政治献金:自民へ13%増 14年、5年ぶり20億円台
毎日新聞 2015年11月27日 21時16分(最終更新 11月28日 14時03分)
2014年の1年間に自民党の政治資金団体「国民政治協会」へ企業・団体が献金した総額が、前年比13.3%増の約22億円で、5年ぶりに20億円を超えたことが、総務省公表の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)で分かった。自民が政権に復帰した12年末以降、安倍政権によるアベノミクスなどを背景に大企業の業績が改善。経団連は14年、会員企業への政治献金呼びかけを5年ぶりに復活させ、アベノミクスの恩恵が自民に還流する傾向が強まっている。
同協会の14年分収支報告書によると、企業・団体の献金総額は22億1312万円。野党時代の10〜12年は13億円台だったが、政権復帰後の13年は前年比42.5%増の19億5408万円とV字回復を遂げ、14年はさらに増額。09年の野党転落前の水準をほぼ回復した。
大企業約1300社を擁する経団連は、昨年9月に献金呼びかけを再開した。14年の献金額が9位までの11社のうち、7社は現時点で経団連の会長と副会長を出している。現会長で昨年呼びかけを再開した榊原定征(さだゆき)東レ相談役最高顧問は「民主政治を維持するためには相応のコストが不可欠だ」としている。
その東レ(化学・繊維大手、東京都)の場合、民主党政権が誕生した09年から13年まで自民への献金をやめていたが、昨年再開。献金額は2番目に高い4000万円だった。東レは毎日新聞の取材に、「産業政策を提言、実行できる政党や政治家の支援は産業界にとって重要だ。経団連の呼びかけにかかわらず、当社として個別に判断した」(広報室)と説明した。
また、パナソニックも前年から倍増の2850万円を献金。上位企業以外でも、三井不動産は前年比500万円増の2000万円を献金した。
企業・団体の政治献金を巡っては、政治との癒着を生み、健全な民主主義をゆがめる恐れがあるとの批判もある。政治資金に詳しい上脇博之・神戸学院大法学部教授は「経団連がひと声かければカネが集まってくると自民党は再認識したのではないか。財界が献金により、必要とする政策を『買収』しているとも言える」と指摘する。【樋岡徹也、飯山太郎】