田村隆昭、木村和規
2015年11月29日08時46分
世界で初めて、マツダが量産に成功したロータリーエンジン(RE)が、再び注目されている。搭載したコンセプトカー(試作車)が今年の東京モーターショーで展示された。根強いファンは多いが、経営難だった3年前に市販車の生産を終えていた。日本のものづくりの象徴の一つとして、「復活」に期待が高まる。
「(RE復活は)私がやり残している大きなピースの一つ。会社を辞める前に実現したい。そして引退後、これに乗りたい」
モーターショー会場の東京ビッグサイト(東京都江東区)で10月下旬、マツダの藤原清志・常務執行役員(55)はこう訴えかけた。後ろには小さくてもパワフルなREを載せた「RX―VISION(ビジョン)」の流麗な車体が照らし出される。
前橋市の自営業、星野仙治さん(54)は目を細めた。アクセルを踏めばモーターのように一気に回転数が上がる感覚に魅了された。初の量産車「コスモスポーツ」のオーナーズクラブ会長だ。
2012年6月には、広島市の本社工場で「RX―8」の最後の一台が生産されるのを見守った。67年に量産化されてから、初めてRE車がカタログから消えた。「これで最後じゃないから」。作業員がそう言い合って涙を流すのを目にした。星野さんは「スポーツカー向けのエンジン。運転する楽しみを与えてくれた」と復活を信じる。
コンセプトカーの公開で、会場では「いつ販売するのか」と質問が相次いだ。ファンも「RX―8の後継車はないと思っていたのでうれしい」と歓迎する。インターネット上では「これを待っていた!」「やっぱりロータリーでしょ。車はワクワク感がないとダメだ」といった書き込みが続いている。
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