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【スポーツ】

[フィギュア]羽生がV 史上初の300点突破

2015年11月29日 紙面から

得点が発表され顔を手で覆う羽生結弦=長野市ビッグハットで(田中久雄撮影)

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◇フィギュアNHK杯

 ▽グランプリ(GP)シリーズ最終戦▽28日▽長野市ビッグハット▽男女フリーほか

 男子はショートプログラム(SP)1位の羽生結弦(20)=ANA=がフリーで3度の4回転ジャンプを含む全ジャンプを成功させ、史上初めて200点を超える216・07点、合計でも史上初めて300点を突破する322・40点をマークし、3年ぶり2度目の優勝を果たした。3連覇が懸かるグランプリ(GP)ファイナル(12月10日開幕、スペイン・バルセロナ)進出も決まった。女子は、SP1位の宮原知子(さとこ、17)=大阪・関大高=がフリーも1位で初優勝。SP4位の浅田真央(25)=中京大=はフリー2位で総合3位に入り、ともにGPファイナル出場を決めた。

 会場中が歓喜に包まれ、浮足立った。五輪王者の羽生がたたき出した世界最高得点が、電光掲示板に映し出された。史上初となるフリー216・07点と合計322・40点という驚異的な数字が並んだ。驚きとうれしさではじけた笑顔を両手で覆いながら、羽生はオーサーコーチと喜び合った。

 演技直後の優勝スピーチでは、興奮を隠しきれない様子の羽生がいた。「本当にうれしい。スコアにはびっくりしました。スケートカナダからNHK杯まで血のにじむようなつらい練習をしてきた。だから、やってやるとは思っていました」。

 若き王者が目指すのは、小さいころから憧れるプルシェンコのような「絶対王者になること」。その領域に行くには、どん欲に自身のレベル向上を積み上げ続けるという信念がある。

 そんな20歳が塗り替えた歴史について、まな弟子の快挙を冷静に受け止めるオーサーコーチは「(2位だった)カナダ大会後、勝つことが大好きなユヅルは、人が変わったように練習に励んでいた。今回の出来事は長く話題になり続けると思うし、この記録は彼自身が破るでしょう」と紅潮した顔で語った。

 この日は会場入りする前から、「いろいろ考えて緊張していた」という。それでも、その緊張をしっかりとコントロールして試合に臨めたことで、「一生懸命に」取り組んだ練習通りの成果につながったようだ。

 この日のフリーは変な力みもなく、最後まで気持ちが入っていた。鮮やかに跳んだ冒頭の4回転サルコーから余裕があった。続く、4回転トーループも成功すると、波に乗る。プログラム後半にある課題の4回転トーループには3回転トーループをつけて完ぺきな連続ジャンプにしてみせた。前日のSPで初めて試合で決めた大技を、難なく成功させてしまうところが負けず嫌いな羽生の強さのゆえんと言えるのではないか。

 これまでチャンが持っていたフリーと合計の歴代最高得点は196・75点と295・27点だった。それを塗り替えると同時に、羽生自身も自己ベストをフリーで21・99点、合計で29・15点も更新した。この偉業を携えて挑む来月のGPファイナルでは、どんな演技で史上初の3連覇を達成するのか、楽しみがまた増えた。 

  (辛仁夏)

 

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