辺野古移設:「代執行、要件満たさず」沖縄県、答弁書提出
毎日新聞 2015年11月27日 21時26分
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画を巡り、同県の翁長雄志(おなが・たけし)知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消し処分を撤回するよう国が求めた代執行訴訟で、県は27日、答弁書と準備書面を福岡高裁那覇支部に提出した。県は「(紛争解決の)最終手段の代執行手続きに訴える要件を満たしていない」と主張。辺野古の新基地建設は自治権を侵害する憲法違反などとも指摘して訴えを退けるよう求めた。
第1回口頭弁論は12月2日に行われる。
承認取り消しについて、国は行政不服審査請求で効力を一時執行停止させた一方、代執行を求めて提訴した。地方自治法は代執行手続きを、他の方法では解決が見通せない場合に限って認められると規定しており、県は「代執行訴訟の提起は法の濫用(らんよう)で違法」と指摘した。
辺野古への米軍基地建設については「具体的な根拠となる法律がない」と主張。その上で「県民の民意に反して新基地建設を強行し、自治権や地方自治の本旨を侵害することは、憲法92条に違反している」として憲法違反だと強調した。
また、国が訴状で取り消し処分について「知事が国防に関する重大事項の適否を判断する権限はない」としたことに対し、「公有水面埋立法は国防に関する事業について除外規定を設けていない。米軍基地の建設は県民の負担を将来にわたって固定化させるため、知事が判断するのは当然だ」と反論し、知事の取り消しは適法とした。
県は27日、翁長知事の当事者尋問と、移設に反対する名護市の稲嶺進市長や環境、安全保障の専門家など8人の証人尋問も申請した。20年前に米軍用地の強制使用を巡って首相が当時の沖縄県知事を訴えた「代理署名訴訟」では、県は23人の証人尋問を申請したが全て却下された。【佐藤敬一】