経営者はすでにデジタルやマーケティングの重要性を理解している
2015年7月23日(木)、Kaizen Platformとしてマーケター向けの初主催イベント「Kaizen Growth Drive 2015」を開催しました。企業のマーケティングリーダーを対象とした本イベントは、「優れた顧客体験(UX=User Experience)をどうすれば継続的に提供できるのか?組織のあり方や個人に求められるものはどう変わるのか?」というデジタル時代にお客様が直面する本質的な課題をテーマに行われました。
当日は会場の収容人数200名を超える多くのお客様にご来場いただき、活発な議論が交わされる大盛況のイベントとなりました。開催後の当日アンケートからは、92%の方が全体を通じて満足したと回答しています(「とてもよかった」「よかった」の合計)。コメントもたくさんいただきました。それらを一部紹介しながら、本ブログにて、イベントの内容と様子を簡単にレポートします。
当日のアジェンダ
Time | Contents |
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13:30-13:35 | ご挨拶Kaizen Platform, Inc. Co-Founder & CEO 須藤 憲司 |
13:35-14:15 | 特別講演 「どうすればCMOを日本に根付かせられるか」株式会社warmth(CMO支援サービス) 代表取締役CEO オイシックス株式会社 執行役員CMO 西井 敏恭 |
14:15-15:05 | 基調講演 「最高の顧客体験を提供していくためのマーケティング組織とは?」ヤフー株式会社 マーケティング&コミュニケーション本部 本部長 友澤 大輔 氏Kaizen Platform, Inc. Co-Founder & CEO 須藤憲司 |
15:05-15:20 | Break |
15:20-16:10 | パネルディスカッション 「顧客体験の向上で事業成長を担う、デジタルマーケティングの今とこれから」株式会社アイム 国際部 ゼネラルマネージャ 山下 省三 氏ライフネット生命保険株式会社 お申し込みサポート部 部長 吉見 隆史 氏 リンナイ株式会社 eビジネス推進室 室長 Kaizen Platform, Inc. Head of Customer Success 《進行》 |
16:10-17:10 | 参加型セッション 「3年後の企業目標から考えるサイトKAIZEN〜現状把握から始める明日へのステップ」Kaizen Platform, Inc. Customer Success Lead 高橋 歩 |
17:10-17:20 | Break |
17:20-18:00 | 特別講演 「顧客体験価値と事業創造」UBER JAPAN株式会社 執行役員社長 髙橋 正巳 氏《インタビュアー》 株式会社宣伝会議 マーケティング研究室室長 兼 宣伝会議編集主幹 谷口 優 氏 |
18:00-18:20 | ご挨拶Kaizen Platform, Inc. Co-Founder & CEO 須藤憲司 |
18:30-19:30 | 懇親会 |
特別講演:どうすればCMOを日本に根付かせられるか
食材ネットスーパー オイシックスのCMO(最高マーケティング責任者)であり、CMO支援サービスwarmthのCEOでもある西井氏による特別講演は、「どうすれば日本にCMOを根付かせられるか」というテーマで行われました。
参加者の声
- まず何をすればいいかイメージが湧いたので、非常に勉強になりました。
- 自分のチームの状況と比較、課題発見につながったのでよかった。
- ユーザーエクスペリエンスを高めるという視点の大切さを再認識した。
- 実例も交えてのお話だったのでわかりやすかった。
- 自社としてはCMO以前にマーケティング組織の確立が必要。
CMOとはそもそも何なのか、オイシックスの事例、CMOの役割、そして根付かせるためにできることについて、豊富な経験から示唆に富んだ話を伺うことができました。
CMOとは、「売上の責任を持てる」「事業を上から下まで見える」人であり、CEOやCOOが見えていないお客様との接点になれる人。多くの経営者はすでにデジタルやマーケティングの重要性を感じており、その要望を満たすCMOには圧倒的な勉強量と実行量が必要であると、参加者に伝えていました。
マーケティングで成功する会社を増やしたい思いが伝わる講演でした。
基調講演:最高の顧客体験を提供していくためのマーケティング組織とは?
100を超えるサービスを持つ日本最大のWebサイトを運営するヤフーのマーケティング&コミュニケーション本部 本部長の友澤氏と、当社CEO須藤による基調講演は、トークセッションで行われました。企業の事業部門とマーケティング部門における「役割、お金、人」の集中と分散という普遍性のあるトピックを中心に、ヤフーという先進的な立場にある組織の変革に、深く切り込んでいくセッションとなりました。
参加者の声
- まさに自社の抱える課題に近い話が聞けて役立った。
- 組織の集約と分散のバランスについて考えているところがあったので、参考になりました!
- 正論で進めるか、理解を得ながら進めるか、よくそのせめぎあいで悩むので興味深かった。
- 組織変革は、まさに今取り組んでいて、ハッとする言葉がいくつもありました。
- 組織変革するときに、混乱期を突破しなきゃいけない、ということを聞けて心の支えになった。
ヤフーにおけるマーケティング組織変更の狙い、変革を進めていくとき事前に気をつけたこと、実際に起きた想定できなかったこと、短期と中長期で達成していきたいこと、組織変革を実行するとき重要なことなど、ここでしか聞けないようなチャレンジと苦労をうかがうことができました。
講演の最後、摩擦を乗り越えて変革をしていこうという参加者に向けて、友澤氏は「2015年は変革するなら重要なタイミング。5年後の2020年には東京オリンピックがあり、テレビとデジタルの交差地点となる年。上位の合意形成、現場の巻き込み、コミュニケーションをしっかりやれば、成功確率の高いタイミング。小さな変革でもぜひ進めてほしい」とメッセージを送りました。
パネルディスカッション:顧客体験の向上で事業成長を担う、デジタルマーケティングの今とこれから
通販化粧品ライスフォースのアイム、ネットで生命保険を販売するライフネット生命、ガスコンロなどを手がけるリンナイという、それぞれ異なる業界で顧客体験の向上に取り組むパネリストによるパネルディスカッションを行いました。
参加者の声
- 異業態でも共通点が多いと感じた。
- それぞれビジネスモデルの違う中で、共通の見方があった。ツールではなく、人やプロセスの変革ということと、全社横断型人材の活用。
それぞれの会社の紹介の後、各社のチャレンジ、それを進めていく上での障害をどう乗り越えていこうとしているのかを聞いていく中で、業種を超えた知見を得たという来場者が多かったようです。
当セッションでは、来場者にアンケートを取り、集計結果をリアルタイムでスクリーンに表示するシステムを使いました。「会社が次のあるべき姿を目指すのに、組織改革は必要と感じているか」との問いに対し、来場者の62%が「強く必要だと感じる」と答えています。一方、「組織を革新的に進化させていくためのプランがあるか」との問いには、「具体的にある 26%」「おぼろげながらある 33%」「これから作る28%」「やり方が分からない 13%」と回答が割れました。
ステージはそれぞれ。Kaizen Platformはその状況と思いに伴走し、優れた顧客体験の提供というゴールに向けて、お手伝いしてまいります。
参加型セッション:3年後の企業目標から考えるサイトKAIZEN 〜現状把握から始める明日へのステップ
各参加者の「自分ゴト」として、ここまでに聞いた話を取り込んでいただくために、ワークショップのエッセンスを取り入れた参加型セッションを行いました。3年後の企業目標、自分の目標を見据え、参加者それぞれが今から始めるべきステップを考えるセッションです。
参加者の声
- 具体的に紙に記入する事で、キーポイントが見える。
- 参加型で、考えられるものだったので面白いセッションだと思いました。
- 具体的な自分たちのことに落としこむことができた。
- 具体的に3年後を見すえてどうするのか、考えるきっかけになる。
- マネージャー陣に伝えたい内容でした。
各テーブルのグループごとに自己紹介をした後、まず、3年後の目標を考える前に世の中がどうなっているのか、当社 Customer Success Leadの高橋から世の中で予測されている2018年を紹介しました。例えば、コンピュータの頭脳が人間の脳を超えるとか、大学の入学者が減少し始めるとか、クラウドソーシングの市場が3倍になるとか、BtoCだけで国内EC市場が6.3兆円増える年。参加者は2018年をイメージした上で、3年後の企業のゴール、自分のゴールをワークシートに書き、グループで共有しました。
後半では、パネルディスカッションに続いて、まず来場者からリアルタイムアンケートを取りました。「予算と社内理解の獲得」「チーム編成とメンバー育成」「自立した高速PDCAの実現」の3つから、最も近い課題感を選んでもらい、一番回答の多かった「チーム編成とメンバー育成」について取り組みました。メンバーの役割の棚おろし、現在のメンバーでできること、補っていく必要があること、補っていくときに育てるのか、社外リソースを使うのか。これらにつき、参加者がワークシートを使って取り組みました。
特別講演:顧客体験価値と事業創造
最後のセッションは、未上場のまま企業評価額約510億ドルになったと報道されているUberの日本法人代表、高橋氏による講演。スマホアプリによる配車サービスを手がける同社が創造している顧客体験価値とその背景や組織のあり方に、宣伝会議編集主幹の谷口氏が迫りました。
創業者がエンジニアのカンファレンスに参加するためパリに行った際、お茶を飲んで帰ろうとしたらタクシーが捕まらなかったのがきっかけで生まれたのがUber。ポケットにはスマホがあって、クラウドの時代にこの非効率はなんなんだという経験がUberへの着想となりました。
世界中で設定を変えずに使えること、お客様と運転手双方の満足度をデータドリブンで追求していったところに、同社急成長の理由があります。高精度な需給のマッチングを行うことで、同社の言葉で言うと「パーフェクトトリップ」を実現しようとしています。それは、目的地まで快適に安全に、できれば安く移動したいという人間の根源的なニーズに対し、ストレスフリーな状況を生み出すことです。
Uberが事業展開をしていくにあたり、Uberでは従業員に強いオーナーシップが期待されており、それぞれが「データによる問題の発見、解決できるようなアイデア、そして実行」を進めていくそうです。「データは全員が毎日見ること。自分の担当領域のデータを把握していることが大前提だ」と高橋氏は言います。
これからの事業成長を担う参加者は、それぞれ自社の事業を推進していく上での示唆を得たようです。
A/BテストのKaizen PlatformからマーケティングROI改善のKaizen Platformへ
終演の挨拶に再び登場した当社CEO須藤からは、新サービスとなる「ROIダッシュボード」と「アドバンスレポート」を紹介しました。WebサイトのA/Bテストツールとして創業したKaizen Platform。しかし、創業3年目に入り、A/Bテストツールベンダーという役割を超え、サイトの改善からマーケティングROI改善を期待されるようになってきました。
「数千回のサイト改善経験から、いかに高速にPDCAサイクルをまわすかが改善効果と強い相関があると分かっている。うまくいっている会社はたくさん成功を経験し、たくさん失敗を経験している」と須藤。これを実現する企業に必要なこととして、須藤は3点挙げました。
- 属人化させない。チームとして勝っていくことを考えている組織。
- 外部のパートナーをうまくつかう。
- 文化を作る(例えば、データを全員が把握、UXが最大にインパクトを持つことを目指すなど)
続けて、須藤から顧客のビジネス改善に直結していくためのプロダクト戦略として、新たな3つのファンクション追加を紹介しました。
- ROIの可視化
- 次のアクションを促す通知
- それらのデータの活用(ターゲティング&オプティマイゼーション)
この3つのうち、この日は「ROIの可視化」を強化する2つの機能をリリースすると発表しました。
1つめは、ROIダッシュボード。サイト改善を経済価値としてクリアに見せるダッシュボード。顧客が1CVあたりの価値などを設定することで、各施策のビジネスインパクトを金額で把握することができます。この機能は、全てのお客様に随時提供開始していきます。
もう1つが、アドバンスレポート。広告出稿データ、LTVデータなど、お客様の保有するマーケティングに関するあらゆるデータとKAIZENデータを連携することができるようになります。ビジネスダッシュボードのDomoと連携することで、より複雑な組み合わせのレポートを提供し、高度な分析や可視化が可能になります。当日は、それぞれデモを披露しました。
最後に須藤は、「Kaizen Platform自体が、お客様によりよい顧客体験を提供したいと思っている。我々はカイゼンしたいと思っている人を応援したい。それが世界をよくすると信じている。我々はカイゼンをしていくことが大好きな集団。皆様のカイゼンをこれからもお手伝いしていきたい」と締めくくりました。終演後の懇親会では、登壇者や来場者の間で活発な情報交換が行われていました。
オイシックス西井氏の言うように、「経営者がすでにデジタルやマーケティングの重要性を理解している」ならば、その期待に応えられるマーケターが増え、活躍することは使命でしょう。Kaizen Platformはそのお手伝いをしてまいります。
Kaizen Platformでは、単なるセールスカンファレンスではない、今回のようなお客様の課題に沿ったイベントをまた企画してまいります。フェイスブック(KaizenPlatform)やツイッター(@kaizenpfm)などでも、イベント情報を含む有益な情報を提供してまいりますので、ぜひフォローをしてみてください。