが大きいみたいで…。
随分仲良くさせてもらってましたから。
申し訳ありません。
ですが…山中由佳里さんは殺害された可能性もあるんです。
おつらいでしょうがご協力願えませんか?殺されたって…。
あ…捜査中ですので詳しい事はまだ…。
あの…カナリアを飼っていらしたのでは?はい。
私のピーコはいつもそこに置いてあったんですけど2週間前に病気で亡くなりました。
山中由佳里さんにカナリアのアレルギーがあった事は…?知ってました。
(美穂)たまたまピーコの羽が由佳里のベランダに飛んでいきそれを拾い上げた由佳里がアレルギーを起こしたんです。
(美穂)で…由佳里は病院へ行きカナリアがアレルゲンだと言われたそうなんです。
あっ!アナフィラキシーショック!?えっ…そうなんですか?由佳里さんはカナリアによるアナフィラキシーショックで亡くなったんですか?
(谷村)よくご存じですねアナフィラキシーショックという言葉を。
私はあの…工業高校の教師をしているんですが実家は蜂の養蜂場を経営しているんです。
ですからスズメバチによるアナフィラキシーショックなどには注意しろって小さい頃から言われてまして。
ゆうべ南小田原の主人の実家に泊まりに行ってお土産にこの蜂蜜をもらってきたんです。
これを由佳里にお裾分けしようと持って行ったらあんな事に…。
じゃあ誰かが由佳里さんの部屋にアナフィラキシーショックを起こさせるためにカナリアを持ち込んだって事ですか?あっ…!だとしたらあの男しかいないよな?誰です?あの男って。
あの…同じ階の504号室に住む山中唯義って男です。
山中…?
(美穂)はい。
同じ5階だし名字も同じだから由佳里のところに間違ってエッチ系の通販グッズが送られてきたらしいんです。
由佳里それに気づかず開けてしまい…。
あとで届けたらしいんですがひったくるようにその品物取られてバンとドアを閉められたって。
その時かららしいんです。
(町田)由佳里さんの部屋のドアに「死ね」とか「バカ」とかそういったたちの悪い落書きが書かれるようになったのは…。
(今村)ああ駄目だね…。
(山中唯義)亡くなったんですってね。
(唯義)でも俺何も知らないですよ。
最後に山中さんを見かけたのは?フン。
俺星ケ尾町のマルモトってスーパーで働いてるんですけどね見たんですよ昨日の夕方。
(唯義の声)あの人がどこかの品のいい奥さんと話してるの。
相手の奥さん青ざめてたなあ。
なんかひどい事言われたんじゃないですかね。
山中由佳里さんにカナリアのアレルギーがあった事ご存じでしたか?カナリアのアレルギー?あっそうかそれでか…。
いやね前に見た事あるんですよ。
あの人がアレルギー専門の病院に入っていくところ。
でもなんなんです?刑事さんたちが調べてるって事は事件なんですか?これ。
山中由佳里さんが殺されたとか?まだ捜査中ですので。
だとしたら…隣の部屋の町田っていう人の奥さん疑ったほうがいいんじゃないですかね。
勘だけど。
その理由は?だから勘ですよ勘!すみません!宛先を確認せず開けてしまって。
あっ。

(唯義)天罰だ!村越…?
(村越)なんで入院なんかしたんだ。
(村越)どうして入院する前に最初に私に電話してこない!
(梢)それは…。
(ノック)いいかしら?あっ二宮先生村越です。
お久しぶりです。
どうも家内が世話になったみたいで…。
ああ〜そうなの!いや名札がね野村じゃなかったから…。
ああ〜あなたたち結婚したんだ。
連絡を差し上げず申し訳ありません。
ううん。
結婚してすぐカリフォルニアのメディカルセンターに行ったもんですから。
ええ!?あそこのメディカルセンターってアレルギーと免疫学の研究で突出してるもの。
あっじゃあそこの研究員になったの?ええ。
彼女も小児科の研究員に。
そう!でおととし帰国して長浦町にクリニックを開いたんです。
ああ〜すごいわねえ。
頑張ってるわねえ!私が受け持ったのは法医学だけだったけどでもそういう話を聞くととってもうれしい。
フフフ。
先生の法医学では単位を取るのに苦労しましたからね。
あら!フフ…。
正直この先生俺の事を目の敵にしてるんじゃないかなって不安になりましたよ。
それはあなたが法医学をバカにしてたからよ。
ねえ?医者になるのにどうして法医学なんかが必修なんだ!って言って授業に全然身が入ってなかったじゃない。
(村越)これは先生の気分を害してしまったかな?フフフそんな…。
じゃあ怒らせないうちに支度するんだ。
退院するんだ!退院?ちょっ…担当の先生の許可取ったの?あとから連絡入れておきます。
梢さあ…!そんな…。
ちょっと…。
あっ!ほら…!もう…!折れてるのか?いえ打撲だけです。
じゃあ大丈夫だね。
ちょっと…まだ無理よ!
(ノック)
(村越)はい!あなた!おう。
村越アレルギークリニックの村越先生ですね?横浜東署の二宮です。
有田です。
なんです?警察の方が何か私に?山中由佳里さんをご存じですよね?もちろん。
うちのクリニックの患者さんですから。
そうですか。
ここではなんですので署までご足労願えますか?もう少しお伺いしたい事があるので。
わかりました。
じゃあいいね?君はすぐ退院しなさい。
大丈夫よ。
ご主人のクリニックに通ってた女性がゆうべ殺害されてその事でうちの人たちはご主人に話を聞きたいだけだと思うの。
私帰ります。
先生本当に…色々ありがとうございました。
ちょっと待って!あなた…ご主人に言われたから退院するの?言われたとおりにしないと叱られますから。
(ため息)変わったわねあなた。
私の知ってる野村梢さんじゃないみたいよ。
はあ…結婚相手って大事だわねえ。
(ため息)
(南)どうしてあの方の病室にカナリアの羽毛が…?う〜ん確かめてみるしかないわね。
野村さん…じゃない。
村越さんを助けたのは殺された山中由佳里さんのマンションから車ですぐのところだったわよね?ええ。
歩いて10分くらいだと思います。
うん…。
同じカナリアなのかしら…。
(鳴き声)ん?
(鳴き声)村越さんの病室で拾ったこのカナリアの羽毛は真っ黄色だけどこの鳥籠のカナリアはなんかちょっと白っぽいわよね。
(せき払い)ん?皆さん素人ですね。
は?カナリア博士になってしまったこの永岡がお教えしましょうか?
(永岡)え〜カナリアには羽毛に白い縁取りのあるもの有覆と縁取りのないもの無覆があるんです。
でこの鳥籠のカナリアこれは白い縁取りがあるから有覆でで先生が持ってるほうはこれは縁取りがないから無覆なんですよ。
わかりますか?ほら先生実際にペットショップでも有覆無覆って書いて売ってるんですよ。
うん…。
ねえ桑田くん山中由佳里さんの口の中にあったカナリアの羽毛の写真見せて。
はい。
有覆無覆…。
(桑田)あっこれです。
あっ。
これ…!無覆よね?
(永岡)ええっ!?山中由佳里さんの部屋の中を飛んでいたこのカナリアは有覆で口の中にあった羽毛は無覆?という事は山中由佳里さんの部屋には有覆と無覆のカナリアが2羽いたって事ですか?そういう事になるわね。
そして私が村越梢さんの病室で見つけたこのカナリアの羽毛は無覆…。
先生この2つのカナリアの羽毛をDNA鑑定したほうがよさそうですね。

(有田)先生は山中由佳里さんとお付き合いなさってましたよね?
(村越)医者と患者の関係をお付き合いというなら付き合ってましたよ。
これは殺人事件なんです。
山中由佳里さんはカナリアのアレルギーによるアナフィラキシーショックを利用して殺された可能性があります。
(有田)診察券もいらない関係だったそうじゃないですか。
(有田の声)予約も必要なかった。
(水田綾美)ああこの患者さんですよね。
知ってますよ。
うちの看護師ですか?そんな事言ったのは。
先生と山中由佳里さんが親しいという話はもうあちこちで出てるんです。
山中由佳里さんは職場の同僚に話したそうです先生と結婚するつもりだと。
そんなものは勝手に彼女が思い込んでいただけです!ゆうべは山中由佳里さんの誕生日だったようですが先生どちらに?頭が痛くて昨日は仕事を終えてから一日家にいました。
それを証明する人間は?…いません。
あいにく家内も出かけていたもので…。
先生以外に山中由佳里さんがカナリアに対してアレルギーを持っていた事を知ってる人間は?もちろん看護師は知ってます。
…いや待ってください。
もう一人いるなあ…。
誰です?妻です。
どうだ?山中唯義という男が言ってた時間には山中由佳里の姿はまだ確認出来ていません。
(小池勇樹)はっ主任!なんだ?
(小池)これ愛介くんじゃないですか?あっ…。
なんであいつと南ちゃんが?
(小池)でもなんか新婚の若夫婦って感じですよね。
みんなわかってるな?えっ…?えっ…?この事をうちの奴に言うな。
見た事は忘れろ。
(小池・谷村)はい…。
(大石)主任!はい。
(大石)山中由佳里です。
拡大してくれ。
はい。
梢さんが!?殺された山中由佳里と昨日の夕方会ってた。
ねえそれって一体どういう事?ああ…村越正彦は論文作成のためにカルテを自宅に持ち帰る事があるそうだ。
妻の梢が山中由佳里のカルテを見た可能性があると彼は供述してる。
ちょっと待って。
それって彼が自分の奥さんを売ったって事?俺も驚いたよ…。
(ため息)でお前は病室で拾ったカナリアの羽毛と山中由佳里の口から発見されたカナリアの羽毛DNA鑑定の結果は?一致した。
間違いなく私が梢さんの病室で拾った羽毛は山中由佳里さんのマンションにいたはずのもう一羽のカナリアの羽毛だった。
うん…やっぱり村越梢はこの事件に…。
ちょっと待ってよ。
私が梢さんの病室で拾った羽毛は夫の村越正彦の体か洋服についてた可能性だってあるわよ。
問題はそれだけじゃないんだ。
スーパーの防犯ビデオを見て谷村と有田を聞きに行かせた。
話しかけられたんです。
料理の仕方について聞かれて…。
そうは見えないんですけどねえ。
奥さんこわばった顔してるじゃないですか。
何を言われたんですか?本当は。
本当に料理の仕方を聞かれたんです。
私嘘なんてついてません。
じゃあ話を変えましょう。
(谷村)今朝港南医大の二宮先生に佐木ヶ谷2丁目付近で助けられましたよね?なぜあんなところにいたんです?…ゆうべひったくりに遭ったんです。
(梢の声)携帯も財布も盗まれてで犯人を追いかけて道に飛び出して車にぶつかったんです。
でも車の運転手さんは私には気づかなかったみたいです。
悪いのは飛び出した私ですから運転手さんを捜して訴えようとは思ってません。
あっそれからお前が言ってたタイヤ痕に見えるものがついていたスカート提出してくれと頼んだが拒まれた。
もう捨てたと…。
それは確かに変よね。
はっ…何か隠してるような気がする。
さあ出来たわよ〜!私のデリシャスゴージャス特別料理!あっねえ一馬あなた着替え持ったらまた署行くんでしょ。
私の作ったこの餃子を食べて精をつけて行きなさい!はいはい。
(愛介)餃子!?叔母さんの特別料理って餃子だったの?気に入らないみたいねえ。
あっ駄目よ。
この黄色いものはね早紀さんの運気に影響するんだから。
元の位置…ほらあっちに…。
あっち?そうそうあそこ。
そこそこそこ…。
叔母様!その話はここでは…!参ったなあ。
昨日も餃子でさあ…。
うんざりするぐらい食べたんだよ。
南ちゃんの家でか?うん…。
(愛介)えっ!?えっ…?ちょっちょっちょっ…お父さんなんでその事知ってるの?…勘。
勘?愛介お母さんこの際だからねあなたにはっきり聞いておきたい事があるの。
いい?あなたは度々南ちゃんの家に遊びに行ってごはんをご馳走になるそういう間柄なの?いや…違うよ。
みんなでだよ。
みんなで食べたんだよ餃子パーティーして。
駄目よ〜嘘ついたって。
南ちゃんと2人っきりだったんでしょう?顔に書いてある。
だから違うって!新聞社の同僚とか大学の仲間とかみんなでだよ。
みんなでワイワイって…。
におうわね。
餃子だけに。
うまい!あなた!はい。
メッ!愛介!餃子食べよう。
うん!
(一馬・愛介)いただきます!はい。
どうぞ〜。
ピーちゃん!頼むわよピーちゃん!頼むわよ!ピーちゃんピーちゃんピーちゃん!
(看護師の英語)
(村越孝之)ねえママ。
本当に僕手術すれば治るの?うん。
ママが一番信頼してる先生が手術してくださるんだから大丈夫。
だから孝之も頑張ろうね。
うん。
(ドアの開閉音)
(梢)おかえりなさい。
明日お前うちのクリニックに来て看護師の代わりをしてくれ。
えっ?刑事に余計な事ベラベラ喋るんじゃないってたしなめたら「しばらく有休をとらせて頂きます」ってへそを曲げられた。
わかりましたクリニックに行きます。
それであなた私がぶつかった車の事ですけど…。
こ…梢!?私はゆうべは頭が痛くて夜釣りに行く約束をキャンセルして家で寝ていたんだよ。
えっ…?
(村越)とにかく頼むぞ明日。
返事は?…はい。
(チャイム)はい?
(奈津子)「今村ですけど先生いらっしゃいますか?」少々お待ちください。
あなた今村さんっていう女性の方が…。
今村?先生覚えてらっしゃいますよね?山中由佳里さんを先生のクリニックにご紹介させて頂いた今村ですけど。
(奈津子)由佳里さんの事でちょっとお聞きしたい事があって。
(呼び出し音)「留守番電話に接続します」留守電ね。
ああ…あなた私さっき村越先生のお宅に伺ったんだけど私誰が由佳里さんを殺したのかわかった…。
誰?
(パトカーのサイレン)山中由佳里さんの事件と関係があるみたいね。
ああ。
あのマンションの管理人の奥さんだ。
奇妙な形ね。
手足の関節の硬直が強いわ。
詳しい事は解剖してみないとわからないけど死亡推定時刻は昨夜の21時から23時の間。
(南)ここが殺害現場ですかね?傷は見たところ左腕胸腹部右腕の4カ所。
ほぼ一直線上に並んでるわ。
傷はいずれも何か先端の尖ったもので刺されたような傷ね。
(今村)奈津子!ちょっと…!私がもうちょっとちゃんと心配してやればこんな事には…!
(大石)どういう事です?これを…留守電聞いてください。
(奈津子)「ああ…あなた私さっき村越先生のお宅に伺ったんだけど私誰が由佳里さんを殺したのかわかった…誰?」最初冗談かと思ったんです。
でも不安になって何度か電話したんですけどつながらなくて…。
奥さん何か言ってませんでしたか?山中由佳里さんが殺された事件について。
妻は山中さんを娘のように思ってました。
だから犯人を絶対に見つけるって言って…。
(村越)今村奈津子さんが殺された?現場はこの近くの浄水場なんです。
今村奈津子さんはゆうべこちらにいらしたそうですね。
ええ。
山中由佳里さんのアレルギーの事を聞きに来られました。
でも守秘義務があるので私は何も…。
(鳥のさえずり)…あれは?カナリアです。
亡くなった息子が好きだったものですから。
拝見出来ますか?…はい。
これは無覆のカナリアですね。
皮膚組織ね。
(南)犯人と争った時入ったんですかね?その可能性はあるわね。
桑田くん永岡くんにDNA鑑定してもらって。
(桑田)はい。
先端の尖ったもので刺されたと思われる傷が4カ所。
遺体発見時の写真を見せて。
(桑田)はい。
はい。
まず左腕に1カ所。
そこから21センチ離れたところに致命傷になったと思われる刺し傷。
さらに21センチ離れた右わき腹にも同じ刺し傷。
そして同じように21センチ離れた右腕にも1カ所。
(南)いずれも21センチ間隔の4つの刃…ですか。
(桑田)なんか一遍にグサッと刺されたようですしこの形状に合致した凶器を捜す必要がありますね。
うん…。
(美穂)昨日の夜管理人さんの奥さん少し変でした。
警察の人に何を聞かれたのかって…。
それで…?
(美穂)主人が話したんです。
あのねえカナリアのアレルギーについて聞かれましたよ。
アナフィラキシーショックが原因じゃないか…みたいな。
カナリアのアレルギー?
(谷村)カナリアへのアレルギーという話から今村奈津子は犯人が誰なのか突き止めたみたいですね。
ああ。
結婚式かあ…。
そういえば主任も生活安全課の伊藤の結婚式出るんですよね。
スピーチするんですって?まあな。
お前も出るのか?警察学校の同期ですからね。
でもあのスピーチって年寄りが出てくると大体パターン決まってますよね。
ええ…結婚生活には大事な袋が3つありまして1つ目は給料袋2つ目は堪忍袋3つ目は…あれ?3つ目ってなんでしたっけ?知るか!事件に集中しろ。
はい。
胃袋だよ。
これは違うな。
これかな?これは…。
いやあ…なかなかないっすねえ。
(南)「有覆無覆二羽いたカナリアの謎」「今村奈津子を殺害した凶器の謎」「刃の間隔が21センチ」「一直線の四カ所の刺し傷」いずれも難題ですねえ。
ではその難問にこの永岡がお答えしましょう。
まず「二羽いたカナリアの謎」。
これは犯人が2羽のカナリア有覆と無覆を鳥籠に入れてアナフィラキシーショックを起こさせるために山中由佳里さんのところへ持って行ったんです。
(南)そして有覆のカナリアだけが鳥籠から出てしまってもう1羽の無覆のカナリアは鳥籠に入れたまま犯人が持ち帰ったって言うんでしょ?みんなそれぐらいわかってますよね。
でもこの2番の問題はまだ糸口さえ見つかってないわ。
「一直線の四カ所の刺し傷」
(ため息)主任目撃者です。
昨日の夜の10時頃村越梢が今村奈津子ともめているのを見た人間がいます。
もめていた相手は今村奈津子に間違いないのか?はい。
写真で確認をとりました。
よし。
村越梢に任意同行を求めろ。
それとDNA鑑定を承諾させるんだ。
今村奈津子さんの爪の間にあった皮膚組織とあなたのDNAが一致しました。
あなたはゆうべ今村奈津子さんともめ殺害しましたね?そんな事してません!私はあの人が主人にカナリアのアレルギーの事を聞いていたので気になって追いかけたんです。
そうしたら…。
(奈津子)ああ…あなた私さっき村越先生のお宅に伺ったんだけど私誰が由佳里さんを殺したのかわかった…。
(梢の声)それで私…。
誰が犯人なんですか?教えてください!お願いします!誰が…!なんで?なんでよ!?なんで私があなたに教えなきゃいけないのよ!待って!待ってください!離してよ!待って…待ってください!待って!
(谷村の声)嘘をついても駄目です。
我々はこう考えています。
あなたのご主人の愛人であった山中由佳里さんをあなたはカナリアを使って殺害した。

(谷村の声)そしてその事を今村奈津子さんに気づかれ彼女も殺害した。
違います!信じてください私は誰も殺したりなんかしていません。
山中由佳里さんが殺害された夜あなたはひったくりに遭ったとおっしゃっていました。
その時にバッグを奪われたと。
それも嘘じゃありません。
そのあとあなたはそのひったくり犯を追いかけ車にぶつかった。
でも車を運転していた人が悪いんじゃないんです。
私が急に飛び出したから…。
どんな車です?色は?覚えてません。
一瞬の事だったので。
あなたまさか本当に村越梢さんが犯人だと思ってるわけじゃ…。
はあ…。
彼女が港南医大の学生だった頃お前随分彼女に目をかけていたそうだな。
法医学の道に進み監察医の資格をとらないかとも勧めた。
そんな事まで調べたの?だからお前が村越梢をかばいたい信じたいという気持ちはよくわかる。
だが全ての証拠は村越梢が今村奈津子殺しの犯人だという事を示している。
はあ…。
本当に…。
…あっ。
ねえカナリアのDNAは?村越梢さんが飼っていたカナリアのDNAと山中由佳里さんの口の中から出てきたカナリアの羽毛のDNA鑑定したんでしょ?うん。
カナリアのDNAは…一致しなかった。
ほらご覧なさい!でそれで夫の村越正彦はなんて言ってるの?妻を信じたいと言ってた。
だがそれ以上に俺たちが出入りする事でクリニックの評判が落ちないかそっちのほうを心配してた。
ああ…どうして自分の妻を全力で守ろうとしない…。
そんな事したら叱られますから…。
叱られるって…。
ちょっと待って!あなた…ご主人に言われたから退院するの?言われたとおりにしないと叱られますから。
「叱られる」。
どうした?あっううんなんでもない!私ちょっと用事思い出したから行くね!早紀。
ん?わかってると思うが出しゃばるなよ!もちろんよ〜じゃあね〜!村越くんの車かしら?あっ…ぶつかった跡!間違いないわ。
梢さんがぶつかったのはこの車よ。
(シャッター音)村越くん!人の車の写真を勝手に撮るなんてやめてもらいましょうか。
二宮先生あんまりいい趣味持ってませんね。
趣味じゃないわ!突き止めたのよ梢さんをはねたのはこの車だって事!なんの話です?梢さんはねあなたをかばってこの車にはねられた事を言わなかったのよ。
だってそれを言えば山中由佳里さんが殺害された晩あなたが彼女の部屋にいた事が明らかになるから…。
だから梢さんは…!はいはいはいはい!先生の推理ゲームに付き合ってる暇はないんです。
失礼。
出かけますんで。
私と一緒に警察行きましょう。
先生は…刑事ですか?なんの権限があってそんな事を?私は廃車にするんです。
新しい車を買う事にしたんで…。
そんな事させないわよ!先生は刑事なんですか?ちょっ…あっ。
(クラクション)
(携帯電話)俺だ。
あなた?私。
夫の村越正彦が怪しいわ。
梢さんをはねたのは夫の村越正彦の車だったのよ!だから彼をかばって…。
俺たちがその可能性を考えてないと思ってるのか?そんな事は織り込み済みだ。
早紀よーく聞きなさい。
余計な事をしないで…。
「おとなしくしてろー!」はあ〜でっかい。
だから嫌なのよ。
ただいま…。
な…なんですか!?叔母様。
え…ど…どうしたんですか?その格好。
あら似合うかしら?ええ…。
ほら結婚の話が話題になったじゃない?だからさ私も久しぶりに着てみたいなと思ってね小田原から送ってもらったのよ。
小田原から!?あの…これ昔お召しになったのを…。
あ〜もうよくお似合いです!フフフフ…。
だけどちょっとサイズが…。
ああ…そうなのよ。
ねえお肌やお顔は若い頃と全然変わってないと思うんだけれど体形がねえ…。
ショック。
ああ…それでそんなとこに張り付いてらっしゃるの?そう。
「背中のボタンが止まらない」…だけじゃなくて手がここまでしか上がらないのよ。
あら…。
背中おっぴろげ。
おっぴろげ!?もうノーガード状態よ。
ああ…ショック。
ノーガード…。
それに袖だってさ細いじゃない。
だからドレス着る時にこうやってぐーっとひじを曲げてやっとこさ入ったのよ。
30分かかっちゃった。
ひじを曲げる…。
ノーガード…。
そっか!あれは防御創だったんだ!防御創?今村奈津子さんの4カ所の刺し傷がほぼ一直線にこう並んでたんでそれで私たちは一度に刺されたものだと思い込んでしまったのよ。
永岡くんあなたはね犯人役。
はい。
さあこれを持ってちょうだい。
はあ…?なんなんですか?これ。
南ちゃんあなたは殺された今村奈津子さん役。
はい。
桑田くん。
ニンジンの先端に塗料を塗って。
はい。
オーケー。
(桑田)はい。
じゃあ永岡くん南ちゃんを襲って。
襲う…。
襲う。
ゆっくりね。
そっちからね。
南ちゃんもそっち。
ゆっくりよ!はい。
死ねー!
(南)あ〜っ!お〜…。
こら!スケベ男!いやいや…すみません。
まったくもう…見とれてるんじゃないわよ。
南ちゃんもこう防御姿勢をとってちょうだい。
ひじと腕こうギュッとね。
いい?いくわよ。
はい!ゆっくりね。
はいスタート!ブスッ。
ストップ!オーケー。
じゃあボタン閉めて。
はい。
いい?次はねこの写真のように致命傷になったこの胸と右わき腹に傷が付くようにニンジンで刺してみて。
スタート。
えいっ!ストップ!オーケー。
じゃあ南ちゃんは今村奈津子さんの死体が発見された時のこの形…。
でここに寝てみて。
そうそうここね。
こうですか?はいはいはい。
えーっとね…これがこうで…。
桑田くんどう?
(桑田)これなら写真と同じように斜め一列に傷が出来ます。
うん…。
つまり凶器はこれと同じような形をした2本刃のものでも十分って事よ。
もちろん凶器は犯人が持ち帰ったかもしれないけどでも一応念のためこの辺りを探してみましょう。
(永岡・桑田・南)はい!
(桑田)とがった凶器とがった凶器は…。
あっ…。
これじゃ無理だよね。
駄目だこりゃ。
違うな…。
これかな?細いな…。
これはないか。
(ため息)やっぱり持ち帰ったのかな?んっ…ふんっ!この形…!血痕?南ちゃん検査キット!これ…。
(南)はい。
(桑田)ああこの形…。
そう。
21センチ!先生…。
先生綿棒。
はい。
間違いない血痕だわ!桑田くんすぐ横浜東署に電話して鑑識さんに出張ってもらって。
はい!どうだった?付着していた血痕は今村奈津子のものだった。
あのガーデンフェンスが凶器だ。
でガーデンフェンスに指紋は?残っていたのはお前と桑田くんの指紋だけ。
(ため息)鑑識の話だと犯人はラテックスの手袋をはめた手で指紋を拭き取った可能性があるそうだ。
ラテックスの手袋?ラテックスの手袋に使われているパウダーがあのガーデンフェンスに付着していた。
ねえ梢さん呼んで。
彼女の無実私が証明するわ。
えっ?あなた私が法医学の最初の講義の時に話す話覚えてる?ラテックスの手袋の話…ですか?そう。
私言ったわよね?遺体にも生きている人間と同じように触れるべきだって。
外科医は手術の時にラテックスの手袋を使わない。
それは患者さんの中にラテックスアレルギー…つまり天然ゴムに対して過敏な反応を示す人がいるかもしれないから。
はい覚えてます。
ですから先生は他の法医学者はわからないが自分は解剖の時に決してラテックスの手袋は使わないそうおっしゃいました。
でもあなたはある解剖実習の時ラテックスの手袋をつけた。
いえあれは…。
わかってるわ。
あなたは本当はラテックスアレルギーを引き起こさない合成ゴムの手袋を用意していた。
でも隣にいた学生が私に目をつけられるのを恐れてあなたの手袋と自分の手袋を取り換えたのよね?その学生が今のあなたのご主人村越正彦。
それであなたはどうなった?うちの人に話して。
それが今回の事件と何か関係がある事なんですか?あなたの無実を証明するためよ。
話して!まだ村越くんをかばうの?いいわ。
このラテックスの手袋つけてみて。
片手でいいから。
ほら。
さあ!ほら!あっ…。
もういいわね。
取ってみて。
見て。
この人にはラテックスのアレルギーがあるの。
つまりパウダー付きのラテックスの手袋は使う事が出来ない体質なのよ。
ああ…。
ごめんね…乱暴な事して。
でも3日もすればじんましんは完全に引くと思うから。
ありがとうございます。
本当に先生にはなんてお礼を言ったらいいか…。
ううん。
ねえどうしてここまでご主人の事をかばうの?愛してるから?私…あの人のおかげで医者になれたんです。
私が学生の時父親が経営した会社が潰れて父と母が相次いで亡くなったんです。
それで私は経済的な理由から医者になる事を諦めるしかなかったんです。
それを救ってくれたのが当時交際していた村越の実家でした。
もちろん彼も私とは結婚するんだから頼むとご両親に頭を下げてくれて…。
でもそれだけじゃないんです。
私たちは結婚して子供が生まれました。
孝之というとても素直ないい子でした。
それが4年前…。
私がいけないんです。
あの子が心臓に重い病気を患った時私その時アメリカで師事していた先生が危険な手術だって言ってくださったのにあの子を救う道はそれしかないと思って手術を承諾して…。
私があの子の命を奪ったんです。
あの人の子供を死なせてしまったんです。
それであなたご主人に負い目を…?医者としても母親としても失格だと言われました。
それで私は医者を辞めました。
医者をやっていく資格なんて私にはないんです。
それは違うわ!医者は患者と一緒に病気と闘うの。
そりゃあ負ける事もある。
でも負けたからって病気と闘うのをやめてしまったら敵討てないじゃないの。
その経験を生かして病気と闘っていくのがその先にいる何千何万という患者さんのためなんじゃないの?そんな今のあなたを見て亡くなった孝之くんは喜んでくれるのかしら?
(孝之)ママ…。
(梢)ん?僕絶対病気に勝つからね。
でももし負けちゃったらごめんね。
でも負けちゃってもママ絶対敵討ってよね。
村越くんは間違ってるわ。
息子さんが亡くなったのはあなたのせいじゃないわ。
あなたは母親として医者としてそれしか助かる方法がないと思ったから手術を承諾したんでしょ?彼だって医者よきっとわかってるはず。
手術しか助かる方法はなかったんだって…。
でも…私の責任なんです。
あの人に申し訳ない…。
そうやってなんでも自分でかぶって自分を責め続けるのはやめなさい!夫婦は対等なの!夫婦を100としたらちょうど半分に割って50と50。
50と50を掛け合わせたら2500。
でも60と40だったら2400。
つまり対等でちょうど半分だからこそ一番大きな力が出せるの。
あなたはご主人に服従するんじゃなくて自分の足で立って自分の足で歩いてほしい。
孝之くんだってきっとそれを望んでると思うわ。
でも…。
でも何?でもこれが私の人生なんです。
先生本当に色々ありがとうございました。
主人のクリニックに行って手伝わなくてはいけないので失礼します。

(南)あとは「二羽いたカナリアの謎」これだけですね。
山中由佳里さんのマンション行きましょう。
もう一羽の無覆のカナリアが逃げ出す隙間とか穴とかがなかったかもう一度調べましょう。
換気扇とかそういう穴ですね?そう。
わかりました。
あっ南ちゃんお昼パスタ?ニンニク!あっ…すいません。
この間餃子作りすぎちゃって冷凍したんです。
それ今朝焼いて食べてきちゃったから…。
みんなでだよ。
みんなで食べたんだ。
餃子パーティーして。
愛介言ってたわよ。
南ちゃんの餃子ってすっごく美味しいんだって。
自分一人で食べるんじゃなくてみんなも呼んで餃子パーティーにすればよかったな〜って。
本当ですか?なんかうれしいな。
じゃあ今度は本当にみんなを呼んで餃子パーティーします。
その時は先生も来てくださいね。
もちろん!フフフフ…。
《愛介の奴嘘つきやがった!》あの…。
今村さんですよね?管理人の。
はい。
今村奈津子さんのご主人様…。
私監察医の…。
ああどうも。
横浜東署の許可はとってあります。
山中由佳里さんのお部屋を見せて頂けないでしょうか?はい電話で伺ってます。
すみません。
じゃあすぐご案内します。
はいどうも。
またくちゃいの?やだ。
(母親)大丈夫よ。
管理人さんさび落とし剤変えてくれたんですよね?ええもちろんです。
トルエンの入ったやつは2カ月前から使ってません。
ああ…よかったね。
だから安心して。
もう大丈夫だよカスミちゃん。
もうくちゃくないからね。
うん!あっすみません。
すみませんどうも。
よしじゃあ行こうか。
ねえ。
臭くないね。
よし行こう行こう。
大変なんですね管理人さんのお仕事も色々…。
業者に頼むと高くつきますからね。
管理会社からも言われてるんです。
自分でやれる事は全てやってくれって。
まあなんでも屋みたいなもんです。
こちらになります。
(美穂)ふざけないでよ!あんたなんかね名誉毀損で訴えてやるから!面白いねやってもらおうか!はあ?どうなさったんですか?町田さん。
この人がねインターネットに書き込んだんですよ。
山中由佳里さんを殺したのはうちの妻だって。
断定はしてないですよ。
「かもしれない」って。
同じ事でしょ!なんでそういう根も葉もない事書き込むのよ!だって俺見たんですよ。
2週間前あんたの飼ってたカナリアがあの山中由佳里に水鉄砲でなんか変な液体かけられてるところを。
ピーコ?
(美穂)由佳里何してるの!?
(鳴き声)
(町田)なんの話だ?君の飼ってたピーコは病気で死んだんじゃないのか?そうか…旦那さんにまでそういうふうに嘘ついてたんだ?…って事はあんた最初からカナリアの敵討つつもりだったんだ?
(町田)そうなのか?美穂。
嘘よ!この人は嘘ついてるの。
町田美穂さん少しお話を伺いたいので署までご同行願えませんか?美穂!あなたは山中由佳里さんが殺害された日の夕方港通りのペットショップでカナリアを1羽購入なさってますよね?美穂!違う…。
あなた信じて!私殺すつもりはなかったの!それに管理人さんの奥さんを殺したのは私じゃない!ハハハハ…。
山中由佳里を殺した事は認めてやんの。
あっ…。
なあ美穂!
(谷村)お願いします。
何かがおかしい…。
美穂には人を殺す事なんか出来ない。
(町田)この指が…。
あっ痛っ…。
指!こっちを見て…。
ちょっと〜!もう!
(美穂)もうびっくりした!これは誰かの罠だ…。
絶対…犯人は別にいる…!本当は私高校時代由佳里をいじめてました。
でも3年前立場が逆転したんです。
(有田)んっ?何があったんです?3年前。
私は結婚式当日その時の結婚相手に逃げられて…。
冗談じゃないわよ!私が悪いの?ねえ?嫌なら式の前に言ってくれればいいじゃん!もう恥ずかしくて友達に会えないよ…。
(泣き声)
(由佳里)お察しします。
どうぞお客様ハンカチをお使いください。
由佳里?
(美穂の声)それが私たちの10年ぶりの再会でした。
私はその時のショックから立ち直ってようやく先月結婚出来たんです。
それでマンションに引っ越してお隣にごあいさつに行ったらそれが由佳里で…。
あら美穂じゃない。
ああ…隣に引っ越してきました町田です。
へえ〜今度は結婚出来たんだ?「今度」?
(由佳里)あっいえなんでもないんです。
フフフッ!おめでとうございまーす!それからは針のむしろでした。
そして私が飼っていたカナリアで由佳里がアレルギーを起こし…。
私は約束させられたんです。
カナリアを絶対ベランダに出さないと。
でもあなたは出してしまったんですね?カナリアは1日に30分くらい日光浴させたほうがいいんです。
だから由佳里の留守を狙ってつい…。
でも私が買い物でちょっと帰りが遅れた時…。
(美穂)由佳里何してるの!?次の日の朝ピーコが死んで…。
私は由佳里に食ってかかりました。
だからそんな事やってないわよ!証拠あるの!?やってたじゃない!私見たんだから!じゃあ私あなたが高校時代ものすごい性悪のいじめっ子でなおかつ3年前みじめに捨てられた女だってあなたのご主人にしゃべっちゃうけど。
(美穂の声)許せないと思いました。
だからあの日主人が留守の間にカナリアを購入し私は…。
ピーコの敵よ。
さあアレルギーを起こして苦しめばいい!
(鳴き声)やめて!うっ…やめて…。
息が…苦しい…。
うっ!うっううっ…。
うっ…ううっ…。

(美穂の声)それからカナリアを慌てて逃がし鳥籠は持ち帰り隠しそのあと帰ってきた主人と一緒に主人の実家へ向かったんです。
そうじゃないでしょう?あなたは山中由佳里さんの頭をつかみとどめを刺すために何度もテーブルに叩きつけたんでしょう?彼女の頭を!そんな事してません私絶対に!本当に怖くなってすぐに由佳里の部屋を飛び出したんです。
いやあ言いすぎました。
申し訳ありません。
あなたが購入したカナリアは白い縁取りのない無覆のカナリアだった。
そうです。
うちのピーコが無覆だったから同じ無覆のカナリアで敵を討とうと思ったんです!だが遺体が発見された時あの部屋には縁取りのある有覆のカナリアが飛んでいた。
そうなんです。
だから私びっくりしちゃって。
きっと誰かが由佳里を殺したのはお前だとわかってるぞって私に知らせるためにカナリアをあの部屋に入れたんだと思います。
もう…私本当…バカな事しました…。
(泣き声)出かけるぞ。
あとは閉めていってくれ。
あなたには自分の足で立って自分の足でしっかり歩いてほしいの。
亡くなった孝之くんもきっとそれを望んでるはずよ。
(村越)おい。
おい!何考えてるんだ?一体。
ごめんなさい…。
俺は出かける。
あとは閉めていってくれって言ったんだ。
はい…わかりました。
(ドアの開閉音)ああ朱美か?俺だ村越だ。
今日同伴してやってもいいぞ。
フフフフ…。
わかった。
いつもの寿司屋で。
フフッ…。
動くな。
騒いだら刺すぞ。
な…なんのまねだ!?金なら渡す!俺は美穂のぬれぎぬを晴らしに来たんだ!見たんだよ!だから今はまだクリニックを開業した時のローンも完済してないし…。
もう少しだから…。
そんな事言って本当は奥さんと別れる気がないんじゃないの?
(村越)もう…毎回毎回なんでそうやって追い詰めるんだよ!あんたは山中由佳里の男で山中由佳里が通ってるクリニックの医者だってな。
あんたなんだろ?山中由佳里と管理人の奥さんを殺したのは!違う!私じゃない。
信じてくれ!わ…私は犯人に心当たりがあるんだ。
(町田)誰だ!?じゃあ犯人は!
(パトカーのサイレン)
(ため息)この人は…。
町田誠49歳。
取り調べ中の町田美穂のご主人だ。
検視頼む。
主任!こんなものがあそこに落ちていたそうです。
「M.MURAKOSHI」ママ…やっぱり駄目なのかな?このままじゃ…。
(メールの着信音)
(村越)「梢へ」「まず君に謝らなくてはいけない」「これから先君に迷惑をかける事になる」「実は私は…」これは…。
村越正彦が自殺する!?そう奥さんにメールをよこしたんだ。
これがそのメールだ。
転送してもらった。
(有田)じゃあ村越正彦は町田誠殺しを認めたんですか?
(大石)山中由佳里と今村奈津子の殺害もな。
あの夜山中由佳里の部屋を訪ねようとしていた村越正彦は由佳里の部屋からカナリアが飛び立つのを見ておや?っと思ったらしい。
由佳里!
(由佳里の荒い息遣い)隣の美穂に…カナリアを押しつけられたの…。
苦しい…。
(大石)その時村越の中に殺意が生まれたらしい。
ずっとしつこく結婚を迫られていた。
この際だから殺してしまおうと。
うっ…キャーッ!
(テーブルに叩きつける音)じゃあそのあと村越は…。
ペットショップに行きカナリアを購入し山中由佳里の部屋に放ったとメールにはあった。
そして管理人の妻今村奈津子にそれを見抜かれ…。
(有田)で町田誠は?
(大石)妻の町田美穂の無実を証明しようとした町田誠がお前が犯人なんだろう?と村越に迫り…。
違うと言ってるだろう!
(携帯電話)俺だ。
うん…うんわかった。
町田誠の服に付着していた髪の毛は村越正彦のものと一致した。
ハンカチに付いていた血痕は村越正彦と町田誠のものだった。
村越を緊急手配。
一刻も早くその身柄を確保するんだ。
いいな?
(刑事たち)はい!
(梢)二宮先生!
(小池)奥さん!先生主人が…。
聞いたわ。
でも主人は犯人じゃありません。
あんなメールは嘘です。
きっと真犯人が打ったものです。
先生!どうか先生の法医学で被害者の方の声を聞いて主人の無実を証明してください!そうしないとまたご主人に叱られるから?主人はメールで私に謝ってきました。
「まず君に謝らなければいけない」「これから先君に迷惑をかける事になる」と。
でもあの人はたとえ自分が悪くても私に謝るような人じゃない。
そんな殊勝な人じゃないんです!私は検視と解剖に自分の感情を持ち込まないの。
亡くなった人の声に耳を傾けるだけ。
それが私の信条。

(ドアの開閉音)致命傷になったのは恐らくこの胸の刺傷ね。
んっ?これは…。
爪の痕?こっちは圧迫痕ね…。
親指?
(南)先生これも…。
うん…。
奇妙な爪痕と親指の圧迫痕ね。
桑田くん生活反応があるかどうか永岡くんに調べてもらって。
(桑田)はい。

(ノック)はい。
徹夜か…。
まあね。
はい死体検案書。
はい。
死因は胸部刺傷による失血死。
凶器は恐らくナイフね。
ねえどう思う?何が?梢さんの「主人は私に謝るほど殊勝な人間じゃない」って言葉。
うーん…俺たちにも言ってた。
確かに俺も村越正彦のメールには違和感を覚えた。
何よりしゃべりすぎだ。
私甘いのかな?彼女を信じたい。
(ため息)早紀…もう一度遺体の声を聞きに行くのか?うん。
無理するな。
寝てないんだろう?大丈夫。
わかった俺も付き合う。
倒れられたら困る。
ありがとう。
早紀。
駄目。
何も話してくれない。
そうか…。
もう帰って休め。
(ため息)ただいま。

(七海)「哀しいこともないのになぜか」また…。

(七海)「ウナ・セラ・ディ東京」もうやめてくれよ叔母さん。
ウ〜!ああもう!ハハハハハハ…。
どうしたの?愛介あなた新聞社は?まあ徹夜お疲れさまでした。
この子ね今日午後出らしいのよ。
なんか元気がないからねまあ理由を聞いたらさ南ちゃんとけんかしたらしいの。
けんか?あっ早紀さん今喜んだ!ハハハ…。
黄色いグッズもこんなに増えてるしそのおかげかも。
喜んでなんかいませんよ。
やだわ叔母様。
やめてください。
もう人聞き悪い。
知らない人が聞いたら本気にするじゃありませんか。
あら知ってる人が聞いたらやっぱりねって思うわよ。
早紀さんは愛介の結婚に反対だから。
あっちょっと…反対なんかしてないわよ結婚に。
もうやだ。
叔母様の事信用しないで。
ねえ…でなんでけんかしちゃったの?いやつまんない事さ。
僕がホラー映画嫌いだって言ったら南ちゃん笑ったんだよね。
男のくせにだらしないって。
何?そんな事…そんな事であなたたちけんかしちゃったの?だって怖いじゃんゾンビなんかさ。
気持ち悪いし。
それであんまり笑うからそっちはいいよね見慣れてるからって。
はっ…まさか…!ええ!?ちょっとあなた…南ちゃんにそう言っちゃったの?言ったよ。
だって南ちゃん毎週1本は見てるらしいんだ。
ゾンビが出る映画。
あっ…そういう意味…ゾンビの映画。
ああ…。
でもそれは駄目よ。
南ちゃん気を悪くするわよ。
私だって気分悪いもん。
私たち法医学者は死体見慣れてるだろってそういう意味に取れちゃうもん。
いやいやそういう意味じゃないよ。
駄目だわもう駄目。
ああもうこの恋はないわね。
もうジエンド。
ない!ちょちょ…ちょっと待ってよお母さん縁起でもない。
(愛介)ちょっともう…。
いいじゃないの愛介。
ねっ!ふられたあなたのほうがずっと哀愁があるわよ。

(七海)「あの人はもう私のことを」「忘れたかしらとても淋しい」ああ…やめてよ叔母さん本当に怒るよ!もう!あ〜あかわいそうね。
本当にかわいそう。
ウフフフ…。
叔母様ストップ!はっ?あの親指の圧迫痕今の叔母様と逆の外側についてた。
それにあの爪のカーブ…。
そうよ…。
叔母様ちょっとごめんなさい。
立って立って立って。
それでくるっと回って…。
えいっ!あっ!何これ?そうよ。
こういうふうに乗っからなきゃあんな形にはつかないわ。
あっ永岡くん?あの爪痕と親指の圧迫痕生活反応あった?ない…。
じゃあみんなを集めて。
実験するわよ。
まず注目すべきは町田誠さんの遺体のこの爪の痕と親指の圧迫痕には生活反応がなかったって事。
死後についたって事ですよね。
そう。
でも先生それは殺したあとでその遺体をどこかに移動させようとした時に手の痕がついたんじゃないですか?桑田くんの体にはこの遺体と同じように爪の痕と親指の圧迫痕が2カ所ついてる。
実験くん君が言ったように遺体を移動させてみて。
えいっ。
(永岡)よしじゃあこの辺だな。
えっ…これが親指?じゃあこうか。
で爪が…こっち?こういう事か。
でもこれじゃ力が入んないよ全然。
押したり引いたりできないよ。
はいオーケー。
じゃあ実験くん今度は実験くんが町田さんの役。
じゃあスローモーションでね。
(桑田)はい。
私が桑田くんを突き飛ばす!わあー!はいはいはいはい…。
それでその親指と爪位置をちゃんと意識してそして実験くんの上に倒れる。
ああ…。
あー!はーい!はいじゃあ立って。
南ちゃんどう?
(南)ほとんど同じです。
…って事はこの爪痕親指の圧迫痕が村越正彦のものだとすると村越正彦は誰かに押し倒された。
いやそうとは限んないよ。
例えば村越正彦が町田誠ともみ合ってもみ合ってる時に手の痕が…。
あっそれはないんだ。
生活反応がないんですからね。
そういう事。
ねえ桑田くん鑑識さんのほうには何か別の証拠が上がってきてない?例えば…村越正彦以外の誰かの髪の毛が付着してたとかそういう…。
(桑田)えっと…。
うーんないですね。
(ため息)まあまあ強いて挙げるならトルエンの成分が町田誠のズボンに付着していた事ですかね。
トルエン…。
トルエンはさび落とし剤とかに有機溶剤として使われますが町田誠って人は工業高校の先生だったんでしょ?
(桑田)別に珍しい事じゃ…。
トルエン…。
さび落とし剤…。
トルエンの入ったやつは2カ月前から使ってません。
町田夫妻があのマンションに引っ越してきたのは1カ月ほど前だってうちの人言ってた。
ズボンにトルエンが付着するわけないわ。
いや…ですから工業高校で…。
そうよね!だからあなたたちは町田さんが勤めていた工業高校に行って彼が最近トルエンを使っていたかどうかそれを調べてきてちょうだい。
私はね管理人さんのところに行ってトルエン入りのさび落とし剤どこに保管してあるのか聞いてくる。
えっ…先生!また鉄砲玉みたいに…。
二宮警部に電話してくださいよ!するわけないでしょ電話なんて。
すれば絶対大声で止められるんだから。
はっ…!はあ…でもしなきゃ駄目かな?いや…また大声で怒鳴られるだけだ。
おとなしくしてろー!いやいやいや…でもしなきゃ。
いやあ…やめとこう。
ラテックスの手袋…。
ロープ…。
(落下音)これはこれは監察医の先生。
こんなところで何を?ここにいるのね。
村越正彦。
あなたそのロープで彼を自殺に見せかけて殺そうとしてる。
なんの話です?監察医の先生ってのは想像力がすごいんですね。
どうして山中由佳里さんを殺したの?なんの話を言ってるのか…。
(物音)
(物音)図星のようね。
彼女は素晴らしい女性でした。
私を励まし私に生きがいを与えてくれたんです。
あなた付き合ってたの?山中由佳里さんと…。
(由佳里)うわあ。
素敵。
私こういうの欲しかったんだ。
(由佳里)ありがとう。
大好き!
(今村の声)色々なものをプレゼントしました。
でも…あの子は私からこれ以上しぼり取れないと思ったのか家内から紹介された村越って医者に乗り換えたんです。
ごめん。
やっぱり合わないのよ。
おじさんと私じゃ…。
私お医者様と結婚するつもりだから。
(由佳里)諦めて私の事。
ちょっと…そ…そんな…。
むなしいですよね。
おかげで私は何もなくなった。
でも…あの夜私は見たんです。
あの子のベランダの窓からカナリアが飛んでいくのを…。
(今村の声)カナリアのアレルギーの事は聞いてたんでこれは大変だと思ってあの子の部屋に行ったんです。
由佳里さん!
(由佳里)ハア…ハア…。
隣の美穂にやられたの。
ハア…ハア…。
警察に電話して。
ハア…ハア…。
それと医者。
ハア…ハア…。
ぐずぐずしないで!何ボケッと見てんのよ!
(今村の声)その時私はなんだかやりきれなくなった。
(今村の声)人の事をもてあそびボロクズのように捨てたあの子がこの私に口汚く命令する。
ふざけるな…。
(今村の声)気がついたら私はあの子の頭をつかんでいた。
ふざけるな!
(テーブルに叩きつける音)ふざけるなっ!ふざけるなっ!冷静になり大変な事をしてしまったと思いましたよ。
それで私はこの罪は町田美穂に着せるしかないと思ったんです。
だから自分の家に戻り家内が飼ってたカナリアを持ってきて…。
あの部屋に放ったんです。
由佳里さんの部屋に飛んでたカナリアはあなたの奥さんが飼ってたカナリアだったのね。
私が出版社をリストラされてからは家内とはうまくいっておりませんでね。
この三月ほど別居状態で家内は実家に帰っていたんです。
それがたまたま離婚の話をしに帰ってきてカナリアのいない事に気づいたんです。
もちろん私は言いましたよ。
逃げてしまったんだって。
でも家内は信じずあれこれ調べ始めた。
(奈津子)私誰が由佳里さんを殺したのかわかった。
(奈津子)誰?
(梢)誰が犯人なんですか?教えてください。
誰が犯人なんですか?
(奈津子)なんでよ!なんで私があなたに教えなきゃなんないのよ。
(梢)待って!待ってください!
(奈津子)離してよ!それで邪魔者がいなくなったところで家内に聞いたんです。
(今村)留守電聞いたよ。
誰が犯人なんだ?あなたなんでしょ。
でも私…誰にも言わない。
だからお願い。
私と離婚して!そんな条件のめないよ。
(奈津子)ううっ…!あっ…!
(奈津子)ううっ…!うっ…ううっ…うっ!ううっ…!はっ…!ううっ…!
(今村)ぐっ…!ああっ…!ハア…ハア…ああーっ!ああ…。

(ため息)町田誠さんはなぜ?なぜ殺したの?あの男は最初は村越を疑ったんです。
私は犯人に心当たりがあるんだ。
由佳里から聞いていたらしいんです。
管理人にストーカーのようなまねをされて困ってる。
引っ越したいと…。
それであなたは町田誠さんに呼び出されたのね。
しらばっくれるな!村越はな管理人のあんたを怪しいって言ってんだよ!
(町田)女房にぬれぎぬ着せたのもあんただろう!何を言ってるんです?私は家内を殺されてるんですよ。
とぼけるな!お前の女房殺したのもあんただろ!
(今村の声)でも町田は私の話を信じてくれませんでした。
彼を無視して立ち去ろうとした私を追ってきてそしてナイフで飛び掛かってきたので仕方なく…。
あっああ…あっ…。
放せ!
(村越)うあっ!うあっ…!
(村越)待ってくれ!あんたの事は誰にも言わない。
だからだから…命だけは…。
でもこうなった以上誰かにすべて罪をかぶって死んでもらうしかないんでね。
(今村の声)あの村越を利用させてもらう事にしたんです。
おしゃべりが過ぎましたね。
じゃあ…あなたにも死んでもらいます。
50掛ける50なのよ!なんだ?それは。
えいっ!夫婦は50掛ける50。
100を割った時掛け合わせて一番大きくなるのは50掛ける50!現実はそんなうまくいかねえんだよ!みんなそうよ!だけどなんとかそこに近づけようと努力するのよ!うちの夫婦はね…うちの人と私は凸凹だけど…だけど…。
なんとかしようと努力してるの!そうよね?あなた。
そういう事だ。
うちの人にはいつも勝手なまねするなってどやされるから素直な私は歩み寄ってここに入る前に電話しておいたのよ!素直…。
確保!はい。
(せき払い)何が素直な私だ。
あっ!村越くん。
あの奥にいるから救出。
ん?してあげてほら!ほら!ん…ああ!大丈夫ですか?ごめんね。
大丈夫?うう…くそっ!あなた!まずは病院だ。
待って!その前にきちんとお礼を言わないと。
私聞いたの。
二宮先生が法医学で犯人を見つけてくださったって。
冗談じゃない!この人はな私を犯人扱いしたんだ!なんで私が感謝しなきゃいけないんだ!そんな…。
いいのよ梢さん。
法医学はみんなのためのものよ。
私は亡くなった人の声を聞いて届けただけ。
二宮先生…。
そりゃな私は由佳里の死体を見て怖くなって逃げたよ。
でもな警察がもっと早く犯人を捕まえていれば私はこんな目に遭わなくて済んだんだ。
逆に警察に謝ってもらいたいね。
ご迷惑をおかけしましたとご迷惑をおかけして…申し訳ありませんでしたと…。
村越くん。
おっしゃるとおりです。
申し訳ありませんでした。
情けない…。
情けないです先生…。
私…。
こんな人を支えてきたんですね。
はあ?お前何言ってんだ?お前は俺がいたから俺のおかげで医者に…。
先生…。
私…自分の足で歩きます。
小児科医に戻ろうと思います。
(梢)戻れますよね?戻れますよねじゃなくて戻らなきゃいけないの。
亡くなった息子さんのためにも。
はい…。
おい待て!お…俺を放っとくのか?お前なんかな一人じゃなんもやっていけないんだぞ!あの旦那は0点だな。
気の毒ね。
やっぱり夫婦っていうのはうちみたいに5050じゃないとね。
うちは19で9お前な。
何言ってんのよ。
ねえそれよりさあのカナリアちゃんは警察に返しちゃったじゃない?なんかリビングのあそこに飾る黄色のご本尊様みたいなのなんかないかな?お前いつからそういう占いに凝ってるんだよもう。
自分だってそんなスピーチの本何冊も何冊も買っちゃって。
大体ね結婚して大事にしなきゃいけない袋っていうのはねお袋。
これ決まってんの!お袋胃袋堪忍袋!カナリアか!俺はなそういうスピーチやめた。
年寄りくさい。
なんで?年寄りじゃん…。
ハハッ…何?ああ!赤い靴じゃなくて黄色い靴履いた女の子っていないのかな?いないんじゃない?あら…ねえあれ愛介じゃない?おい!何やってんだよ。
イテテテ…。
あっ!南ちゃんも一緒!えっ…!何?うん…。
ちょっと驚かしてやるんだから。
おい!ちょちょちょっと…。
南ちゃん。
僕と結婚してください。
僕が必ず君を幸せにします。
愛介くん…。
結婚!?ちょっと待った!うう…。
イタッ…!ぷはっ…!なんだって!?指ちぎれる…!クッ…ああっ!?おっ…。
2015/11/28(土) 21:00〜23:06
ABCテレビ1
土曜ワイド劇場「法医学教室の事件ファイル41」[デ][字]

愛人は二度死ぬ!女医の教え子が殺人!?現場から消えた“変身するカナリア”の謎とゴム手袋アレルギーが暴く、夫婦の秘密!!

詳細情報
◇番組内容
超人気ロングランシリーズ第41弾!ウエディングプランナーの女性が殺害された!現場を飛び回っていたカナリアの謎…!!監察医・二宮早紀の教え子が、容疑者として浮上するが…!?
◇出演者
名取裕子、宅麻伸、由紀さおり、中山忍、大浦龍宇一、小木茂光、山下容莉枝、三津谷葉子、井田國彦、佐野和真、中村静香、本村健太郎
◇スタッフ
【脚本】今井詔二
【音楽】岩間南平
【監督】長尾啓司
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/dwide/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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