[PR]

 横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、マンションの管理組合は29日、建て替えなどの意向を尋ねた住民アンケートの結果を公表した。全705戸のうち、7割近い476戸が全棟建て替えを希望した。

 アンケートは11月9~18日に管理組合が無記名で実施。現時点の考えとして、全棟建て替え▽一部の棟を建て替え▽傾いた棟の杭だけを補強▽事業者による買い取り――の中から選択式で尋ねた。回収率は91・3%で、644戸が回答した。

 管理組合によると、全棟建て替えを希望したのは、476戸(回答した戸数の74%)。以下、買い取り63戸(同10%)、一部建て替え59戸(同9%)、傾いた棟のみの杭補強19戸(同3%)の順だった。複数回答も一部あった。

 区分所有法によると、都筑区のマンションの場合、全棟建て替えには所有者全員の5分の4以上の賛成が必要。1棟だけ建て替えの場合は、その棟の所有者5分の4以上に加え、他の棟を含む全所有者の4分の3以上の賛成が必要となる。

 管理組合は「アンケートは現状把握が目的で、この結果を受けて対応方針を決定するものではない」としている。今後は専門家の意見などを踏まえ、方向性を決めるという。

 販売元の三井不動産レジデンシャルは住民側に「基本的枠組み」として全棟建て替えのほか、各棟ごとの建て替えを提案している。

 杭データの偽装が見つかった棟に住む50代の会社員男性は「大地震が来たら不安」と、全棟建て替えを希望する。アンケート結果について「いい方向だ。早く(全棟建て替えの)決議ができるのでは」と話した。

 別の棟に住む30代の主婦も全棟建て替えを希望するが、「小1の娘がいる。建て替えになっても引っ越しまで何年かかるかなど、不安はある」と話した。(永田大、興野優平)