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日本兵の手紙、小学校に大量保管 京都・南丹

胡麻郷小に残されていた「支那事変郷土勇士通信集」
胡麻郷小に残されていた「支那事変郷土勇士通信集」

 京都府南丹市日吉町の胡麻郷小に、日中戦争(1937~45年)初期に兵士が戦地から児童らへ送った大量の手紙が保管されていることが、このほど分かった。子どもたちが送った慰問文の返事として書かれたもので、駐留地での暮らしや戦況がつづられている。送った本人や子孫が閲覧して当時に思いをはせている。

 前校長が校長室の金庫を整理していた際、「支那事変郷土勇士通信集」と記された厚いファイルを見つけた。30年代に中国の駐留地から送られた手紙やはがきを中心に、200通ほどが保管されていた。

 手紙には、「盡忠(じんちゅう)報国の誠を尽くし第一線の重責を全うすると共に皆さんの期待に報いたい」との決意や、「彼(か)の要衝大別山を突破し」などと戦況が記されている。また「これから一生懸命に勉強して下さい。お庭のさくらも今に咲く事でしょう。支那の子供も広い大地で元気に遊んでいます」と、若者の優しい目線が感じられる言葉も並ぶ。

 戦地から送った宇野由二さん(99)=日吉町=は9月、茶色く変色した自分の手紙と対面し、「懐かしく、当時を思い出した。ばかな戦争は決して起こしてはいけない」と力を込めた。

 同町の塩貝勲さん(75)は、生前に戦争の話をまったくしなかったという亡父義雄さん(享年96)が送った手紙を見つめ、「初めて父の戦争体験に触れることができた。苦労や秘めていた思いが少し分かった気がする」とつぶやいた。

 市文化博物館は「日中戦争時の手紙が大量に保管されているのは、市内では珍しい。戦争の歴史を伝える貴重な資料」といい、同小は「授業などで活用し、子どもたちに歴史を伝えていきたい」としている。

【 2015年11月28日 10時35分 】

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